見出し画像

読書の記録⑤ あずかりやさん

 友人からこの本はポプラ社発行で、安心して読めるからと言われてプレゼントされたものです。大山淳子さんという作家さんをこの本を通して、初めて知りました。

 よく友人と日常でこころが疲れているのに、本や映画でますます傷付くような思いはしたくないと話しています。

 有名な作家さんの作品で、あまりにも描写が鋭く、社会の闇を描いたり、暴力的すぎたり、残酷だったりするとこころの中にもやもやが溜まってしまい、寝付けなくなることがあります。そういう気持ちにさせることができるのだから、素晴らしい名作なんだと思います。

 でも大人になったからこそ、誰も傷付かないエンターテイメントを求めてしまう時があるのです。

 今回は文庫本で読んだのですが、カバーからこの本のために作られており、書店員さんの情熱によってベストセラーになったと解説があります。書店員さんに愛される本ってなんだか素敵だなと思いました。

 あずかりやさんの店主はハンデを抱えていますが、1日百円でなんでも預かるというお店を東京の下町で営業しています。

 店主にとって社会の接点でもあるこの仕事は、想像以上に傷付いた人々を救います。面白いのが、語り手は店主ではないこと。読み始めは誰が話しているのかわからず、少し混乱しましたが、すぐになるほどと理解できます。私の町にもあったらいいなと思うお店です。

 本の中に出てくる『星の王子さま』の本をもう一度読みたくなりました。もし、疲れていて優しい物語を読みたいと考えているのならば、とてもおすすめな本です。ほっこりしてじんわり温かくなります。紹介してくれた友人に感謝です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?