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【独立する前の基礎知識8】学生からいきなり独立するのは可能?

Question
大学在学中にとある公募展で賞を取ることができました。仕事の依頼もあるので、卒業したらすぐに独立しようと考えています。いきなりフリーランスになるときには、どんな点に気を付ければいいですか?
Answer
公募展で受賞したことは、非常に素晴らしいことです。仕事の依頼がくるなら、早めに独立して、クリエイターとしての旬の時期を逃さないようにしたいものです。ただし、急に有名になると、慣れない事務作業や管理業務が急増してしまうので、1人で抱え込まずに、周囲のサポートを得るようにしましょう。

クリエイターとして独立する場合、少数派ではありますが、卒業後にいきなり独立するという方もいます。在学中に公募展で受賞して、既にいくつも仕事を抱えているという方もいると思います。このような場合、あえて事務所や会社で修業せず、いきなり独立開業するという選択も考えられます。

せっかくのチャンスですから、勝負に出てもいいと思います。

ただし、自覚しておきたいのは、社会人経験がないので、ビジネスの知識・ノウハウが乏しいということです。
急に有名になったアーティストが、数年経ってブームが落ち着いた後、苦労しているというケースはよくみられます。

いろいろな原因があると思いますが、1つには、独立するために必要な「経営者」としてのスキルが不足していることがあると思います。急に仕事が増えてしまい、1件1件の顧客とのやり取りが適当になっていないでしょうか?

本来であれば、受注の段階から、きちんと顧客の要望を聞きながら、適切なギャランティーを決めて、納期や請求・入金のタイミングを確認していく、といった一連の取引のプロセスを踏んでいかないといけません。このやり取りの繰り返しによって、個別の顧客との信頼関係が築けるのです。

仕事が多いからといって、作品の質がおろそかになってしまったり、納期が大幅に遅れてしまうと、取引先から次の発注が来なくなってしまいます。

このような状態になる前に、信頼できる協力者を探しておくことが大切です。自分はできるだけ作品制作に専念できるように、取引先との交渉の際に間に入ってくれる方や、スケジュール管理をしてくれるマネージャー、請求・入金など経理業務や事務管理をしてくれる方など、バックオフィス(裏方)を手伝ってくれる方を見つけましょう。

ご両親や兄弟、友人などでもいいですし、誰もいなければ、多少のお金を払って外注(アウトソーシング)することも検討しましょう。仕事の依頼がある時期こそ、そうした点を大切にして、いまの人気を長く維持・継続できるようにしたいものです。

オリンピックに出るような個人競技のアスリートも、決して1人だけでは世界の頂点には辿り着けません。優秀な監督やコーチ、栄養管理をしてくれる方や、体に合った道具を作ってくれる方など、必ず周囲にサポートしてくれる人がいます。

個人で独立するとはいえ、長く成功していくためには、協力してくれる人とチームを組んで「経営」をしていく必要があります。助けてもらえる人を見つけることも、独立のための重要なスキルなのです。

▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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