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映画『ジョジョ・ラビット』(途中までネタバレなし)

この記事を書く経緯

先日の記事にも書いた、”短くしてしまった映画の感想”を改めて書こうと思う。自分の感動した部分を伝えるためにはどうしてもネタバレが必要になるので、途中まではネタバレなしで書いていく。

映画『ジョジョ・ラビット』(ネタバレなし)

『ジョジョ・ラビット』は2020年公開のタイカ・ワイティティ監督作品。第二次世界大戦終戦直前のドイツを舞台に、熱心な”愛国心”を燃やす10歳の少年ジョジョとユダヤ人の少女エルサが織りなす人間ドラマだ。

アマゾンプライムで見られる。とても嬉しい。

時代背景が非常にセンシティブなので見る前はかなり緊張したが、全体を通してコメディタッチで描かれており描写は一貫してマイルド。戦争映画として見るには少々おふざけが過ぎるので、専門的知識のある人からは少しばかりお叱りを受けるかもしれない。

だが安心してほしい、この作品は第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞している。少なくともトロントの観客たちは味方である。

内容に触れずにこの映画の魅力を語るとするならば、やはりジョジョの可愛らしさには触れなければならないだろう。きっとこの”愛国心”旺盛な引っ込み思案で怖がりな少年を微笑ましく思うだろうし、周りからとやかく言われながらも自分の世界や考えに疑問を抱き、悩みながら成長していく姿に胸打たれるに違いない。

登場人物たちの会話はとてもコミカルでウィットに富んでいて、くすっと笑えるところがたくさんあるのもこの作品の魅力だ。

ぜひ可愛いジョジョの虜になってほしい。

ここからはネタバレを含みます

 ここから書く内容はネタバレを含むので、ぜひ一度映画を見てから読み進めてほしい。もう一度言うが、アマゾンプライムで見られる。嬉しい。

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さて、そろそろ未通過の方はいなくなっただろうか。

 主人公のジョジョは戦争やナチス、ヒトラーが大好きだ。自分の中にイマジナリーフレンドのヒトラーが出来上がってしまうほどに。

 このヒトラーを演じているのがタイカ・ワイティティ監督本人だと知って驚いた。

 エルサはジョジョに対してユダヤ人の”真実”を包み隠さず教え、ジョジョは必死になってそれを記述する。なんとも滑稽だが少年が自分の信念に則って必死になる姿というのはそれだけでもグッとくるなあと思ったりした。

 エルサとの会話を重ねていくうちに彼女に惹かれていくジョジョは、なんの肩書もないただの10歳の少年で、むずがゆくなるような愛らしさに溢れていた。一丁前に信念と恋に揺れる姿というのもまたいい。

 いつの間にか心に蝶が留まってしまったジョジョが、ゲシュタポにレポートを読み上げられるところではこちらの胸が締め付けられるような気持ちになった。「違うんだよ!」とエルサに叫びたかった。「きっと彼女も分かってくれるよ」とジョジョの肩を抱きたかった。

 最後、外に飛び出したジョジョは軍服を脱ぎ、少し(いやかなり?)大人びた服装をしている。背伸びをしたんだろうか。それとも海外の子供はこれくらい当たり前なんだろうか。とにかく少し成長したジョジョの姿に感動して、「これが親心……」とか思ったりした。

 ダラダラと話してしまったが、とにかくジョジョという可愛らしくも勇敢で真っ直ぐなナイスガイの虜になってしまったのだった。

 さて、少し話は変わって、一番度肝を抜かれたシーンの話をしたい。

 それは、”母の靴が映るシーン”である。

 私が覚えている限り、母の靴が最初に登場したのはプールでジョジョがリハビリをしているシーンである。プールサイドのベンチを歩く母。「可愛い靴だなあ」「赤いハイヒールなんて若々しいお母さんだなあ」なんて思いながら見ていた。

 その後もジョジョと踊るシーンで足元が印象的に描かれていたりとなんとなく頭の中にあの靴が残るような描写が続き、

 宙に浮かぶそれが描かれる。

 悲鳴を上げてしまった。なんて巧妙で恐ろしい演出をしてくれるのだ。絶望感と共にしてやられた!と思った。感心しすぎて「なるほどな~」とか変なつぶやきをしながら続きをみていた。

 靴ひもをジョジョが結んであげるのもまたズルい。こんな伏線を自分も張りたいよ~!

 ということで演出も内容も最高の映画だったということをお伝えしたかったわけである。この感情が共有できたらとても嬉しい。

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