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おかき
2022年9月16日 01:36
窓の外が、白んでいた。 普通に生きていれば、気付くことのないくらい、薄い白がべったりと。青空を映す窓に張り付いていた。 それに気付くことが出来たのは、毎日ただただ本を読み、横目で外を眺めていたからだろう。 僕は紐に本を委ねて。青い座席のシートを立った。 ボックスシートの間を抜けて、足を掬われぬよう一歩一歩を踏み締める。 誰一人として目を向けず、手の中で画面の先のダンスを見てば
2023年4月16日 23:40
胸に抱えた、言葉は花束。彩を悩んだ。種類を悩んだ。多くを束ねた大輪は重くなりがちだ。選りすぐりの一輪では伝わるか不安だ。だから重ねた。色も、歳月も、この想いも。枯れることを知らぬまま。幸せの高台から、降り落ちる淡白な花束。投げた彼女は純白を身にまとっていた。きっとそれは、見た目も本質も花束だ。貴女が作った言葉たち。その未練を断ち切るために。だから行く先も見ぬままに、白い花束
2023年4月10日 23:56
掴めもしない青に手を伸ばした。届きもしないなんて考えもしない。白い雲に手をかざした。黒い影が顔にさした。息を吸って顔を逸らした。それでも手は伸ばし続けた。こうして手を伸ばしていれば、少なくとも。死にたがりには見えないはずだから。死にたい。と言う時の口は笑顔で。生きるか。と言う時の口は嘆きだ。生を受けた時の鳴き声に意味を問わないで。物心ついた時に打った感情の布石を見てくれ。
2022年8月31日 23:10
夏は何かもが大きく感じる。 大きく広がる青空、その青を切り抜く白い積乱雲。どこまでも木々が生える山。目に入るものでさえも大きいと言うのに、耳に入る蝉の鳴き声もまた大きいのだから、夏というものは大きく感じて、背の低い僕からも大きなため息が出る。「久しぶりに、婆ちゃんの家に行くか」 大きな欠伸しながら、車の鍵をチャリン。と鳴らしたのはオヤジだった。自営業も閉じた遅めのお盆休み。自家用のエブ