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全国でここだけ!ジャージー牛「特別牛乳」にかけるこだわり【かまびと。#05白木牧場・大田竜司さん, 晴美さん】

🌱かまびと。
嘉麻市のふるさと納税に関わる「ひと」にクローズアップ。こだわり抜いた返礼品を提供している事業者さん、嘉麻市のために頑張る市職員さんなどなどの紹介をしています。

ガタガタ道を抜けた嘉麻市の山奥。そこに、全国で数件の牧場しか認可が得られていない「特別牛乳」を生産している「白木牧場」があります。ジャージー牛で「特別牛乳」を生産しているのは、日本でもここだけです。

今回の「かまびと。」でご紹介するのは、白木牧場を経営する大田竜司さん・晴美さんご夫妻。寡黙で牛をこよなく愛する竜司さんと、おしゃべり好きで明るい晴美さんに、飼育している牛たちや「特別牛乳」にかける思いを伺いました。

白木牧場さんで飼育しているのはジャージー牛。よく見かけるホルスタインではない理由は「ジャージー牛の方が小さくてかわいいから」だそう(笑)

1, 牧草栽培から販売まで!白木牧場の特徴

ー白木牧場の特徴を教えてください。

晴美さん:うちの牧場では、牧草の栽培から牛乳の販売まですべて自分たちで行っています。牛の世話は夫が、営業や販売は私がやっています。牛たちは、夫が来ると喜んで近づいていくんですが、私がきても「なんかたまに見かけるヤツが来たぞ」くらいで知らん顔してるんですよ(笑)。

また、うちで作っている牛乳は、厚労省により「特別牛乳」に指定されています。「特別牛乳」を生産しているのは、白木牧場含め全国で数件しかありません。ジャージー牛乳で「特別牛乳」に指定されているのはうちだけです。

「特別牛乳」についてはこの記事のもう少し後ろでご紹介します!

山を一から開拓して作った牧場。牧草の栽培から牛乳の瓶詰めまで全てこの牧場で行っています。

2, 「牛乳がジュースより安い」その衝撃から始まった牧場経営

ーそもそも、なぜ牧場経営を始めようと思ったんですか?

晴美さん:私はこの牧場の経営がある程度成り立ってきた頃に嫁いできたので、牧場を始めたのは夫なんです。

竜司さん:もともと、僕の父が酪農家をしていて、小さい頃から父の手伝いをしていました。なので、牧場は身近な存在でしたね。

そしてある時、牛乳がジュースよりも安くなっているということに衝撃を受けたんです。僕は牛乳を作っている過程を知っていたので、**「こんなに手間暇かけて作っているのに安くなってしまうのはおかしい!」**と憤りを感じました。

なぜそうなってしまうかというと、酪農家は自分で価格交渉をすることができないんですね。この状況に問題意識を感じ、自分で販売まで行う牧場を経営しようと決意しました。

牧場について説明してくれている竜司さん。

ー実際に自分で牧場を始めるまでにはどのような苦労があったのでしょうか?

竜司さん:牧場経営には、膨大な初期投資が必要なんです。当然、政府からの補助金などを使うのですが、この牧場の取り組みは前例がなかったらしく、なかなか許可が降りませんでした。資金調達にはかなり苦労しましたね。

また、牧場をはじめるにあたって、山を一から切り拓きました。もともとこの辺は木が生い茂っていたんですよ。

そんなこんなで、自分の牧場をはじめるには、6年くらいかかりました。その間は、叔父の牧場の手伝いをしながら自分の牧場を開業する準備をしていましたね。

晴美さん:牧場って、開業当初にかかるコストが半端じゃない分、一度始めると止まることができないんですよ。だからこそ、自分で開業を決めた夫の決断力はすごいなと思いますね。

3, 全国で4件だけの「特別牛乳」は何が「特別」?

ー「特別牛乳」と普通の牛乳はどこが違うんですか?

晴美さん:それ、みんなに聞かれるんですけど説明が難しいんですよね(笑)

一言で言うと、「加熱殺菌処理をしなくてもそのまま飲める」牛乳のことです。うちでは、安全のために低温殺菌をしています。「特別牛乳」に認定されるには、クリアしないといけない条件がいくつもあります。その環境を整えるのはもちろん、それを維持していくのが本当に大変なので、全国でも認定されている牧場が数少ないんです。

ーやっぱり味も違うんですよね。

竜司さん:スーパーで売っている牛乳や給食で出てくるような牛乳は高温殺菌処理をしています。よく、市販の牛乳に「コクがある」と言う人がいますが、実はあれはコクではなく、タンパク質が処理する時の熱で焦げているだけなんです。だから、飲んだ後に喉に残る感じがするんですよね。

うちの牛乳は低温殺菌なので、後味がすっきりしているとよく言われます。普通の牛乳が苦手でも、これなら飲めるという人もいます。

また、牛乳の中の栄養素を壊さない処理をしているので、乳酸菌などが生き続けているんです。だから、日によって味も変わりますね。

お土産にいただいた、白木牧場の特別牛乳。あっさりしていてほんのり甘い。
小学校時代は牛乳が苦手だった筆者もとても飲みやすかったです!

