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アシタカと共に生きたくなった日のこと

今日からジブリ4作品の上映が始まった。
『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』というラインナップ。まずどれを選ぶかが悩ましすぎる中、タイトルから分かる通り『もののけ姫』を観てきたのだが、余りに胸がいっぱいで行き場がないので勢いのままこれを書いている。
ネタバレしかない作品への愛を語っていくので、ネタバレNGの人はここで一旦さようならでお願いしたい。でも是非是非映画を観て、お願いだから。

なぜ『もののけ姫』を選んだか

そこから書くのか、と自分でもツッコみたくなるが気にしない。このラインナップを見た瞬間、絶対『もののけ姫』を最初に観るって決めたから。
私が映画館デビューをしたのは『千と千尋の神隠し』だった。だからそれ以前に公開された『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』はテレビでしか観たことがなく、作品としては『もののけ姫』の方がより好きだから。これが理由の一つ。
もう一つの理由は映画館で観る、という環境。大きいスクリーン、立体的な音響で『もののけ姫』で描かれる自然の脅威や神の森、それを彩る久石譲(神)の音楽に没入したかった。

「自然VS人間」を彩るキャラクターたち

作品を通して描かれているのは、神が住む森の自然の力と、それを削ぎ自分たちの世界へ作り替えようとする人間の戦いだ(人VS人もあるが)。人と自然との共存を望むアシタカ、人間でありながら山犬に育てられ人間を追い出そうとするサン。この2人が心を通わせていく描写で人と自然との在り方を観る人に問いかけている。
『もののけ姫』で私が好き、かつ考えさせられる点が「絶対的な悪役がいない」ことだ。現代で環境破壊が問題になっているように、人が自然に与える影響は悪いものが多い。だから自然を破壊しようとする人間側、特にエボシ御前を敵だと最初は思いがちだ。実際作品の中でもアシタカがエボシに敵意を向ける場面がある。しかしそのエボシも捨てられた女性に居場所を与えたり、病人を匿って世話をする面がある等、一概に「この人悪い!」とは言い難い。タタラ場やそこに暮らす人を守るための自然破壊、と思うと、実際人類の発展が環境に悪だと言いつつ無くならないのと似たような意味があるように感じる。ただ「自然と共存していきましょう、自然を大事にしましょう、環境破壊は悪です」と言われるよりストーリにも重みが出ているような気がする。
この人間-自然の共存の難しさはサンというキャラクターそのものが表しているものでもある。山犬に育てられ、「(アシタカと生きる道をモロに示され)人間は嫌い」「私は山犬だ!」と言っているが、「山犬にも人間にもなりきれない」「人間とどっちを選ぶ」と他キャラに言われており“どっちつかずな存在”であることが強調されているシーンがちょこちょこある。自然と人間とは敵対するものであったがゆえ、どちらの世界からも許容されないサン。そんなサンがアシタカに出会い、かの素晴らしき「共存」というラストを迎えたことで、彼女の存在自体の受容という意味合いもあるのではないかと思っている。

「サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう。会いにいくよ。ヤックルに乗って」

全ジブリファン女性が悶絶する名シーン。「いつも思う」とまで言っていた許嫁のカヤの小刀をサンに渡したのは良くわからんが、ともに生きるアシタカ下さい。

映画を彩る「無音」

話を戻して、大好きな音楽について。
映画をより鮮やかにするために効果音を含め音楽が使われる。『もののけ姫』はもちろん、ジブリ作品の音楽を多く手掛けている久石譲の音楽は言うまでもなく素晴らしい。本当に素晴らしい。どうしたらあんなに映画をよりキラキラ彩るメロディーを作ることができるのか神なのか。と私はいつも思ってしまう。コンサート等にも行けていないので久々に大音量で音楽を聴き、しかもそれが久石譲の音楽ときたものだから重厚な音楽の中タイトルが出てきた瞬間泣いてしまった自分に驚いた。
そしてもう一つ音について印象的だったのが、作品中の効果音もBGMもない「無音」のシーンだ。テレビで観ていた時にはあまり感じなかったが、映画館においては静寂がより感じられ、ポップコーンを食べる咀嚼音さえ憚れるような緊張感を作り出す。作中ではシシ神が登場するシーンで多く用いられており、絶対的存在であるシシ神の神秘や畏敬の念が強く表現されていたように思う。

最後に

映画を観終わった勢いのまま思いつくままにキーボードを叩いたので、書き足りない面や言葉が適切でない点もあるかもしれないが、私の愛は伝わっただろうか。また後から加筆するかもしれないが2000字を超えてしまったため一旦終わりとしておこう。

中々過去の作品を映画館で観られる機会なんて(特にジブリだと)中々ないと思うから、『もののけ姫』はもちろん、是非他の作品も映画館で鑑賞して欲しいなと思う。コロナの影響でまだまだ映画館に人は少ないし、映画・映画館文化が廃れてしまわないよう私も引き続き応援していきたい。

(映画館自体の収入のためできればドリンクやフード類を購入して、映画を楽しんでもらえると尚更良い!)

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