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あざやかで、しなやかな、表現の人。/bigott 倉林 真知子さん 【後編】

【前編】はこちら。

ものづくりは自由、「固まってるものをぶっ壊す」

そういえば「もりのひ」も同じだったな。さくら市に住んでいたときに「もりのひ」っていうイベントを主宰してたんだけど、そもそもは息子のために自宅の庭で開いた「にわのひ」から始まってた。大人も子ども楽しめる「ものづくりの庭」っていうのがテーマで。自分だけ仕事してると子どもが切り離されちゃうじゃないですか。だからものづくりをしながら子どもと一緒に過ごせるっていうのがちょうど良かった。
その後は「にわのひ」の活動を見た市の方が「さくら市ミュージアムという場所があるからそこでやってはどうですか?」と声をかけてくれて「もりのひ」として5〜6年活動しました。段ボールで会場を装飾し、発想を刺激するようなというか固まってるものをぶっ壊すような、笑、自由なものづくりの場を開きたいって思ってやってましたね。お教室もイベントも子育ても思いはずっと同じです。

自宅の庭で「にわのひ」をスタート
スケールアップして「もりのひ」へ

生まれるより先にANTがあるから息子にとってはANTの活動は当たり前にずっとあるもの。幼少期は息子もほとんど一緒に現場にいたから「お客さんが来てたら遊べない」とか「打ち合わせの時は静かに」とかそういうもんだってわかって過ごしてたんだと思う。敢えて保育園にも入れず、会社じゃないからどこにでも連れ回して。ずっと一緒に行動していたから全然制作ができない時期とかもあったりして、今思えば自分もかなりハードだったな。けど、切り離して生活することは選ばなかった。子どもの成長に合わせてものづくりの活動を変化させていくっていう感じ。子どもとの暮らしもものづくりも、ずっと共にある。ちなみに「もりのひ」は団体としては存続しているので、またいつか今度は「おとなのもりのひ」をやろうと企んでます♡

子どもも大人も楽しそう!

新しい出会いがたくさんあるカクイチ実験室

ーーーbigottをここに構えたのはどうして?

コロナウイルスの流行が始まって、世の中のイベントが軒並み中止になったり人が外出しなくなったりした。けどわたしは自分の場所を活かしてやれることがもっとあるって思って、古物商の認可を取ったり仕入れをしたりと動き始めてた。
そこにMOONDOGG espresso roasters の敏和さんが声をかけてくれたからというのがいちばん大きいかな。実は以前にもここ= カクイチビル でやらないかって話をもらったことがあったんだけど、ほぼ同じタイミングで南宇都宮のアトリエの物件を決めちゃったところだったからお断りしてた。そしたら再度「やらないかい?」って声をかけてもらった。コロナ禍で絶対大変なのはわかってたんだけど、むしろ動かなかったら潰れるしって思ってその時は二つ返事で「はい、やります!」と答えた。

そんなタイミングで始まってるからずっとピンチですよ、ピンチしかない、笑。でもコロナ禍じゃなかったとしても新しいお店って育ててくのに時間がかかるって思ってるから焦りはない。数年で何かが起きるほどの変化を起こすのってとても難しいもの。あとは店舗だけやってても生きてけないのはわかってるから、bigott以外の動きも山ほどある。bigottもやりながら、ANTの活動やその他のこともガンガン動かしてく。

bigott以外にもスタイリングの仕事や
アトリエでのイベントなども

そうそう、わたしはカクイチビルで「カクイチ実験室」の管理人もやらせてもらってる。企画もするからアーティストさんたちとの出会いも多くて、新しいご縁がたくさんあります。ここは本当にいろんな人と出会う。それが今ここの面白さにもなってる。実は宇都宮での活動スタート時に鈴木夫妻が用意してくれたアトリエ(【前編】参照)にいた時もイベントや展示企画をやらせていただいていた。なのでカクイチビルに入る時も最初からそのお話があって、むしろ復活な感じでした。今はbigottとアトリエの両方をうまく活かしながら活動しています。

カクイチビル全体を巻き込んだイベント「カク市」

ーーーカクイチ実験室、誰がやってるんだろう?ってずっと見てました。いい企画ばっかりだなぁ、と。

展示作家さんとの出会いは知人からの紹介もあるし、あとは美大関係者が関わってくださっているのでいろんな若手のアーティストを紹介してくれています。お客さんもアンテナが高い人が多いからそこからというケースも。ここは敢えてギャラリーではなく「実験室」と呼んでるんです。それは若手アーティストさんや学生さんたちにどんどん表現の実験をしてもらう場にしたいという思いがあるから。面白いものを作ってるんだけど展示の仕方がわからないっていう作家さんだったら、運営側がお手伝いすることで展示が実現できたりするし、壁だけの展示ではなく人が通れるようになっていればどこにはみ出してもいい。新しい人にどんどん自由にチャレンジしてほしい実験室なんです。

「カクイチ実験室」では企画から運営も

今年はスタイリングで遊び、フラにもどっぷり浸かりたい

ーーーまちこさんがこれからやりたいことってありますか?

あります、いっぱい!
現実的に見えてることだと、今年はスタイリングでちょっと遊びたくて De_tarameデタラメというユニットをWANI COFFEEさんと組みました。大好きな岡本太郎の「でたらめをやってごらん」っていう名言があって、ユニット名はそこから。WANI COFFEE家の息子うめたくんの絵を活かした、子ども向けのスタイリングを主としたレトロポップなデザインを得意とするユニット。3月に東京の清澄白河で、6月にはカクイチビルで、展示会/受注会を開きます。セレクトもスタイリングも素材も、全部自分たちで完結するのが特色。敢えて狙いを絞ったちょっとヘンテコな活動だけど、来たらわかります、笑。

De_tarame@カクイチビルは6月に!

あとは遠い未来かもしれないけど…。将来ハワイでレイメーカーになりたいな。生のお花を針でちくちく刺して、貝殻に穴あけて糸を通して…ってエンドレスでやりたい。いつかハワイのレイメイカーに混ざってレイを作るのが夢ですね。
わたしフラダンスの講師もやっていて。実はものづくりとフラで二足のわらじなんですよ。今は本当にちょうど半々ぐらいの比重かな。映画「フラガール」(2006年)がきっかけで興味を持って「やってみたい!」って。子どもが生まれた直後ぐらいだったんだけど、リフレッシュできたらって感じでゼロから習い始めたの。人から教わるのは苦手なのに唯一フラだけは教わって学びたいし、しきたりも重んじるし、嫌いなはずの本も読むし、辞書まで買ってめっちゃ調べてる、笑!好きなことだけしてていいって言われたら今はずっとフラの勉強していたい。フラってダンスじゃない部分がすごく興味深いんですよ。背景、歴史、関わってきた人たちとか、そういうのを知った上で曲を聴くと深みが全然違ってくる。曲には意味があって振りつけは手話になってて。
今年は自分の所属してるチームで4月には仙台で大きな発表会(hoike)があって、9月には茅ヶ崎でのフラコンペティションにもチャレンジするので今年はフラ漬けになりたい。フラはわたしの活力!

飽きっぽい性格だけれどフラは飽きる気がしない!のだそう
一般的には優雅なイメージのフラだけれど
フラガールの元気な部活っぽい感じがまちこさんにはフィットしたのだとか

ーーーふふふ。どちらの活動も今後が楽しみです。本日はありがとうございました!

bigott 倉林 真知子さんは
あざやかで、しなやかな、表現の人。

本日のまとめ

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