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『シン・ニホン~AIデータ時代における日本の再生と人材育成』

おはようございますkalikaliです。

今回は安宅和人さんの『シン・ニホン~AIデータ時代における日本の再生と人材育成』を読んでみました。

「AIが発達すると人間の仕事が奪われる。」というような話題が以前出始めたとき、私は結構動揺しました。

今後少なからず自分の周辺でも何らかの影響が出てくると感じたからです。

世の中には本当に分からないこと知らないことがゴロゴロしていていると感じます。私が無知な事ももちろんありますが、年を重ねるにつれその比率は上がるばかり....

気付けば知らぬ間に正体の分からない波のようなものに呑み込まれてしまうのではないかと、ある時凄く不安に陥ったことがあります。

よくわからないから怖いんだ!知らないから怖いんだ!

そう自分に言い聞かせ、まずは関連する本を読んでみよう。と思ったのがこの本を手に取ったきっかけです。

本当、安直思考ですが。笑

1.全体まとめ

「AIとの共存」
「若者の育成が今後のカギを握る」
「日本の未来をみんなが考えていく時代へ」


AIや情報科学分野が急速に発展し続けていて、今後もその分野での産業発展と経済の連動は進んでいく。
更に言えばその分野で乗り遅れてしまうと、世界経済の規模で考えると今後日本の経済は後退していってしまう。 

日本経済の現状は実は思っているよりも深刻で、数字だけで見ると経済大国と言われるが内情は戦後と大きく変化しきれていないという。
少子化・超高齢化社会の現実と相まって、変化させる所をしっかり変えて行かないと、どんどん他国に置いて行かれてしまう。
ただ著者の安宅さんは日本の、日本人の良い点をどんどん生かして行くことで必ずこの国の問題は解決していけると諭してくれている内容でした。

これまでの日本のやり方への変化と、比較的若者へ向けてのメッセージ要素を感じる内容に感じました。
若年層の育成にもっと力を入れるべきという感じです。


2.AIの急速発展と日本経済推移(思っていたより深刻)

そもそもAIとは=Artificial Intelligence:人間が何らかの技術で作り上げたもの。
広義的な使い方がされるが、基本としては
"AI=計算機×アルゴリズム×データ"で成り立つ。高い情報処理能力を持つ機械に用途に沿った情報を処理したパターン学習(経験)をさせる機能を付ける事で、特定用途向けのAIが出来る。

身近な例で行くと翻訳アプリや地図アプリのGPSと連動したルート案内などが挙げられる。パターンが蓄積されていくことによってAIの処理能力と質がどんどん向上していく仕組みになる。

取り上げられることもままある人間 vs AIというものに関しては、そもそも捉え方としては少し違うという。
というのも、AIの技術発展は目覚ましいが、おおよそを占めているのが特化型AIと言われているもので画像認識や音声認識、無人レジなどのある限定的な課題に特化して学習・処理をするもの。その機能面では人間を凌駕するが総合的な判断はできないもの。
これに対するのが汎用型AIで、自らのデータの蓄積(経験)から想定外の出来事に遭遇しても判断し、人間のような総合的な処理能力を持つもの。
現段階では汎用型AIを生み出す技術レベルに各国達しておらず、まだ存在はしていない。
今の私たちが考えたほうが良いことは、確実に普及と発展は進むであろう特化型AIを使いこなす技術を幅広い人が身に付けられるようにすること。

AIによっていままでの"仕事が機械に奪われるの"ではなく、"仕事が変容していく"。機械との共存必須になる社会で、機械を使いこなす技術は誰もが必要な力になっていくのかと思いました。

日本は第二次世界大戦後にG7にも加わる経済大国に成長しており、客観的な視点から見ても平和で豊かな国だと認識されている。だが現状としてGDP(国内総生産)が諸外国に比べ低く、国民一人当たりのGDPでいうと戦後と大きく変わっていない。戦後のバブル崩壊・リーマンショックの煽りもあるが、少子高齢化という社会問題も更に拍車をかけ続けている。
労働者の長時間労働、低賃金化の拡大など働ける人達に自然と負担が行く形で何とか成り立たせているということになる。

・仕事を持たない高齢者層の雇用拡大
・低賃金の拡大防止
・女性の労働時間の拡大

これらは日本の解決しなければいけない大きな問題として付き合い続けねばならない。決してネガティブになるだけではない。AI(機械)を上手く使うことでサポートはしていける。働き方の変化というものは必ず必要になっていくので、そこを私たちが受け入れていくことも重要となってくる。

