ナウなヤングと鍾乳洞福島前編
早々に山形から脱出し福島へ。大好きな桃の街、林檎は困るが桃はいくらもらっても食べられるので、「I am 観光客!!」という顔で堂々と歩く。
しかし残念、福島県民にはどうやら青森県民のような習性はないようだ。
(何の話だという方はこちら↓)
「ももっもも〜♪」機嫌良く昔のいろはす桃味のCMソングを口ずさんでいると、どこからともなく怒号が飛んできた。
「それは山梨の桃じゃ!ふざけんな!」
「ヒィ!すみませんでした!」
思わずテンプレ雑魚のような返事をしてしまった。いろはす桃味、産地まで決まってたのか。
「お前ら、二度と間違えんよう福島のももの味叩き込んだれ」
「チッ」「しゃーねーな」「これだから余所者は」
乱暴な言葉と裏腹にめちゃくちゃ丁寧に私の両腕へ置かれていくもも。
「お前のためじゃね、ももが傷付いちゃうだろ」
まさか福島県民
ツンデレさんだな…?!
鼻腔を甘やかすももの香り、嗚呼天国…
両手いっぱいのももを近くのベンチにそっと並べ、さっそくひとついただく。
ぺろんと綺麗に剥がれる皮。滴るような瑞々しさにかぶりつく。なんたる至福…皆さん、今日本一の幸せは私の口内にありますよ。
8つほどたいらげたところで、残りのももを丁寧に箱に仕舞い立ち上がった。観光しなければ…
ももで大分満足してしまった心を律するように、私はスマートフォンを手に取る。
『福島 観光』
大内宿かハワイアンズ、鍾乳洞もあるのか。
温泉…はもう当分いいかな。
ここでしか体験できないといえば鍾乳洞かと思い、私はあぶくま洞を目指すことにした。
到着すると周りはとにかくカップルカップルカップルだらけ。ナウなヤングはデートといえば鍾乳洞なのか?「すごーい♡こうして見ると歴史の前では二人で積み重ねた時間なんて一瞬だけど、n≒n+1なら私たちの時間はどこまでも無限大に発散していくよ♡」みたいな盛り上がり方を?するかこんにゃろめ
中に入って驚いた。圧巻の石筍がライトアップされ青や緑に輝いている。海底のような煌めきと優雅に反響する足音。これぞ自然美と科学の融合。地形に沿って建てられたうねうねの階段を上へ上へと上がっていく。
前のカップルの男性が興味深そうに下を覗き込んでいると、その恋人と思しきお姉さんがこっそりと私の方へ寄ってきた。
「あの…今日どうしても彼をオトしたいんです!協力してください!」
…どっちの『おとす』だ?
キューピッドなら是非やってみたいが犯罪幇助はさすがにごめんだ。さてさて気になるところだが続きはまた明日としよう。
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