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ラビリンスワールド【連続小説】(その23)

 カプセルホテルで試してみたがあまりうまくいかなかった。
毎日続けていると少しずつ呼吸している感覚を感じることに集中できるようになってきた。
1週間ぐらい練習して15秒ぐらいは呼吸に集中できるようになった。
前回マコトに会ってから1週間後にまたカフェに行った。
「少しは呼吸に集中できるようになりました」
それはよかったですね。頭の中は思考でいっぱいだということがわかりましたね」
「よくわかりました」
「その思考が現状を作っているのだとしたら、その思考を変えればいいですよね」
「でも、すべての思考が悪いというわけじゃあないでしょう」
「そうですね。それじゃあ気分が悪くなるような思考やいやな気持ちになるような思考などのネガティブな思考を手放していきましょう」
「はい」
「普段はどんな気分のことが多いですか」
「いつもいやなことがあるので、気分はブルーです」
「それはよくないですね。ブルーだといやな気分ですよね。まずはこのブルーな気分を手放すワークをやっていきましょう。それではそのブルーな気分を意識して見てください。そしてその気分は好きではないですよね。それでは好きではないと自分で決断します。そして、この気分を選択したのは以前の自分です。その時はいい選択だったかもしれませんがいまではこの選択は間違っていました。選択したときには間違ったとは思っていなかったかもしれませんが、今は間違った選択だと考えています。間違った選択だったと決断しましょう。そしてこのブルーな気分を手放します。この気分にしがみつくのをやめて手放してやります。そうすると体の力が抜けていくのが分かります。最後に正しい選択ができるよう神様にゆだねましょう。いいですが」とマコトは説明した。

「ではやってみましょう」とショウをうながした。
今言われたことを思い出しながらショウはやってみることにした。
「まずはブルーな気分を意識する。この感覚は好きではないと決断する。間違った選択をしたと決断する。そして手放す。ふー。あ、本当に気分が軽くなった! 最後に神様に正しい選択ができるようゆだねる。できました。さっきまで、あったブルーな気分がほとんどなくなり、軽くなりました」ショウは気分が軽くなったことをとても実感していた。

「それはよかったですね。成功です。この方法はネガティブな感情や思考を手放すのに使えますよ。でも、ネガティブな感情を手放しても、それを創っている元の思考が残っている限り、一時しのぎでしかないことを忘れないでください」
「わかりました」
「まずは一時しのぎでもネガティブな感情を手放せば、気分的にはだいぶ軽くなると思います。つづけてみてはどうでしょうか」
その言葉をきいてショウは少し気持ちが明るくなったような気がした。これはいいことを教えてもらったと思った。

それから、嫌なことがあると手放しのワークを行い、ブルーな気分になる時間は短くなっていったが、しばらくすると手放したはずの思いが再び湧き上がってくるのに気が付いた。

これまでのストーリー


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