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風の2ndシーズン到来! 7期目のテーマは「売れちゃう」世界を見据えた練兵と投資

信濃町の新居前、豪雪シーズンに撮影(カメラ:小林直博)

夏真っ盛りで気候変動の影響をもろに感じる日々ですが、今年の2月に撮影した豪雪地帯の会社ビジュアルがこちら。

自然に向き合った人たちの言葉を取材し続けてきたHuuuuだからこそ、2m以上積もる長野県信濃町に私の新居を構えて、土も水も、豪雪すらも面白がって触れていきたい。そんな気持ちを込めています。

約3年前に考えた企業理念の『人生の、わからないを増やす』は、先行きの見えない社会と地球規模の変化、戦争や円安、資材、食料の高騰などが絡み合った現在時点でこそ輪郭を持つ言葉になってしまいました。

都市と田舎。
トップダウンとボトムアップ。
利便性と不便益。
縦と横。

あらゆる構造の真ん中に立っていきたいのが、Huuuuの中で旗を振り続ける私の役割と思想だと思っています。真ん中はいいぞ。ちゃんとしんどい。価値の反復横跳びは足腰を強くするし、両軸を捉えるためにありとあらゆることに目を向けて、清濁併せ呑む覚悟で現実を食らっていく必要がある。

本日8月1日付けで会社は7期目に突入。関わるスタッフが増えて、仕事の幅も広がってきています。時代の変化に適応していく結果、ただの編集プロダクションの椅子を離れた新しい何かになりつつある。大げさにいえば、第二創業期。軽やかにいえば、風の2ndシーズン到来です。

取締役は4名。社員&アルバイトは10名の規模になりました。売上規模はもうちょっと頑張れば1億円の壁を突破できそうなんですけど、経済合理性を無視したとんとんビジネスと3年後、5年後を見据えた徳のセンタリングを蹴り続けているで、いい感じに目先の利益率は縮小しています。

2022年1月、東京チームと共に撮影した集合写真
  • ジモコロは8年目に突入。インスタマガジン Re:Youthの展開や新たな価値を拾い続けています(だんご&くいしんの編集チーム)

  • Gyoppy!→Yahoo Japan SDGsは5年目。大手クライアントの仕事が増えています(SDGs、脱炭素、気候変動などビッグワードが多い)

  • SuuHaaは2年目。県単位のローカルメディアとして価値の撹拌作業的な立ち位置でシシコツコツしています

  • シンカイは4周年イベントを盛況に終えて、21歳の長崎航平体制をじわじわと準備中。本屋的な機能を強化していきます

  • 長野市のコミュニティオフィス「MADO/窓」は、移住者の受け入れと自分たちの町を実践的におもしろくする展開が生まれつつあります

  • そして9月中旬には長野市にスナック「夜風」をオープン予定。詳細は追ってまとめていきます

おかげさまで長く続く案件に恵まれて、漠然と飛び込んだローカル領域の価値観はいまとなっては風向きが変わってきていて。土地の変化を身体で感じ続けてきた蓄積は、私自身の血肉となって思想に置き換わり、Huuuuの大きな武器となっています。

一方、他者から見たときに何をやっている会社なのかより一層わからなくなっているのではないでしょうか。実際によく言われるし、いまHuuuuが取り組んでる環境は既存の言葉ではおさまらない気がしています。MADOのメンバーである”SUNDRED株式会社 チーフエバンジェリスト 上村遥子さん”の言葉を借りて言い換えるなら…

先日思いついたHuuuuの言語化

この言い回しがしっくりきています。法人の仮面は被って、経済活動にはしっかり向き合う。雇用を生んで、税金をおさめる。

ただし、実態は「都市とローカルを編集視点で越境(旅)しながら、人間の知恵と身体性に向き合い、経済合理性を飛び越えた価値創造に取り組む運動体」なんじゃないかな、と。

社名のコンセプトである「風」は実態として捉えにくく、都市的な編集はウェブやSNSをインターネット的に展開し、ローカル的な編集は実店舗やコミュニティオフィス、スナックなど泥臭い実像に投資する。

前者の方がお金の流れは良いけれど、後者の方が長期的なお金以外の流れが良い。このお金以外の中になにが含まれるのか。それは”次のステップを呼び込んでくれる信頼”じゃないかと実感しています。

Huuuuをシンプルに伝える言葉はこの言い回ししかない!?
わからないって最高〜〜。
世界の現実に立ち向かうのがHuuuuのスタンス

その実体化を担うキーワードが「煙」。風から煙に会社の在り方を問い直すタイミングに差し掛かってきていて、現在社内で5年後、10年後も使えるような言語化と会社資料→WEB含めたアプローチの再構築にチャレンジ中。私でもなく、社外の人でもなく、社内スタッフ(だんご&日向)中心に考えてもらっています。こちらもお楽しみに!

