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ラビリンスワールド【連続小説】(その24)

 仕事終わりにカフェに行って、マコトに話しかけた。
「ブルーな気持ちになった時に手放しのワークをすると、気分が軽くなりとてもいいのですが、しばらくするとまた同じようにブルーになるんです」
「そうですね。それでは次に進みましょうか」
「よろしくお願いします」
「とは言っても、やることは同じなんですよ。同じようなワークをするだけです」
「同じことをしても、繰り返しになるだけじゃあないですか」
「同じと言っても、対象を広げるのです」
「対象を広げる?」
「そうです。いままではブルーな気分やネガティブな気分を見つけては決断して手放すということをやってきましたが、このネガティブな気分を生み出している元の思考の存在にも気が付けば変えることができます。こうでなければいけないという思い込みを違う方法でもできるというふうに変えればいいのです」
「思い込みを別の考えに替えるのですね」
「考えをすべて替えるではなく、不必要になった考えや思い込みを手放したり替えたりするのです」
「わかりました。できそうな気がします。やってみます」
ショウは次の日からブルーな気分が湧き上がってきたときには手放しのワークでブルーな気分を手放した後、この気分がどういう思い込みから来たのか自分自身の中を探し、思い込みを見つけられたときにはポジティブな考えに替えるようにした。

 いやな気分になったときに、これらのワークを普通にできるようになった頃にはだいぶ時間がかかったがブルーになる回数は減ってきていた。
効果があると感じたので、久しぶりにカフェに行ってマコトにお礼を言うことにした。
「マコトさんおかげさまで、気分がブルーになることがだいぶ少なくなってきました。どうもありがとうございました」
「そではよかったですね。自分の経験が人の役に立ててうれしいです。いままではネガティブに目を向けて手放してきましたが、今度は楽しいことを見つけて実行していってはいかがでしょう」
「楽しいことを見つける?どうやって見つけるのですか」
「自分の内側に入って探してみましょう」
「内側に入るとはどうやるんですか」
「そうですね。自分の内側にある安らぎの場所を探してみましょう。私の言う通りにやってみてください」
「わかりました」
「まずは、気持ちを楽にして目をつぶってみましょう。いいですか」
「はい」

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