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ラビリンスワールド【連続小説】(その5)

 案内所に戻って案内係に
「建物内を見学していたら家具屋があったのですが、家具はどのように使うのですが」
と質問した。
「ここでの生活に家具は必要ありませんが、案内所の西の出入り口から通路をまっすぐ行ったところに庭につづく建物の出入り口があり、そこから庭に出られます」
と案内係は言った。
「庭なんてあるんですか」
「はい。かなり広い庭があります。平地だけでなく広大な裏山も庭の一部です」
「裏山まで。それじゃあ庭から敷地外に出られるじゃないですか」
「それは不可能です。敷地の境界には白い壁が張り巡らされていますので敷地外にでることはできません」
外に出られないというのだからそれくらいは予想できた。
「そうなんですね」
「その庭の土地は借りることもできます」と案内係はつづけた。
「土地を借りることができるのですか」
「はいそうです。しかし、土地を借りるには最低でも10万ゴールドからです。10万ゴールドで一番小さなガーデニングの区画が借ることができます。家となりますと最低でも100万ゴールドになります。ですからショウ様には現時点では関係ないと思われます」
確かに、一文無しなので、関係ないといえば関係ない。
「その借りた土地に家を建てたときに家具が必要となります」
「そこで、家具が必要となるのか。ところで、土地を借りるにはどうすればいいんですか」とショウはたずねた。
「そうですね。将来ゴールドをたくさん貯めたときのために説明しておきますと、案内所の北の出入り口から出てすぐの花屋の隣に不動産屋がありますので、そこで土地を借りることができ、家を建てることもできます。休息はベンチやカプセルホテルで休息できますので、家が必要というわけではありません。土地がなくても不自由なく生活ができます。土地を借りる方は家を建てるのが目的の方だけではなく、花や植物を栽培する為にガーデニング区画を借りる方も多くおられます」
「ラビリンスワールドを出られる際には自動的に返却されます」と案内係は続けた。
なかなかここの生活も充実してそうだなとショウは思った。
「まだ、説明していない情報として、格闘技場、各種工房、カジノは課題をクリアーすれば入れる部屋がありますので、お時間のある時にでも試されてはいかがでしょう」と案内係は言った。
「そんなところもあるのか」とショウは驚いた。
 案内係は丁寧にラビリンスワールドの説明をしてくれた。わからないことがあったらここにきて、案内係に話を聞けば教えてくれると思った。ラビリンスワールドに来ていろいろ回って疲れたので、カプセルホテルで休息をとることにした。

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