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雪国のビカクシダ

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ビカクシダは赤道から南半球の植物で、日本でも温暖な地方での記事が多い。 ……けど、雪国でも問題なく育てられるという話を書いていきます。
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#ビカクシダ

ビカクシダの上下を気にする必要は、ある

ビカクシダの株は パッと見、上下左右の区別がないようで 麻雀の一索と似てる けど、一索に上下があるように ビカクシダにも上下がある 判別方法は複数ある 1つ目は 成長点と、1つ古い葉が出てきた部分(旧成長点)の 位置関係を見る方法 その2点を直線で結んで 新しい成長点の方向が真上 この方法は、成長点が1つしかない時期 つまり、1つ目の葉が生えてきた時期には使えない でも、その時期って 5mmくらいのサイズしかなく 水平に育てるので、上下が分からないままで問題ない

ネットでのビカクシダの、ほとんどが誤記なのがスゴイ

体感的に、日本でビカクシダを販売してるサイト そこで買って育ててる個人サイトなどの 90%くらいは、名前の表記が間違ってる気がする 誤記のバリエーションに個性がないので たぶん詳しくない人が、ググって出てきた記述からコピペしたら 元の記述も間違ってました、というパターンが多そう 販売してるってことは、買う側より詳しいはずなのに ビカクシダへの興味が、その程度にしかないのがスゴイ ビザールプランツを扱う専門店は、さすがに 正式名称で表記してることが多い ホームセンター

ビカクシダはウラボシ科なのに、ウラボシがない

金沢駅の、この門をくぐった先の 天井には五芒星がある 日本では、平安時代には 五芒星も六芒星も、デザインとして使われてたらしい 星は丸いのに、ヒトの水晶体にある縫合線が光を回折させて 放射状に線が見えるという現象は、たぶん人類共通なので 世界中にこのデザインが起こるのだろう ウラボシが意味する星も、この形だったらクールなのだけど ただの丸だし、ビカクシダの場合は丸ですらない…… 好きなジャンプ漫画のトップ3は? 一般的には人気なかったり、古い漫画扱いされてても 自

植物の株を増やすと、変化のある確率が上がってオススメ

プラスチックの造花に水をやっても 楽しくない理由は、変化がないから 園芸の楽しさを突き詰めると 変化を見つける瞬間といえる 変化が、自身の行動に対する 植物からのフィードバックだと、明らかに分かる場合もあって (水をやったとか) 善意に応えてくれたようで 種族は違っても、愛着がわく 葉が変色してるとか 虫に食われてるとか ネガティブ方向の変化もあるけど なんの変化もないよりはマシ 動物だったら、ネガティブ方向は いっさい無いのが嬉しいけど しょせん植物なので……

ビカクシダは乾燥に強いし、しおれても復活する

「愚者は経験から学ぶ」というビスマルクの言葉で 賢者は何から学ぶんだっけ? ニュートンが、犬猿の中であるフックに送った手紙に 「巨人の肩に立ってた」という表現が出てくる どっちも、似たことを言ってて 先人がとっくに見つけてる情報を 知らないまま、自身で編み出しても無駄で それは「車輪の再発明」って言われる行為 歴史から学ばせてもらうことで、ブーストしようぜ! って考え方は 最大の効率、正解率を出せることが多い ただ、稀に 昔の実験のほうが誤ってたとか 何百年も信じ

ビカクシダのワラジムシには、水没よりも極度乾燥が効く

ダンゴムシとワラジムシは 甲殻類の仲間で、等脚目(Isopoda) 分解者としては益虫だけど 分解の対象が、枯れた巣葉だけでなく おなかが減りすぎると 現役の胞子葉や 成長点へのダイレクトアタックを始める 1晩で大きなビカクシダを枯らす 1ターンキルの持ち主として ビカクシダ最大の敵は ワラジムシだと考えてる ダンゴムシは屋外でしか見ないし 鉢を持ち上げれば、コロコロ転がって ニワトリがツンツン食べてる ワラジムシは屋外で、あまり見ない 屋内に入れた記憶もない

ビカクシダの固定は、テグスより麻紐が良い

なぜかビカクシダ関連のサイトでは 透明なテグスで、グルグル巻きに板付けしてることが多いけど たぶん、運搬に耐えるために販売業者が選んだ手法にすぎず 自身で作る時に、真似る必要がない 麻紐に比べて、デメリットばかりだと思う テグスは腐食しないので 切って外すときに、ピンピン尖った断面が 光ファイバーのようにファサファサなっちゃう 引っ張っても、巣葉の下に 残ってるのでは、という気持ち悪さが残る 麻紐は自然に劣化するけど 株が落下するほどには劣化しないし そこまで時間

