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「劇場」で感じた嫌悪感の正体



カマダです。
寝苦しい暑さの日々が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

カマダはというと、ただただうだってました。
うだっているだけでも何なので、最近あまり観れていなかった映画を
タラタラと観てみたりしたんですが、
タラタラ観た中でこれは感想書きたい!!と思えた作品がありました。

その作品とは

行定勲監督作品「劇場」です。

豪華も豪華な制作陣。
原作は芥川賞作家の又吉さんが執筆され、「世界の中心で、愛を叫ぶ」他
有名作品を多数手がけている行定監督がメガホンを取り、
今をときめく若手実力派俳優の山崎さんと松岡さんがW主演を務めたことで話題になった今作が早くもAmazon Primeに降臨していました。

前々から気になってはいたのですが、まさかこんなに早く来るとは...
NETFLIXもそうですが、最近のネット配信サービスの勢いには目を見張るものがありますね。
というわけで早速観てみました。


率直な感想は、


・面白かった。

・久々に興味深い作品を観た



です。







いや、内容無っ




色々な思いがこんがらがって観終わった後に居ても立ってもいられず、今このようにして感想を書くまでに至っておりますが、
パッとはアホみたいな感想しか出ませんでしたので、前置きはこの辺にして
次から本題へ入ります。

※以下、ネタバレを多分に含みますし超個人的な感想になりますので、
 これらを気にされる方は見ないことをオススメします。











1.リアルっぽさとフィクション強めのキャラが同居する不思議な作品

本作は山崎賢人さん演じる売れない劇作家永田と、松岡茉優さん演じる献身的な永田の彼女沙希が織りなすヒューマンドラマとなっています。

あらすじは

高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。
しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。
解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。
そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡)を見かけ声をかける。
自分でも驚くほどの積極性で初めて見知らぬ人に声をかける永田。
突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。
女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。
お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、ふたりは一緒に住み始める。
沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる彼女を大切に思いつつも、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していき―。(「劇場」公式サイトより引用)

となっております。

あらすじをみた時点でカマダはこの作品にかなり親近感が湧きました。
なぜなら、僕は大学生の頃に演劇部に入部し、今に至るまでちょいちょいと演劇に触れてきました。
なので、永田のような人はいくらでも見てきたし、また、この世にいくらでもいる普遍的な存在です。そんなキャラクターです。

演劇にあまり触れたことのない人からすると、この時点ではフィクションめな作品のように感じるかもしれませんが、実は結構こういう人は多くいます。境遇もそうだし、人格においても珍しくはないです。

そんな永田は夢も希望もないような日々の中、ある画廊の絵をぽけーっと見ていると、同じくその絵に足を止めた女性に声をかけます。
それがヒロインである沙希でした。

**「靴同じですね。ニチャ」

**

という、キモオタもドン引きなセリフで沙希を引き留めた永田ですが、奇跡的な人の良さを持ち合わせた沙希とお茶に行くことに成功し、
そこからはとんとん拍子に沙希と恋仲になっていきます。

と、この時点で

・誘い文句キモ過ぎんか?
・え、沙希は沙希でOKなの?

・チャリンコからの馬上攻撃おもろい
・沙希は神なの?
・やっぱ誘い文句キモくなかった?

と、ご都合主義的なイベントに不思議な気持ちになることが沢山あったのですが、まぁ、ここまではよくあるラブストーリーの展開だろう。
と、思っていたのですが、ここからちょくちょくリアル路線なのかフィクションで描くのかがよく分からなくなってきました。

個人的に映画とは、作中の誰かしらのキャラクターに感情移入・没入して観れて、疑似追体験をすることを楽しむコンテンツだと思っているんですが、本作ではどのキャラにもあまり乗り切れず、そのまま最後まで行っちゃったという感想です。

永田=リアルっぽい
沙希=フィクション強め

という、キャラクターの性質が真逆の二人のキャラクターが同じ世界に同居しているのですが、この二人をあまり好きになれない。
というか、いやな部分とか変な部分が見えすぎて、魅力が感じ取れなかったんですよね。


物語序盤で永田が沙希をメールでデートに誘うくだりがあるのですが、

「明日、渋谷に家具を見に行きます。
 もし、暇だったらついて来てくれませんか。」

という永田の誘いに対し、

「ごめん!全然暇なんだけど!」

という沙希からの返信。ダメだと悟った永田は、

「いろいろとご迷惑をお掛けしました。いつかお会いできましたらコーヒー代をお返しします。どうぞ お元気で。」

というこれまたキモみ全開で対応します。
しかし、沙希からは

「違うよ!ぜひってことだよ!明日、昼以降はあいてるよ」

と、なんと返事がOKだったことが判明します。




沙希、日本語教育受けてるか?????