晴美さん:私はもともと牛乳が嫌いだったんですが、夫の牛乳を初めて飲んだ時に「すごくおいしい!!」とびっくりしたんです。それが結婚の1つの決め手でもあります(笑)

竜司さん:インタビューになると毎回その話しよる(笑)

ーどういうことですか?(笑)

晴美さん:私が夫との結婚を考えていたとき、この牧場に1ヶ月くらい研修に来ていたんです。両親は夫との結婚を反対していて、「1ヶ月くらい福岡にいれば、その生活が合わなくて諦めて帰ってくるだろう」という思惑で、私をこの牧場に行かせたみたいでしたね。

当時、私は牛乳が苦手だったので、「この人は牧場をやっているし、この人と一緒に暮らすのは、私のような人じゃなくて牛乳が好きな人じゃないといけないのかな...」とも思っていたんです。でも、ここで絞った牛乳を飲んでみたら素直に美味しいと感じました。「これならいける!」と思って結婚を決意しましたね。両親は怒っていましたけど(笑)

二人でインタビューに答えてくださる晴美さんと竜司さん。
たまに挟まれる掛け合いから、二人の仲の良さが伝わってきます。

4, 手間も、負担も、コストも、全ては牛と美味しい牛乳のために

ー「特別牛乳」としての許可を得ようと思うと、やっぱり相当な負担がかかりますよね?

晴美さん:もちろんです。牛の飼育や牛乳の処理など、各工程に基準が設けられていて、それをクリアし続けるのはすごく大変です。

竜司さん:通常、酪農は牛が60頭くらいいないと経営が成り立たないと言われています。でも、うちで飼っているのは19頭。それ以上になると、牛一頭一頭に自分の目が行き届かないんです。飼育する頭数を絞っているからこそ、一頭一頭を気にかけて世話してあげることができます。

牛にも一頭一頭特色があり、竜司さんは立ち姿や色で判別できるそう。

その分通常の牛乳よりも価格は高くなっていますが、とにかくお客さんが安心してうちの牛乳を飲んでもらえるような品質を確保しています。

ーそこまでの負担を背負って「特別牛乳」を作っているのはなぜですか?

竜司さん:もちろん、お客さんに安心・安全な牛乳を届けたいという気持ちがあります。

でも、特に苦を感じながらやっているわけじゃなくて、自分たちがやりたいことをひとつひとつ実現していったらそれが「特別牛乳」になった、という感じですね。

5, 休みはなし!牛たちにかける思い

ー普段、お休みの日ってあるんですか?

晴美さん:ないですね(笑)牛の世話は1日も欠かすことができないんです。なので、家族旅行も行けたことがないですね。

竜司さん:まあ、もう子供らも慣れたやろ(苦笑)

たとえば、搾乳は1日2回、12時間おきに行わないと牛が病気になってしまうんですよ。なので、それは毎日欠かさず行っています。

白木牧場の搾乳室。朝晩2回、ここで搾乳を行います。

晴美さん:この人(=竜司さん)は、具合が悪くても牛の世話は欠かさないんですよ(苦笑)

以前、夫が体調不良になりながらも搾乳に行ったことがあったんです。私は牛の世話はできないから、とにかく布団を温めて夫がすく寝込めるようにしておきましたね(笑)

ー竜司さんは本当に牛のことを第一に考えているんですね(笑)

晴美さん:私は全く見分けがつかないけど、夫はここで飼っている牛を一頭一頭見分けることができるみたいです。

竜司さん:牛が立っているときの姿や肌の色で大体わかります。牛が具合が悪いかどうかも、耳や目、牛が移動する時の様子などを見ていればわかります。

晴美さん:夫と牛たちの間には、独特な空気感があるんです。言葉にはしづらいのですが、夫が牛たちのところに行くと牛みんなが身を乗り出すとか。私が来ても牛は知らん顔なんですけどね(笑)

竜司さん:みんなではないやろ(笑)

晴美さん:牛と夫の間に信頼関係が成立しているというか。まさかここに来て牛にジェラシーを感じるとは思いませんでした(笑)

山を開拓してできた木材を使って建てた牛舎。
柵が牛の体に当たらないようにするなど、牛のことを考えて作られています。

6, 今後の展望

ー大田さんには、今後の展望のようなものはありますか?

竜司さん:事業を拡大しようとか、そういうことは考えていないです。

今うちの牛乳を「美味しい」と言ってくださっているお客さんがいるので、「美味しい」と言ってもらえるような品質を維持していこうと思っています。「白木牧場の牛乳なら間違いないよ」と言ってもらえるような牛乳を作っていきたいですね。

ーお二人の仲の良さもあいまってすごく楽しい取材になりました。牛乳もとっても美味しかったです。ありがとうございました!

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ここまで読んでくださりありがとうございました!
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