ビフルカツムを枯らしたい

ビカクシダでありさえすれば、どの品種でも大好きです なんて聖人じゃないので 大好きな品種と、キライな品種と、無関心な品種に分かれます 大好きな品種はP. quadridichotomumで 理由はトラブルだらけで、育ててて楽しいからです (上のサイズにするだけで大変だった……) キライな品種はP. bifurcatumで 理由は、育ててて楽しくないからです 手間のかかる子ほど可愛くて 逆に、丈夫で自動的に育ってしまうビフルカツムは 人間の行動が、メリット側にもデメ

生成AIは、ビカクシダのチューリングテストを突破できない

生成AIを使わない日はないレベルに すでになってますが 生成AIでは、まだビカクシダをうまく描けないようです ドラえもんに「宇宙完全大百科」という概念が登場します 宇宙のこれまでのすべてを記録した百科事典で 何年何月何日の草野球でジャイアンズが 何対何で勝ったかまで知ってるレベルの容量で あまりに大きいので、宇宙空間に浮かべてあるそうです 生成AIを実現するための土台である 大規模言語モデル(LLM)という概念を知ったとき 宇宙完全大百科の発想と似てる…… つまり

ビカクシダを鹿の首っぽく飾るには、板と写真を上下反転する

あまり板付けしないので 苔玉での例だけど、P. veitchiiの写真を逆さまにしてみました 鹿角トロフィーは シカを首ちょんぱにして、壁に飾る文化 剥製にしとく場合と 頭蓋骨を飾る場合がある 骨だと、ガスターブラスターみたいでデザイン的にカッコイイし 角が頭蓋骨と一体化した骨だって分かって、標本的な価値もありそう ヨーロッパの貴族が発祥で 彼らが移民した北アメリカでも定着した 日本で最も近い文化は、魚拓だと思う その文化がキライなわけじゃない ビカクシダでそれ

ビカクシダの徒長を怖がる必要がない

料理のために、イタリアの野菜を使うのだけど 苗が日本で売ってなくて トマト、唐辛子を種から育てるのをループしてる 徒長は怖い トマトも唐辛子も嫌光性種子なので アルミホイルで遮光して、床暖で加熱して発芽させるのだけど 根が出て、芽が出て 双葉が開くまでは、種の中の養分だけで伸びる その後は逆に、光がなければ徒長を始めるので アルミホイルをめくっては、チェックしないといけない NHKに『趣味の園芸』という番組があって プロの農家がレクチャーするのだけど ガチすぎて、

ビカクシダは、家庭用の天井LED照明と、肥料なしの水でも育つ

アガベは 安物でもイイから至近距離でのLEDがないと、徒長する でも、ビカクシダには専用の光は必要ない 珍奇植物が珍しいのは外観であって 育て方としては、珍しいもの(特殊な設備が必要なもの)と 超簡単なものに分かれる ビカクシダは水やりが面倒なだけで 簡単なほうに含まれる 「植物育成ライト」という言葉が デファクトスタンダードっぽい 私はそれを「促成ライト」と同じものだと思ってた Copilotにきいたら、別のものだそうで 「促成ライト」は農業のプロ用 「植物育成

ビカクシダは地震に弱い

「それにしても奇妙な世界だな、珍奇植物は」 「ついこの間まで見慣れてた品種が、あっちで暴落し、こっちで廃墟になり ちょっと目を離すと、キレイさっぱり消えちまってる。 それにどんな意味があるのか、考えるよりも早くだ」 「ここじゃ過去なんてものには、一文の値打ちもないのかも知れんな」 「俺たちがこうして話してるこのP. willinckiiだって、ちょっと前までは低価値だったんだぜ」 「それが数年後には、目の前のこのP. willinckiiに巨大なドワーフ市場が生まれる

我欲が渦巻くビカクシダ界隈が面白い

で、1972年にビカクシダが現在の18原種に分類されてから 2006年にダメ押しで P. hillii P. veitchii P. willinckii は、P. bifurcatumの亜種じゃなくて原種だって 確定するまでの流れを書いた そして、それから現在まで18年が経っても 相変わらず上記の確定が浸透しきってないどころか 本来は園芸の初心者に対して啓蒙する立場にある 販売者が、誤った記述ばかり書いてる無責任さを問題提起した さらにひどい例として P.