塩と辛子でベースや風味を変えていく(後編)

辛子

辛いのと辛子の味は別物である。

よく激辛カレーなんてものを食べると、確かに火を噴く辛さのものがあるけど、初撃は胡椒で二撃目はカイエンペッパー(辛子を粒にしたもの)なのが一般的だ。即効性の胡椒と遅延性の辛子というコンビで辛さは襲ってくる。

けどこの両者をあまりにも多用すると辛さのあまり旨味が感じられなくなる可能性が高い。あるいは辛さ耐性があるものにだけ分かる旨味という感じだろうか。

僕はレトルトカレーをよく食べるけど、LEE30倍はまさにそれに当たる。

LEE20倍までは辛さの中の旨味を感じることができたが、30倍はただただ拷問的な辛さだと思ったw

というわけで辛さを究極的に求めるとかなりハードルが高い(限定的)な食べ物になってしまうだろう。そして辛さの中に旨味を残すというのはなかなか難しい。

僕は昔からアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノをよく作る。このネーミングは(気取っているわけではなくw)純粋に辛子とにんにくとオリーブオイルのみで作るシンプルなものという意味合いで。

パスタは全体的にコスパが高いからよく作るけど、その中で最も純粋で偽りが効かないのがペペロンチーノだ。

ペペロンチーノは3種(にんにく・辛子・オリーブオイル)の原材料がすべて主役になるため、バランスよく旨味を引き出す技術を要される。

その中でも最近よく意識するのは辛子の存在だ。

これは新商品であるチキンカレーの極辛を追求するために必要な工程だとも思っている。

「ただ辛いだけではいけない。確かな旨味の中に迸る辛さを内包したい。」

辛子には辛さ以外の本来の旨味があると思うのは、やはりペペロンチーノの存在が大きいだろう。

そこで着目したのが沖縄に行った時に魅了されたコーレーグースだ。

泡盛に島とうがらしを漬けたシンプルな調味料。

激辛の辛子ではハバネロやジョロキアなどもあるけど、あれは辛さと素材の味が少々主張しすぎる。しかし島とうがらしは辛子の旨味と辛さが十分に凝縮されていてちょうどいい感じだ。

辛さはノーマル唐辛子以上、ハバネロ未満、それでいて辛子としての旨さが引き立つ唐辛子がほしかった。

さて、これをどう引き出して先程の旨味にインストールしていくか、というのが今のやりがいだろう。

前編で書いた塩もそうだけど、素材一つとっても料理のアップデート領域は無限大に広い。ましてやある程度ベースとして完成されたものに対して素材を変えていくというのはかなり面白い実験だ。

オリジナルはそのままに、まだまだチキンカレーを進化させたいと思います。

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