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【軽羹読書録】第2図書係補佐/又吉直樹

ご機嫌よう。kalkanです。

先日、散歩がてら近所の古本屋さんに足を運んでから、完全に古本屋さんにハマっております。

もともと古本屋巡りは好きで、予期せぬ出会いに期待して、お出かけした際に古本屋さんを見つけたら必ずお邪魔するようにしています。

この日は今回読了した又吉氏の「第2図書係補佐」と、同じく同氏の「火花」を含めて何冊か探しに行ったのですが、結局この2冊以外は見つからず。

その代わり、何か無いかな~と思いながら、なんだかんだで1時間以上は滞在してしまいました。

古本屋さんに行く楽しみは、「何があるかわからない」というところにあると思います。
街の書店のラインナップには絶対並ばないであろう、古い作品やマニアックな作品に何となく出会い、それがとても面白かったときの高揚感。

これらは古本屋さんでしか体験できない魅力だよなあと改めて感じました。また行こっと。

閑話休題。

そんなわけで前口上が長くなってしまいましたが、今回もお付き合いいただければ幸いです。

僕の役割は本の解説や批評ではありません。自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。(まえがきより)。

お笑い界きっての本読みピース又吉が尾崎放哉、太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴る、胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収載。

【その人を知りたいと思うとき】

昔からそうで、好きなアーティストが出来ると、その人が好きなものを徹底的に調べて、自分もそれらを好きになろうと、集めたものを全て飲み込む節が、私にはある。


それは、例えばその人が好きな音楽やアーティストを知ったら、飽きるまでずーっとそれらを聴き続けたり、更にそのアーティストのことも調べて、どんどん深く深く掘り下げていく。

元々がオタク気質なんだと思う。しつこいというか。

だけど実際、他人の好きなものを全て消化するという作業は、とても体力を要する。

だから私は、本当に好きな人のエッセイしか読まない。
必要以上にその人のことを知ろうとすることは、とても疲れてしまうから。

だけど、本当に好きな人であれば、その人が好きなものはもちろん、それ以上に「何を経験し、何をして、この人は出来上がったのか、構成されているものは何か。」ということを強く知りたいと思ってしまう。

恐らく正確に言うと、私はその人のことが「好き」なのではなくて「憧れている」のだと思う。その人になりたいと思っているのだ。

そうするために手っ取り早い一番簡単な方法が、その人がおすすめする「本」を読むことだと思う。

そんなわけで、こちらの作品読了後、私のhontoの欲しいものリストがぐんっと増えたのはいうまでもない。

【言葉の錬金術師】

だが、私の欲しいものリストが増えた理由は、好きな人が紹介したからというわけではない気がする。

又吉氏の言葉には不思議な力がある。

本の紹介にエピソードが掲載されているのだけれど、それは、必ずしもその本に関わっているわけではなかったりするし、なんなら本の紹介をせずに終わる場合もある。

だけどなんだか読みたくなってしまう。
気になってしまう。

エピソードから派生して、想像させる文章を紡ぐのがうまいのだ。
言葉の魔術師なのかもしれない。錬金術師なのかもしれない。

まぁ、単純に「推し」だというのもあるけれども。

【古本屋に足を運ぶということ】

たくさん好きなエピソードはあったけれど、その中でも古本屋について語るエピソードが好きだ。

話は私の学生時代に変わる。

私もよく古本屋に通っていた。

当時、ピアノを習っていて、教室までバスで通っていたのだけれど、なんとなく歩いて行きたい日もあって。

途中、長くて傾斜がキツい坂があったのだけれど、そこにポツンとその古本屋さんはあった。

申し訳程度に透明のビニールを被せられた雨晒しになった3冊¥105のコーナーから、比較的綺麗で面白そうな作品を選ぶ作業が楽しかった。

「比較的綺麗」というのは外観のことであって、中身はパラパラとしか見ない。だから、読んでる途中で物凄い量の書き込みがある1冊に当たったことも、一度や二度ではない。

だけど、これは氏もエピソードに書いていたけれど、その書き込みを含めて古本の良さだと思っている。

以前の持ち主はここが気になったのか、ほう、こんな解釈をするのか、なんて、出会ったことのない人間と、私が今持つ本を通して語ることができるという奇跡。
それこそが、古本の良さと、醍醐味だと思う。


レジ前には海外の雑貨やキーホルダーなんかも置いてある、ちょっとお洒落な古本屋さんで、店内は何故かレゲエがかかっていた。

巻きタバコ用の葉っぱも置いてあって、店内に流れるレゲエが相まり、私はそれを勝手に危ない葉っぱだと勘違いしていた。

私はピアノが嫌いではなくて、むしろ大好きだったけれど、でもなんだか気持ちが乗らずに教室に通いたくない日があって、そんな時は少し早く家を出て、古本屋さんに寄った。

今もそうだけど「少し早く」が出来なくて、大抵「超早く」になっていたのも懐かしい。
ピアノ教室に一時間も二時間も早く着くのはザラで、だけど古本屋さんで買った本があったから退屈しなかった。

そんな懐かしい記憶がふんわりと思い出されたエピソードだった。
もちろん、そこで紹介された本は欲しいものリストにインされている。

【軽羹読書録】

人がおすすめする本を知るということは、その人の本棚を見るよりも、その人の為人を知れる一番の方法だと思います。

そして、人に本を薦めるということの難しさ。私は未だに出来ないなぁ。ラーメン屋さんのおすすめ教えるよりハードル高いと思う(笑)

最初に書いた「他人の好きなものを消化することの大変さ」と矛盾してしまうけれど、もし又吉氏に興味が無くても、こちらの作品はおすすめします。

というのも、これはあくまで「第二図書係」の、しかも「補佐」が紹介した本たちだから。

きっと素敵な作品に出会えると思います。

というわけで本日はここまで。
お付き合い頂きありがとうございます。
kalkanでした!

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