【詩】不完全な月

草の根の底に丸まった
弱々しい虫たちが 目覚めに
痛い光を浴びて 鳴いたり
羽を震わせたりする

僕は ゆるく草叢を撫でて
手が擦り切れるほどの
痛ましい優しさを 施してやった

ああ しかしひとつの灯は
救えない 春の底に穴を開けて
夜のなかに沈んでいく

僕は図々しくも 手を差し伸べて
ここに 善良な心を求めるのだが
今とひとつの灯を 哀れむように
不完全な月が 眺めているものです


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