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ラビリンスワールド【連続小説】(その3)

「次に名前を決めなければなりません。」と案内係は言った。
「名前か。名前は必要だな。そういえば俺の名前は何だっけ?思い出せないな」
特にこれといった名前がなかった。特に希望はないと伝えると、案内係は男子のリストを見せてくれた。その中から「ショウ」を選んだ。
 一通りの話が終わると最後に四次元ポケットのように何でも入るウエストポーチ、スマートフォンと木の棒をもらった。スマートフォンは自分のゴールドの所有量、ライフの残量、格闘技などのレベル、SNSを通じてフレンドとのコミュニケーションなどの必要な情報の確認やメールや電話の通信機能、格闘技場での試合状況からライブ中継などの通信機能が備わっていた。木の棒は好きなように使ったらよいとのことだった。ごみ同然でほとんど使い道がないように思えた。ライフがなくなっても死ぬことがなく休息をとれば回復するので、命の心配をする必要がないということは分かった。また、おなかがすくということもないようだ。
 ここのルールも分かったのでこのラビリンスワールドがどんなところか見てまわることにした。まずは案内所の東の出入り口から出発することにした。東の出入り口を出てすぐに格闘技場があった。この格闘技場はかなり広く多くの人が集まっていてあちこちで戦いが行われていた。格闘技場の隅にはベンチや椅子がたくさん設置しており、多くの人が休息をとっていた。
 カプセルホテルまで戻らないでここで休息をとっている人が多くいるなと思った。格闘技場を過ぎると通路は左に曲がっており、曲がったところに武器屋と防具屋が並んでいた。ショーウインドウには安いものから高額なものまでかなりのラインアップであり、かなり充実している印象をうけた。しかし、一番安い武器や防具でも100ゴールドからであった。ショウはゴールドを全く持っていなかったので買うことはできなかった。

これまでのストーリー

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