見出し画像

「新バクーウィナー(仮称)誕生」2022 rd.8 アゼルバイジャンGP F1問わず語り #8(無料)

 アゼルバイジャンでFIが開催される。10年前に誰が予想していただろう。この美しい市街地コースで行われる興趣あふれるGPを実現した人々に敬意を表したい。

 長大な全開区間と市街地特有の90度コーナー、きわめて狭小なテクニカルセクションを併せ持つおもしろいレイアウトだ。
 だが何よりも、ここの魅力はその景観だろう。本当にうつくしい市街地サーキットである。古風な佇まいを残す旧市街と近代的なビル群を持つ都市部にまたがり、世界最大の湖カスピ海に面するこのサーキットは、やや埃っぽく、アンバーな光が角度をもって差し込むとき、特別な魅力を放つ。このGPを観て、「この美しい都市に一度は行ってみたい」とどれほどの人々が嘆声を上げたことだろう。筆者もその一人だ。ただし、ウォシュレットが完備されている国であるなら、という条件付きだ。
 市街地サーキットばかりになるのはごめんだが、モナコ以外にバクーとシンガポールは特例として許そう。サウジ、見てるか?

 さて、アゼルバイジャンGPは荒れるGPとしても知られている。先ほど書いたように全開区間が極めて長く、PUへの要求の非常に厳しいサーキットだからだ。さて、今年のレースはどうなっただろうか。

 前段はこのあたりにして、予選と決勝を振り返ってみよう。

予選

・ダメージを追った緑の車

 Q1にアクセントをつけたのは、今シーズンいまいち存在感の薄いランス・ストロールだった。ノーズにダメージを追った後、コントロールを失いウォールに激突した。
 ストロールは不思議なドライバーである。雨や市街地コース、初開催といったドライバーの腕が試される状況で、なぜか力を発揮するのである。だが、今季はチームメイトであるベッテルに大きく水を開けられ結果を出せないでいる。バクーでは、表彰台に乗った経験もあるドライバーだが、厳しい予選となった。

・ダメージを追った緑の車

 早めにタイムを出しておきたい市街地コースでの予選アタック。タイヤ温度が低下するのも構わず、ピットレーンに行列を作る。と、

 ベッテルがクラッシュ。何とかピットに戻る。
 Q2でマクラーレンとアルファロメオの2台が脱落。興味深いのは周の走りだ。終始、ボッタスを上回り存在感を示した。

・予選番長、誕生

 Q3を制したのは、新予選番長ことルクレール。

 他を寄せ付けない圧巻のアタックでポールポジションを獲得した。2番手に入ったのはペレス。

 ワールドチャンピオンを見据え、更に一皮むけたようだ。契約延長をすると結果が出ないジンクスを見事に覆している。

 このGPで好調のアルファタウリは、ガスリーがメルセデスに食い込む6番手、ユウキが8番手。決勝に期待の持てる予選となった。

決勝

・ペレスが先行する

 良いスタートを決めたペレスがターン1でルクレールをかわして先頭に躍り出る。その後は、じりじりとした展開が続く。3番手のフェルスタッペンがルクレールに迫るが、オーバーテイクには至らない。

・レースが動く

 動きのない展開のなか、レースを動かしたのは、サインツのマシンだった。止まない災難の見舞われ続けるサインツ。油圧系のトラブルによってマシンを止めざるを得なかった。まずは1勝したいね。
 このトラブルでバーチャルセーフティカーとなり、レースが動く。これを機に、ルクレールがピットイン。

 メルセデス、アルファタウリも続く。割を食ったのはハミルトンで、ダブルストップのタイムロスにより、大きく順位を落としてしまった。

・明暗分かれる

 タイヤ交換の好機を逸したかに見えたレッドブルの2台が、ピットイン。

 先にタイヤを変えたルクレールの追い上げもあり、難しいレースになることが予想された。それが、あんなにかんたんになるとは。

・予選番長、撃沈

 20週目。ルクレールのマシンが白煙を上げる。フェラーリは無念のダブルリタイア。その他、フェラーリPUにトラブルが相次ぎ、このサーキットに厳しさを印象付けた。
 ここからは、ペレスとの順位を入れ替えたフェルスタッペンがレースをリードする展開。優勝争いの興味の薄いレースとなってしまった。

・ユウキの車がこわれた

https://twitter.com/F1/status/1535960040028483584

 レース後半、珍しいことが起きる。ブラックアンドオレンジフラッグがユウキに対して振られたのだ。筆者は初めて目にするかもしれない。ユウキのリアウィングのDRSシステムにひどい不具合があり、ピットインと対処を命じられたのだ。
 6,7番手は堅かったユウキとダブルポイントは堅かったアルファタウリには痛いインシデントだった。

・バクーの新たな勝者

 そして、新たなバクーウィナーが誕生する。

 後半は、盤石すぎてつまらないほどの危なげないレース運びでフェルスタッペンがトップチェッカー。そんな言葉があるのか知らないが、5人目のバクーウィナーとなった。

 シーズン序盤はレッドブルに信頼性問題が多発しチームを苦しめたが、ここにきてフェラーリに問題が発生しはじめた。突然のリタイアがドラマを作り出すこともあるにはあるが、やはり2台×2台のガチンコ勝負、トラック上の熱いバトルと駆け引きを楽しみたいものだ。

 次戦は、カナダGP。日本の視聴者には少々きつい北米開催で、決勝は日本時間27時スタートである。
 フェラーリは信頼性向上のためのアップデートを持ち込むようだ。熱い戦いに期待しよう。そして、いつ最後のレースになるかわからないラティフィの雄姿を目に焼き付けたいと思う。

ここから先は

0字

¥ 130

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#スポーツ観戦記

13,504件

#F1を語ろう

217件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?