※上記画像は仮のものです


実像に根ざした大規模プロジェクト『OYAKI FARM』のプロデュース

そんなタイミングでHuuuuの短い歴史の転換期になるようなお仕事が公開されました。長野の郷土料理「おやき」を再定義する”広義の編集剥き出し案件”です。いいぞ、おやきは。可能性しかないぞ。

長野県で人気の老舗おやき屋「いろは堂」の製造工場 兼 SHOPが長野IC近くに誕生
おやきの概念を拡張し、次世代に文化を残し続けます
すごすぎる建築設計は遠野未来先生

◎OYAKI FARM(おやきファーム)について
OYAKI FARMは、大正14年創業のいろは堂が2022年7月にオープンする、長野名物おやきの新たな発信拠点です。アクセスに優れた長野インターチェンジ至近に新たに建てられ、おやきの製造・販売以外にも、カフェやショップ、製造工程の見学、おやき作り体験など様々なコンテンツを用意した複合施設となっています。
OYAKI FARMの稼働により、いろは堂のおやきの生産能力は従来の1.5倍に。22年3月期の売上が約6.2億円、直近3年で売上が1.3倍(EC売上は2.4倍)と事業規模が拡大していく中で課題となっていた、おやきの安定した供給の実現を目指します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000105073.html

いろは堂・専務の伊藤拓宗さんとがっちりと握手してきました

長野といえば「そば」or「おやき」のイメージですよね。後者の「おやき」を代表するブランド『いろは堂』は、御開帳前後で売上がぐんぐん伸びています。生産量が追いつかない。「だったら新工場を作ろうぜ!」と一年前に相談を藤原くんが受けて、Huuuuが主体となるおやきの新しいブランドプロジェクトがスタートしました。

その名も『OYAKI FARM』。

おむすび、サンドウィッチに並ぶような包括性のある食文化「おやき」は元々、長野でも食材の乏しいエリアで生存戦略的に生まれたものだと思っています。米も蕎麦も育たないけれども、小麦だけは育つ。小麦粉で時間が経って酸っぱくなった漬物を包んで、炭火で焼いて食べる。火を通すことで食文化に繋がった例でいえば、飛騨の「漬物ステーキ」なんかも僕は大好きです。

これって廃棄食材を無駄なく活かすための調理法として最適だし、あらゆる食材で応用できるフォーマットだと思いませんか? おやきって実はすごくおもしろいポテンシャルを持ってんじゃない? そんな議論を重ねる中で、「おやきのおもしろさを、芽吹かせよう!」と今回のコンセプトに落ちていきました。

Huuuuは、東京で活躍するクリエイターたちを巻き込んで良い風を吹かせています。コンセプト、ネーミング、タグライン、ロゴデザイン、商品パッケージ、商品開発案、店舗設計アドバイス、販売商品ディレクション、制服デザイン、プロモーション、インスタマガジンなどなど…ありがたいことに0から100まで「やれること、ぜんぶやる」の精神でお手伝いしています。

主役は長野県に骨を埋める藤原くんとプロデューサーで入ってもらった松本生まれのカズワタベくん。あれよあれよという間にプロジェクトは進んでいって、一年の月日を経て7月末に完成します。これまでウェブや紙媒体、店舗、オフィスなど、リアルな場の編集に力を入れてきたんですが、いろは堂さんの次世代を担う『OYAKI FARM』に携わらせてもらえたのは貴重すぎる機会です。

詳しくはこの2本を読めば伝わるかなと思います。オープン後の反響が素晴らしくて、地元テレビ局や新聞社などローカル的な露出は全部やれた感じ。まだスタートしたばかりですが、立ち上げて満足するのではなく、編集視点での補助輪を回し続けて、おやきの概念を世の中に届けていきます。

こんな仕事が7期目を迎えるタイミングでリリースできたのは感慨深いですし、会社の動きが大きく変わるきっかけになりそう……。売れちゃう。


不確実性の高い世の中を切り拓く『リアほ』『DEATH.』が始動

ウェブメディアのコンセプト、企画・編集から発信体制まで、”ぜんぶやる”のがHuuuuの本懐です。2022年は新たな価値観で保険を捉え直す株式会社WDC&キョウノオウタくんと共に『リアほ』、そして10年以上の付き合いにあるKeep Alive株式会社と死から生を考えるメメント・モリ的なプロジェクト『DEATH.』を立ち上げました。

保険、死と生に続いて生まれたのが「倒産」をテーマにした書籍連動型のプロモーションPodcast『倒産した時の話をしようか』も印象強い仕事です。freee出版の動きは経済視点から世の中を再定義していて。平成の30年がマシだったな…と思えるくらいの不景気と混沌が襲いかかってくる時代に立ち向かうためには、倒産のリアルな世界を学ぶことができます。

この3つのテーマは実装的であり、観念的でもある。表に立った言葉が違うだけで、削ぎ落とした結果残るものは人類史にとっての”生存戦略”の話なんじゃないか。同じタイミングでこれらの仕事が生まれたことは、Huuuuの思想的な立ち位置とダイナミックな社会変化の追い風を良くも悪くも受けているからだと思います。

保険や経営、DX、移住、不動産をビジネス目線で真正面から捉えた編集は正直ありふれていて。どのターゲットに届けるかどうかの設定次第でやり方は変わって当然なんですけど、もうひとつ観念的なコンセプトで包むことがHuuuuなりの編集というか。保険→冒険。DX→メメントモリ。倒産→再起動といった塩梅で、どこに着目しておもしろがるかが大事!大事すぎる!