と、思わず問うてしまうようなメール文面を送ってきたり、
永田と沙希が二人で歩いているところをカットモデルのスカウトや、友人などが度々沙希を引き留める(コレは永田のネガティブさ、卑屈さを引き出す演出ですが)など、
こんな子存在するかよ!とか、特に前半においてはそのうち「はにゃ?」とか「~なのら」とか言い出すんじゃないか?とヒヤヒヤするくらいキャラキャラしい沙希。

対する永田は妙に人間的で、自分に都合の悪いことから逃げて回り、ひたすら自分を守ることに終始。
沙希についても都合のいい時に自分を満たしてくれる一種のアイテムとして認識しているんじゃないか?
と疑いたくなるダメ人間さを発揮しており、徹頭徹尾


「永田、最低だな」

「松岡茉優さんが可愛い」



を繰り返すことになります。


上記のことから、リアル路線なのかフィクションを描くのか、
どっちとも取れるようで取れないままお話が進んでいきます。

そんなこんながあり、物語が進んでいくにつれて永田のクズ人間っぷりがあらわになっていきます。
僕は途中で永田に対して腹が立ちすぎて、マジで滅茶苦茶な感想書いてやろうかと思いましたが、そんな愚かな僕を引き留めたキャラクターがいます。





2.サンキュー野原



そうです、永田の高校時代からの友人である野原です。
このキャラクター嫌いになるやついる?というくらいちょうど良いバランス感覚がいい。

要所要所に登場し、永田の転機に野原ありと言っても過言じゃありません。

物語中盤、努力もせず日々を浪費する永田を甲斐甲斐しく支える沙希でしたが、未来と永田への不安、日々の疲れが影響し、徐々に酒に頼るようになり、最終的には精神的にも体調的にもを不安定になってしまいます。

そんな沙希を心配し、友人である野原と永田が主催する劇団の劇団員だった青山は永田を呼び出します。

そこで青山は、

「沙希ちゃんと別れてあげるべきだと思う。」

と、永田を諭します。ですが、

「それは俺一人で決めることじゃないから。」

と、永田は逃げの一手。そんな永田に対し野原は、

「お前さ、自分のこと才能があるって思う?」

と問いますが、無言の永田。

「じゃあさ、人から才能があるって思われてないことには気づいてる?」

と重ねて野原が問うと、

「それは、、、ずっと知ってるよ」

と永田は答えます。そんな永田に対し野原が詰めます。

「そうだよなぁ。けど。沙希ちゃんにだけはそう思われたくない。
 他の人に思われても平気なフリは出来るけど、
 沙希ちゃんに思われたら壊れるんだろ、自分が。
 それが嫌で、怖くて、それで逆に沙希ちゃん壊すわけ?
 何様だよなぁ?ビビりのために沙希ちゃんの才能壊してさ。
 だけど、お前は自分が好きだから、辞められないんだよな。」




野原最っ高!!!!!!

僕の言いたいことを全部言ってくれました。




そうなんです。永田は自己愛の塊で、自分を気持ち良くするために周りの環境を酷使するクソッタレなんです。

しかもその後、永田は野原たちに対し謝罪はしたものの、

「悪い、俺は人の意見を聞きたくなさすぎ病なんだと思う。」








はぁ?何を架空の病気のせいにしてんだ。

お前の人格、性格、生活習慣の問題だろうが。冗談でも今言うことじゃねぇだろ。



とイラつきまくりましたが、野原と青山がもう呆れた顔をしていたので、
なんか、もう、しょうがねぇんだ。と無理くり落ち着けました。

本っ当に野原に出会えてよかったな、永田よ。




3.劇場で感じた嫌悪感の正体


今まで書いたようなことから考えた結果、
感じていた嫌悪感は永田に対するものだと理解しました。

本作品において、都度都度永田によるナレーションが入りますが、
その内容は、永田自身を守ったり、又は、「沙希は徹底して僕に甘かった」など、自分のうだつの上がらなさが原因であるのにも関わらず、他者が自身にしてくれている気遣いへの無頓着さが含まれており、
聞いていて単純に不快で、永田への嫌悪感のみが募っていきます。

