新月蒸留白書
精油を蒸留する為にはいい香りを
保有している良い樹を選ぶこと。
こうやって聞けば当たり前のように
聞こえる事かと思います。
『でも、木を切る前にどうやってそれを知る事が出来るのですか!?』
って聞いたら
『好きな場所に育った木を選べばいい』
そう言って山男達が選んだ一本。
私には隣の樹と何が違うのかは正直に言って解らない。
(更に彼等には外側だけ見て木の中心部がどうなってるのまで解る)
こんな大きくて立派な木を切る事に私は恐れを感じたけれど
彼等にとってはこれが日々繰り返されてる毎日の仕事。
そして、この荒々しい仕事を経る事なくして針葉樹の精油は
絶対に採ることは出来ない。
『(精油採るならチェーンソーのオイルの匂いは厳禁だろうから)
枝を落とすのはノコギリやナタでやったって〜!』
などと繊細な心遣いをしてくれる。
そして、職人さんの一人は
『俺らが杉の幹より枝に気を使うなんて林業白書に書かなあかんちゃうー!』
ガハハハハハ‼️ と言って笑ってくれていたけれど、
なんだかそんな面倒かけてるんだと少し申し訳無い気もした。
そう、私が重要視する杉の部位は本来『林業』では全く価値がない部位。
しかし、私達の世界ではとても大切な部位のひとつ。
それが合わさることで一本の木の隅々迄大切に使わせて貰える。
何トンもの大木を切り倒してから運び出すまであっという間。
これが杣人の仕事。
でも、その樹を切るためには今まで山林だった所に道を
作るという目に見えない仕事もある。知らないだけで他にもきっと沢山...。
その後に来る微細な嗅覚を使う香りの部位の選別と発信は私の仕事。
こうやって新しい精油が生まれる。
私も杣人の方々もお互いの素人部分と専門的な分野を上手に組み合わせる事で類稀なる素晴らしい精油を作る事が出来るのです。
心を開いてくれたら誰よりも優しくて信頼出来る野生の虎みたいな職人さん達と
この実験に辿り着くまでに既に3年もかかってますけどね。。。w
※2018年7月19日の日記より
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