新しい案件も地道に育てていくぞ〜〜〜。

2023年の「売れちゃう」を見据えた練兵と投資

闘魂と王道。その真ん中が「やってこ!」

今年よく口にしているのが「人気者」と「売れちゃう」です。自ら自己肯定感のあがるキーワードを言霊みたいに言い続ける思考実験でもあるんですが、率先的に売れた人気者というニュアンスではなく、あまりにも自分たちの価値観と積み上げた役割が”時代にハマりすぎている”感覚が強い

そもそも編集者は社会変化の鼻先を見つけて、情報をインプットして咀嚼し、自分なりの企画とコピーに置き換えて、世の中に伝える仕事なんですよね。変化や兆候みたいなものに敏感。全国47都道府県の現象を捉えながら、日々物事を考えている自分からしても、明らかに強い追い風を受けそう。もしかしたらもう受けているのかもしれません。

新たな需要に応えるためには、現在関わってくれているスタッフを強く、優しく、育てなければいけない……つまり「練兵」の概念が必要になる。戦に備えて武力や知略を底上げする意味合いで用いていますが、兼ねてから生きていくために必要なのは「スピード&パワー!(左右のフックを繰り出し) ボトムアップ&トップダウン!(アッパーと打ち下ろしのストレート)」と口酸っぱく言っていて。

世界の現実に立ち向かって、他者に対して想像力・配慮・謙虚を振る舞うためには、強く優しく、根を張って立っていなければなりません。そのために小さな会社ながら、メンタリングやコーチング、教育的な場所への投資は惜しまないようにしていきたいと思っています。

先日、初の経営合宿を開催。友人のケイゴマンにファシリテーターをお願いしました。

そもそもHuuuuの一番の福利厚生は、周りにいる大人たちが飛びきり最高でおもしろい人ばかりなこと。相談役として柳下恭平さん、長谷川琢也さんがひっそりと若手スタッフを可愛がってくれています。同い年の元ALL YOURSの木村まさしくんには、全メンバーのメンタリングを半年かけてお願いしていました。飲み友だち、遊び友だちがそのまま戦友になる仕組みがある。

会社を立ち上げて実質5年7ヶ月しか経っていないものの、何もなかったHuuuuの「ない」から「ある」に切り替わっていく人間模様はなかなかにおもしろいものがあります。一緒に遊ばないとまったく見えてこないんですけどね。

ギルド的な組織を少しずつ実体化させて、カオスな世の中を切り拓いていくための思想・哲学を武器にして鍛え上げる。独立直後、仲間がリセットしたからこその仲間集めの歴史がHuuuuそのものだと今は強く実感できます。意志をもって何かを手放すことは、新しい価値と人を運んできてくれるんだなぁ。関わってくれた皆さん、改めてありがとうございます。

まとめ:2022年後半も引き続き「耕す」

自宅の前の畑を耕す柿次郎
  • 40歳の誕生日(9月16日)に東日本橋『CITAN』で出版記念イベント開催予定

  • 翌日の9月17日、長野市の権堂商店街でリユーススナック『夜風』プレオープンお披露目イベント開催予定

  • さらにその翌日の9月18日、長野市の『シンカイ』でプチリニューアル計画予定

ずっと種を撒いて耕し続けた結果、9月はとんでもない鬼忙しい状態になってしまいそうです。Huuuuの出版レーベル『風旅出版』の作品づくりで、私自身の著書『おまえのおれを教えてくれ』(編集は柳下さん)を絶賛制作中。原稿執筆を進めながらのスナックづくりと新居づくりマジやばい。合間でめっちゃ旅の予定と遊びもあるし、40歳の集大成の機運が高まっています。

本に関しては作家の土門蘭さんと更新中のPodcast『柿次郎×土門蘭の出版カウンセリングRADIO』を是非聴いてください。思想書と編集本の真ん中あたりを目指した奇想天外奇天烈奇妙柿次郎の軌跡が赤裸々に話しています。

おすすめはカウンセリングの質感が伴いすぎて、収録中に「やばいことに気づいてしまった…」と後々得も知れぬ恐怖に包まれた二回目です。幼少期の原体験と心の穴は一生拭えない。穴の形を見つめて、死ぬまで愛でるしかできないんだなと気付かされました。

最後に京都で開催中のブライアン・イーノ展で見かけた言葉で締めたいと思います。もう全部これだなって感じです。

本で伝えたかったエッセンスにものすごく近い

「ありきたりな日常を手放し、別の世界に身を委ねることで、自分の想像力を自由に発揮することができるのです」

共に想像力を拡張していきたい会社はもちろん、編集者の仲間は常時募集しています。第二創業の絶好なタイミング。徳のセンタリングを打ち上げよう。





1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!