（23歳・女）の今日、2020年8月3日

「在宅OLとがつんとみかん」

在宅勤務につかれたわたしは、21時過ぎに、財布と携帯と家の鍵を持って、幹線道路沿いのうるさい街へと出ました。

とぼとぼと歩きながら凝り固まった肩をぐるぐると回すと、ぼきぼきと音が鳴りました。背泳ぎなんてしようものなら、水をかくたびにぼきぼきとしてしまうのでしょうか？

わたしはすこし、小走りをしました。運動不足だし、と、まるで肩を動かすための口実のように心でつぶやき、車がごおごおと走る横の歩道で、仕事帰りの人たちがふらふらと歩く中で、1人小走りをしました。

無駄に小走りをして、すこしだけ家から離れたカレー屋さんに入りました。そのカレー屋さんのカレーは、あまり好みでなかったのですが、

その後の帰り道、家から2軒離れたコンビニでがつんとみかんを買いました。

ほんとうは、4軒離れたコンビニと3軒離れたコンビニでもアイスの棚は見ました。けれども、カレーのおくちをさっぱりさせるいい感じのアイスがなく、結局2軒離れたコンビニで買いました。

買ってその場で包みを破いて捨てました。オレンジの長方形のシンプルなかたちから、中高の部活時代によく食べた思い出が蘇り、写真を1枚撮りました。左手に持って、歩きながらひとくちかじると、すこし歯に染みて、歳かしら...なんて大人ぶりながら、

するとがつんとみかんはだんだんと溶けてきました。まずは左手にぽたり、次に左足にぽたり、

わたしはこの瞬間の、夏の嗜みにウキウキとしました。これは在宅勤務とは反対の、非効率的な営みです。夏の生温い、すこし強めの風が吹いて、髪の毛にもべたっとつきました。急いでかじり、家に着くくらいに食べ終わり、わたしは大変機嫌が良かったので、ああ2軒手前で買ってよかったとしみじみと感じました。

そして22時から、いそいそと仕事をしました。