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哲学対話と道徳授業

参加しているセミナーで哲学対話で道徳授業を体験しました。

「哲学対話」という言葉はそれまで聞いたことがなく、初めての体験でしたが、対話を通して「問い」を作り、自分たちでどの「問い」について話し合いたいかを決めるという流れです。

とても新鮮な経験でした。いいものはすぐ取り入れたくなるのが教師の性。早速次の日に道徳の授業があったのでやってみました。哲学対話。

1.道徳資料

この日扱ったのは「海とストロー」。扱う価値観は自然愛護です。マイクロプラスチックについてのお話です。

2.イントロダクション

最初にこの授業での約束を話しました。

1.(人を傷つけなければ)何を言ってもいい。
2.人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
3.発言せず、ただ聞いているだけでもいい。
4.お互いに問いかけるようにする。
  (それってどういうことなの?もっと詳しく教えて!例えば?)
5.(偉い人が言っていたような)知識ではなく、自分の経験にそくして話す。
6.話がまとまらなくてもいい。
7.意見が変わってもいい。
8.分からなくなってもいい。(もやもやして終わったら大成功!)

東京大学の先生が提案した原文に少し加えました。( )が加えた箇所です。

生徒を4人グループにして、最初に「知っている環境問題」について話し合いをさせ、レディネスを高めました。

3.資料の範読

次に「海とストロー」を読みます。CDで聞かせる先生も多いのですが、私はもっぱら自分で音読します。読み聞かせする前に「この『海とストロー』を読んだ後、みんなで話し合いたい問いを作ります。そのつもりで読んでいきましょう」と伝え、アウトプットを意識させます。

4.ビデオの視聴

NHKに「マイクロプラスチック」についての映像がありましたので、これも見せます。

内容はマイクロプラスチックの問題点やプラスチックの買い物袋をなくそうとしたインドネシアの少女たちについての話でした。

5.「問い」を作る


「海とストロー」と「マイクロプラスチックの映像」についての感想を生徒に少し話させた後、「問い」を作らせます。その後、どんな問いを作ったかを情報交換させます。そして、Padletに話し合いたい「問い」を打ち込ませます。

6.話し合いたい「問い」を決める


全員が「問い」を打ち込んだ後、どの問いについて話し合いたいかを決めます。みんなが選んだ「問い」がこれです。

日本も対策してるはずなのにどうしてプラスチックに関することで世界と差ができているのか

この「問いを作る」「話し合う問いを決める」部分が一番不安でした。果たして生徒は20分間話し合えるような問いを作ることができるのか?そして、そのような問いを選べるのか?

杞憂に終わりました。「これは話し合うことは難しいなあ」という「問い」もありました。しかし、何人かの生徒は「これはちゃんと議論になる『問い』」を作りましたし、そういった問いを選んだと思います。

7.哲学対話開始

さて、いよいよ対話開始です。自分たちが選んだ「問い」について自分の意見をぶつけ合います。ここで冒頭の約束を意識させました。意見のいいっぱしになったり、一人ずつ意見を言ったら終わりになったりしないように意識させます。

15分ほど話し合いが続きました。いつもであればこんなに話し合いが続くことはあまりありません。その後代表生徒を決め、グループでどんな話し合いがあったかを報告させます。

「日本人は便利なことに慣れすぎてしまい、不便な生活に戻れないのではないか」
「見て見ぬふりをしたり、わかっててもやってしまう人が多いのかもしれない」
「日本にはほかに解決すべき問題がたくさんありすぎて、このマイクロプラスチックの問題を知っていても、これに関わろうとすることができないのではないか」

こんな意見が出ました。様子を見ていると、意見を出した後、理由や具体例などを説明することをグループのメンバーから求められるので、なんとなく言ったことが、もっと具体的になる場面や、理由が明確になる場面が見られました。

8.終えてみて


自分が体験したことを次の日の道徳で生徒にやってみました。悩んでてもしょうがないので、「えいやっ」とやってみるのが大事だと思っています。


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