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【美術館】佐伯祐三-自画像としての風景

 2023年3月下旬頃、東京駅の東京ステーションギャラリーに、「佐伯祐三-自画像としての風景」展を見に行きました。メモを残したいと思います。

■展示期間について
 展示期間は、東京会場(上述した東京駅の東京ステーションギャラリー)が、2023年1月21日(土)~4月2日(日)、大阪会場(大阪中之島美術館)が、同年4月25日(土)~6月25日(日)でした。
 なぜ、今頃記事を記載するかというと、ダウンロードしていたイヤホンガイドを聴けるのが大阪会場の最終日までのようで、聴けるうちに整理おこうと思ったからです。ダウンロードするタイプのイヤホンガイドの便利さを感じるとともに、我ながら「せこい」とも感じます(笑)。

■展示会場について
 東京会場は、東京駅丸の内駅舎内にある美術館です。若い頃、私も丸の内勤務だったこともあり(※現在は違いますが)、懐かしく思いました。ただ当時は、美術館が工事中であったことに加え、仕事が忙しくあまり気持ちに余裕がなかったので、美術館の存在に気づきませんでした。
 東京へ(或いは東京から)の旅行や出張の際、時間に余裕があるときに足を運ぶことが出来る面白い美術館のように思います。

■佐伯祐三と展示の構成について
 佐伯祐三(1898年~ 1928年)は、1923年3月に美術学校を卒業、1924年1月と1927年8月に渡仏しています。1回目の渡仏から亡くなるまで、わずか4年。佐伯祐三の画業は、ほぼこの4年間に凝縮されていたそうです。

 展示構成は、以下のようになっていました。
 プロローグ:自画像 / 第1章:大阪と東京 / 第2章:パリ / 第3章  ヴィリエ=シュル=モラン / エピローグ:人物と扉
 佐伯の制作場所による区分ともありましたが、佐伯の一生を追うような構成で、一直線に進むように感じる部分もありました。

■メモとコメント
①自画像について
 自画像は身近な素材で、絵を描く練習としても選ばれる題材のようです。私も学生時代、美術の時間に描いたことがあります。私は、あまり得意ではありませんでした。図録にも「否応なく自己に向き合うことになる」とありますが、私の場合、居心地悪く感じたものです。
 佐伯祐三の自画像を見ながら、そして、同時期にエゴン・シーレ展などもあったことから、彼らはどのような気持ちで自分と向き合っていたのかな、と考えさせられました。自分と向き合うには、気迫(エネルギー)が必要だろうな、と思いました。

②自分の人生を変える人との出会い

パリ到着後、佐伯は里見勝蔵に伴われ、かつてフォービズム運動を率いた画家の一人であるヴラマンクを訪ねる。そこで佐伯は自身が描いた裸婦を見せたが、「生命感がない」、「アカデミック!」と激しく否定される。しかしこの否定こそが佐伯の画業の転換点となった。初めてといっても良い挫折を味わった佐伯は、その後、独自の表現方法を模索し始めることになる。

図録の北廣麻貴さんの文章より

 展示のパネルや図録で、この佐伯とヴラマンクの出会いを読みました。「守破離」という言葉もありますが、(学校などで)教わっていたことから離れ、自分の世界を切り開いていくことの重要性を感じます。そして、(なるべく若い時に)自分から見て「すごい!」と思える人と出会えることの重要性を改めて感じました。

③私が印象に残った絵
 私が印象に残った絵は、以下のような絵です。色々ありすぎるので、少しだけに絞ります。
・親しい人々の肖像:作品の数は少ないのですが、家族・親戚、娘の彌智子の肖像画など、自画像から世界が広がる感じがして印象に残りました。
・靴屋:靴職人さんの絵が力強く印象に残りました。
・パリの「広告」の絵:壁に貼られた「広告」を素材に絵を描いており、20世紀前半の潮流もあるのかな、などと思いました。
 などなど。図録は購入するときとしない時があるのですが、今回は好きな作品が多く購入して良かったです。

④モランでの最後の燃焼

1928年2月、パリから東へ約40キロ離れた農村ヴィリエ=シュル=モランに佐伯と妻子、画家仲間の一行は滞在し、20日間近く過ごした。

図録の小川知子さんの文章より

 1928年というと、佐伯祐三が亡くなる年です。最後まで、新しい方向性を見出そうとする姿勢が伝わります。また、妻子のみならず、画家仲間一行との旅であり、会話・議論などもしたようで、意気込みと仲間意識を感じました。

■最後に
 佐伯祐三の有名な絵画『郵便配達夫』は、モランより後の1928年3月の作品だそうです。病をおしての作品ですが、力強さを感じます。
 今回の展示では、作品を通して佐伯祐三の一生を追った感じがして、モランの展示の辺りでは、胸がぐっとくるような感覚になりました。伝記を読んだり、その人が作成した作品を通して「他の人」に触れるような時間は、これからも大切にしていきたいと思います。

 写真は、nobuko47051837さんの東京駅の写真を使用させて頂きました。
 最後雑になってしまった感じがして、追記するかもしれませんが、本日は以上です。





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