家賃も入れずに好きな本買ってカレー食って家に帰ると、沙希が気をまわして永田が好きそうな本を買ってくれていましたが自分と同じ本を買っていたことに気づくと「もったいないでしょ!」と露骨に不機嫌になるところとかマジでファックですよね。

この辺りまでは単に永田に対する嫌悪感のみがその原因だと思っていたのですが、最後のシーンでそれが間違いということに気づきました。



いつまで経ってもうだつのあがらない永田でしたが、最後は沙希と別れることに。
ラストは沙希との別れを、というより沙希との生活を演劇にし、
沙希はそれを観劇しているシーンで終わりますが、
永田に対しては


いや劇にすんなや


沙希に対しては


いや観に行くんかい



という、二人に対し何でそういうことするの?という感情が芽生えてしまいました。
僕自身、世間一般の感覚と合っている自覚は無いのですが、

それにしてもこれは無くない?

いくら最後は円満に分かれたからと言っても、永田は結局沙希に何もしてない、そればかりか沙希との経験をネタに飯食ってんじゃねぇよと。
沙希は軽々しくこんな奴の芝居を観に行くんじゃないよと。

ここであることに気づきます。
そうだ、永田に対して嫌悪感があるんじゃない。





この二人の関係性に嫌悪感を抱いたんだ。




この二人、なんか気持ち悪いんですよね。
思い返せばキスシーンや恋人っぽい描写も無く、手を繋ぐのすら一瞬で、
徹底したプラトニックで綺麗な恋愛を演出していたことも相まって、


そこまで愛せてんの?


という疑問が序盤からラストまで拭いきれませんでした。
これは意図的かもしれませんが、作中での時間の経過の描き方も曖昧で(気づくと沙希が学生~30代手前になっていた)、作中の描写ではこの二人が愛し合うような関係になっていたとはどうしても思えず、ただ日々を一緒に暮らしていただけだよなぁ。惰眠をむさぼるじゃないですけど、タラタラのほほんとした日々をただただ過ごしていたようにしか思えないんですよ。

よくあるダメな同棲カップルの典型と言うか、お互いの楽さに依存して何も得ることが無い生活を繰り返しているというか。

僕の想像力が無いだけというのも当然あると思うし、過剰なラブシーンがありゃそれでいいと思っているわけでもありません。
ですが、どうしても


この結末に至るまでの経過を描き切れていなくない?


と、そう思ってしまうのです。
なんか旅行行ってどうこうとか、テーマパークがどうこうとかのたまわってましたが、今さら言うなよ!と僕が彼女だったらそう思うし、
シンプルに腹が立つというか。
というか、永田については、


お前、そんな偉いこと言えるほど演劇に力入れてないよね?


と、何か演劇すら自分たちを清算させる一つの道具として使用しているように感じてしまいました。
この芝居を観客を入れてやる意味がよく分からないというか。
つーかこいつそんなに演劇頑張って無くね?

最後の観劇のシーンを観たことでこれらの考えが自分の中で生まれて、
今までの違和感がなんとなく腑に落ちました。





4.あとがき

というわけで、つらつらと感想を書いていきましたが、
いかがですか?不快になっていないですか?
文章が不得手なもので、僕の伝えたい純情な感情が1/3も伝わっていないかもしれないので、もしこの作品を観たよ問い方がいらっしゃれば、
ぜひあなたの感想もお聞かせください。
語り合いましょ。

こんだけ書いていおいてなんですが、僕はこの作品が嫌いではないです。
何ならここまで色々感想が出るってことは、それだけ人の感情に触れる良い作品なんだと思います。
演劇を少しばかり齧っていた身として、共感出来る部分も少なくなかったですし、
終盤、永田と沙希が引っ越し前の荷造り中に発見した過去の台本を手に、
セリフにのせてお互いの想いを語る部分には何か来るものがありました。
また、出演されている役者さんたちはとても素晴らしい方々だと思います。


ただ、ただ僕がこの作品を観て伝えたかったことって結局これなんです。






永田ファック!!!!!!!!!!!!!!!!!!








【今日の豆知識】

夜中にうるさくすると壁ドンが来る


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