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ラビリンスワールド【連続小説】(その4)

 武器屋の向いには武器防具の工房があり、自分で材料を持ち込んで、武器や防具が作ることができるようだ。武器防具工房の横には取引所があり、ラビリンスワールドで使うことができるあらゆる品物が取引されていた。また、この取引所内にはプレーヤーが作ったものを売りたい価格で出品でき、気に入ったものがあればだれでも購入できるバザーもあった。武器防具工房も取引所もゴールドか物品が取引に必要で、今のショウには関係がなかった。さらに奥に進む通路があるようだったが、扉には「レベル18以下は入場禁止(L18禁)」と書かれていた。これ以上奥へは進めなかったので、いったん案内所まで引き返すこととした。案内所まで帰っている途中、格闘技場の前を通りかかった際にフラフラになりながらベンチに向かっている人がいたので、
「大丈夫ですか」と声をかけた。
「大丈夫?」とその人は聞き返してきた。さらに
「ここではこんなことは当たり前だから、気にするな。ところでお前、名前は」
「ショウです」
「ふーん。俺はダイキ。よろしくな」
「武器は何を持っているんだ」
「武器なんて持っていません」と俺は答えた。
「持ってないはずないだろう、最低でも木の棒は持っているはずだけどな」
「木の棒って武器なんですか」
「木の棒は武器にもなるんだ」
「今度、この格闘技場で勝負しようぜ」
「勝負ってどうやるんですか」と俺はたずねた。
「受付に行ってエントリーすればすぐにできるよ。簡単だ。約束だぞ。明日の朝9時にここで待ち合わせな」
「わかりました。明日の9時ですね」
俺たちはスマホで連絡先を交換した。
「それまで、誰かに勝負を頼まれても断るんだぞ」
「わかりました」
「それじゃあ、また明日。おれはそこのベンチで休息をとるから」
そう言ってダイキはフラフラしながらベンチまで行って、ベンチに倒れこんだ。
どうやら、ダイキは格闘技場での戦いに負けてライフがなくなったようだ。負けたらあんなふうになるのかとショウは思った。
ショウは案内所に戻ってきたが、その帰り道でまた別の人に勝負を申し込まれたが、ダイキとの約束があったので断った。
 夜まではだいぶ時間があったので今度は案内所の北の出入り口から出てみることにした。北の出入り口からすぐのところに小さな花屋があった。数種類の花と植物の種を売っていた。屋内なのに種なんかどうするのだろうと疑問が沸いた。その隣にはとても高級そうな外見だが看板が無く、なんの店だか分らなかったが、着飾った人や高そうな武器や防具をつけている人が出入りしていた。高級そうな外見の部屋の隣には雑貨屋と服屋が並んでいた。雑貨屋にはアクセサリーや生活雑貨などの小物が、服屋には男女問わず多くの種の服や帽子が置いてあるようだった。価格的には武器や防具と違い価格は低く設定されており、100ゴールド以下で買えるものもたくさんあった。服屋の角を右に進むと家具屋があり、多くの家具がそろっていた。家具屋の商品はかなり高額で1万ゴールド以下のものは置いていなかった。休息するときにはそこら辺のベンチやカプセルホテルを使うのに家具はどこで使うのだろうと不思議に思った。家具屋の向いには服雑貨の工房があり、その横にはカジノがあった。雑貨屋の裏にはカフェがあり、人々のくつろぎの場となっていた。ラビリンスワールドの出口らしきものは見つからず、疲れてきたので案内所に戻ることにした。やはり、簡単にラビリンスワールドの出口は見つからないなと思った。

これまでのストーリー

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