3.若者への支援強化・専門的教育レベルの底上げ

情報通信技術(インターネット・モバイル・クラウド)などの進化は目覚ましく、世界的に見ても今後この産業が世界を発展させて行くことは明らか。
日本は技術的な部分を含め、成長はしているが先駆者にはなれていない。
小中高等学校の初等教育の段階から、積極的に機械に(AI)触れることに始まり、博士課程(PhD)以上からの応用知識・技術を持った人材の育成が重要になる。
学校教育に費用が掛かるのは必然だが、国からの援助体制やB/OGによる支援も日本は他国に比べそもそも体制として整っていない。
高齢者寄りの予算立て・運用にどうしてもなってしまっている部分を変化させる必要がある。過去ではなく未来を担う層へ今後もう少しリソースを寄せるだけで現状は変わる。
日本人の優れた点は、たとえ初動が遅れても取り入れ、応用改善して爆発的に普及させる力が抜群に強い。"妄想力"も幼少期から英才教育されているので、こういった発想は今後の社会で確実に発揮できる(=ドラえもんや降格機動隊など、こんな世界があったら良いなという発想。)

今後は確実に"モノからコトへ"の動きが経済の大半を占めるようになる。
"人が良いなと思うであろうことを先んじて感じ、それを表現できる力"が重要となる。生み出すことが難しくとも、感じることが出来る。識別することが出来る「知覚」の能力が深く広い人が多くなることで街も空間も"質"が上がる。

モノを大量に生産しその市場を広げる事で利益を拡大していくのではなく、これからはこういうモノが未来のこうありたいという"希望"を優れた機能とデザインで生み出していくことへ変化する(Appleはその一例)。

高い専門能力を身に付けて、柔軟な感性と発想で何かを生み出すことの出来る人間が必要となってくるということでしょうか。。
凡人の目線からすると、求められていくことがどんどん高度になっていくように思います。まずは自分の出来ることを自分の感性を信じて取り組む、くらいのスタンスでいると少し気持ちが楽になるように感じました。

5.作者の構想する「シン・二ホン」

既に問題として挙げられている高齢者層の雇用拡大・若年層の教育レベルの底上げに加え、日本の地域格差にも著者の方は述べている。財政圧迫の要因として都心部の過密化と地方の過疎高齢化の二極化が大きいというもの。

一例としてスタジオジブリの「風の谷のナウシカ」から着想を得た、「風の谷」の発想というものがある。侵された自然と人間、機械との共存社会のようなもの。過疎高齢化が進みインフラの整備だけで財政を圧迫する田舎。
都市部と切り離された限界集落のような地域で、どのように低インフラで回すかを解決しないと、経済的な地域格差から日本は潰れてしまう。
人口過密と汚染された都心部に人間の生み出すAI(機械)。過疎地の高齢者の都市移住を促し、医療機関の連携を取りやすくすることで軽重症の判断をスムーズにして医療(財政)への負担を減らす。働ける方、能力のある方には無理のない範囲で仕事をしてもらい、生産性を上げることへも繋がる。
ここでAI(機械)を高齢者の方にも使いこなせるレベルで開発することにより、より無理なくサポートをすることも出来るようになる。

都会の若者を田舎での新規事業に参加してもらうことで地域社会への発展へ繋げる。町興しとは違う新しい未来をデザインするということ。既存の物を生かす仕組みと効率化。刷新する部分と、継続可能な仕組み仕組みづくり。
人が惹きつけられる継続的な魅力の創造。
最新テクノロジーは使い込むが、自然の美しさ、生態系との共存の実現。その土地土地での文化・歴史を生かす。ここの部分では今後も試行錯誤と具体的なアクションプランを練ることが必要と記されている。

このままだと都市一極型の未来が待っているのは確実。今問われているのは正解を求めるのではなく、果てしなく発展する運動論にしていくこと。
人と自然が融和出来る豊かな空間を持てるかどうかが、大きな価値を持つ時代がやってくる。
今後日本がどのような姿にあるべきか、どのようにすればそこにたどり着けるか、「ビジョン設定型の課題解決」がデータ×AI時代に求められる真の課題解決である。




読み終えて、最初は中々壮大な内容だなぁ。。と思っていました。
ただ実際書かれていることは、実際自分が子供のころから問題として教科書でも取り上げられている内容のものだし、 よく耳にする身近なものだと思います。
AIという技術が進歩してきている中で、日本が解決できていない問題とどう掛け合わせて更に発展に繋げて行けるか。
実際に日本という国で働き、のほほんと暮らしている自分の生活の感覚だと見えてこないこと、陰で影響が出ていることを少し垣間見ることが出来たように感じました。


今まで普通に使っていたけど、気づけばこれもAIだったんだ。。アプリってAIなんだ。。本当にこんな初歩的な所からですが、初めて知ったことも多かったです。AI(機械)は便利で人間より優秀な部分もあるけれど、怯えるのでは無く使う側にまわるだけ。このことを知れたのは大きな収穫だったと思っています。

日本の平和や安全が今後急激に失われていくことは無いと願ってはいますが、何かしらの変化は必ず起こると思います。 

流されるのではなく、自分で感じて考えて、行動に移すことが出来るようになりたいと思わされる本でした。   

凡人は、まず一歩を踏み出すことを大切にしたいと思います。



また盛大にネタバレと乱文長文で失礼いたします。
ここまで読んで頂きありがとうございました!





   




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