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家族の夢を叶える予算

 「予算立て」と聞くと、なんだか面倒だな、自由に使えるお金がなくなっちゃう…と思う方が多いのではないでしょうか。出ていくものは出ていくし、それは仕方ないことだから、わざわざ予算を立てることが、本当に必要なの?と思う方もいるでしょう。
 婦人之友社の家計簿は、創刊から一貫して「予算を立てる」ことを大事にしています。なぜ予算が必要なのか?ということの理由に、「夢を描くこと」ということがあります。少し抽象的なことのようですが、お金を必要なことに使うことは当然で、「あれが欲しい」「〇〇へ旅行したい」といった夢も、生きる上で必要なことのひとつであると考えるからです。そのために、あらかじめ必要なお金をピックアップして、確保する。これが予算となっていくのです。そう考えると、「予算」というのは、安心して生活するために、お金を使いすぎないために、大切なことだとわかるでしょう。

40代・3人家族のAさんの場合

 Aさんは、少し長い目でわが家の暮らしを考えたいと、ライフプランを書き出してみました。住宅ローンの繰り上げ返済(夫の定年まで続けると借入金額より300万円多く支払うことになるので)、子どもの教育費、車の買い換えなど、大きな出費だけでなく、ガス台や給湯器の交換、夫の会社の記念行事の海外旅行(家族同伴、旅費は一部会社補助)、実家(北海道)への帰省なども、出費がかさばらないように計画することが必要だと思ったそうです。

1回目の予算立ては、計画すべてを盛り込んでみる

 まずは、帰省やガス台の交換など、計画していることをすべて入れて予算を立ててみました。収入の範囲に収まったものの、貯金があまりできません。住宅ローンの繰り上げ返済のための貯金に加え、家族同伴海外旅行(ハワイ)の積立も必要です。数字合わせで、ほかの費目を削っても、予算を守れないので、費目一つ一つ検討。削れないと思った費目は、「食費」「保健・衛生費」「教育費」、減らせると思ったのは、「外食費」「衣服費」「交際費」「職業費」。そうして、数字を出し直してみると、いったんはあきらめようと思ったハワイ旅行も可能に!!
「わが家が今、したいことは何か、それはどうすれば実現するか。予算立ては、それを考えるよい機会です」と、Aさん。

3年がかりで家族旅行が実現したBさんの場合

 10年続けた家計簿がぶっつりと途切れたBさん。生活スタイルは分かっているから、大丈夫。予算にとらわれずお金が使えると解放された気分になったそうです。住宅ローンを終え、二女も小学校に入学して保育料がかからなくなったので、毎月5万円程度は銀行口座にお金が増えていくはず…。ところが口座をチェックしてもそんなお金はなく、家計簿を記帳していなかった3年間にかなりの額を何となく支出してしまいました。
 これは、まずいと、「予算生活」に復帰! 予算を立てる前に、家族でライフプランを書き出し、子どもたちも夢を書き込みました。長女が写真家になって世界を飛び回りたいと思っていることも、初めて知りました。

みんなでひとつの夢のために

 隣に住んでいた家族が沖縄の離島に引っ越し、「会いに行きたい」と家族で度々話していました。二女が「小学生になったら行く」と目標を決め、お金をみんなで貯めることにしました。予算は20万円、家計から10万円、残りの10万円は家族で貯金することにしました。貯金箱のほか、入れた金額分だけ数字を塗りつぶし、全部塗れたら10万円という表も作りました。
 子どもたちは、お祭りのおこづかいも買いたいものを一つ我慢して貯金箱に入れたり、夕食の後片付けして10円を入れたり…。親も折にふれ、小銭を貯金箱にいれ、数字をせっせと塗りつぶしました。そして、とうとう3年目にして、最後の数字が塗りつぶされました。小銭の詰まった貯金箱を交互に持って、「10万円って重いね」と笑い合ったそうです。貯金をしながら、離島の友人を思い、旅を準備。「夢に向かって努力を続ければ、かなうことを経験したのではないか」と、Bさんは振り返ります。

まとめ:「予算」はお金のモノサシ

 2つの家庭の話は、未来のために、夢のために、とライフプランを考えた先に、必要なお金を想定して、予算に取り入れた事例です。
 Aさんは、住宅ローンの返済や車の買い替え、教育費など大きなお金をどうやって捻出するか具体的に書き出しました。Bさんは、家計簿をやめたことで、知らず知らずのうちに支出が増えてしまい、家計簿を再開したことで軌道修正。夢のひとつが叶ったという例です。どちらも今あるお金(収入)から、必要な支出を予想して、家族で未来の予定を立て、それも含めて予算を立てたことで、夢をひとつずつ叶えました。今後も予算のある生活の方が、きっと計画的な暮らしが送れるのではないでしょうか。
 このようなことから、「予算」はお金の使い方のモノサシになります。予算から使った分を引き算することで、今使えるお金がわかり、貯蓄もあらかじめ予算に組み込むことで、貯金をしやすくするわけです。また、家族と一緒に翌年のこと、未来のことを考えるきっかけにもなるので、今家族の置かれている状況を共有することができます。家計簿は、ただの出納帳ではなく、夢を乗せたライフプラン帳にもなるのかもしれませんね。


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