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【税金Q&A_5】源泉が引かれているかどうかわからない!

Q
フォトグラファーをやっています。ある会社が主催する写真関係のイベントで、ワークショップの講師を担当して、謝礼をもらいました。現金入りの封筒を手渡しで1万円もらったのですが、源泉を引かれているかどうかわかりません。このままで大丈夫でしょうか?
A
まず、会社に源泉税が引かれているかどうか確認しましょう。源泉税が引かれている場合と、引かれていない場合では、最後に確定申告をするときの計算が変わってくるので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。

今回のご質問では、会社があなたに講師をした謝礼を支払ったので、源泉徴収しないといけないことになります。「源泉っていったい何なの?」で説明したとおり、「源泉徴収」は、報酬を支払う「会社」の義務とされています。ですので、もらう側のあなたは、もし源泉税が引かれていなくても、悪くはないのです。まずはこれが話の前提となります。

それでは次に、あなたはいくら源泉税を取られたことになるのでしょうか?

きちんとした会社ですと、あなたがもらった現金1万円は、源泉税を引いた「後」の金額ということになっています。よく使われているやり方ですので、紹介しておきましょう。
個人に報酬として現金1万円を払う場合は、会社側では次のように処理されます。

手取り額をきれいに1万円にする場合
①会社が負担する報酬(額面、総額)………1万1137円
②源泉所得税………①× 10 ・21%=1137円(1円未満切り捨て)
③あなたがもらう手取り額………①-②=1万円

小手先のテクニックなのですが、実務ではよく使われるやり方ですので覚えておくといいでしょう。つまり、あなたがもらう③の手取り額が、切りよく1万円になるように、会社側でわざわざ元になる①の報酬を増やすのです。会社としては、報酬が増える=経費が増えてしまうので損しますよね。でも1万円を切りよく払うためには仕方ないのです。源泉税を払うのは会社の義務ですから。

ちなみに、③の手取り額を、0・8979(=1-10・21%)で割ると、①の報酬金額になります。実際に計算するときは、このようにやってみてください。

もしも、こうしたテクニックを使わずに、①の報酬を1万円からスタートして、ここから源泉税10・21%を引いたとすると、どうなるでしょうか。

会社が負担する報酬を1万円にした場合
①会社が負担する報酬(額面、総額)………1万円
②源泉所得税………①×10・21%=1021円(1円未満切り捨て)
③あなたがもらう手取り額………①-②=8979円

この場合はあなたがもらう手取り額は8979円になります。銀行振込ならまだしも、現金入りの封筒でじゃらじゃらと渡されるのは感じ悪いですよね。渡すほうもカッコ悪いです。ですので、先に説明したテクニックを使うことが多いのです。

いずれにしても、あなたはいくら源泉税を引かれたかを把握しておく必要があります。なぜなら、確定申告をするときに必要になるからです。源泉税が引かれていたら、還付で戻ってくる可能性があるので、報酬を受け取る都度、把握しておくといいでしょう。

でも、いちいち会社に確認するのは、ちょっと面倒ですよね。楽な方法があります。会社によっては、支払明細書といった名前の紙を、ご丁寧に郵送してくれます。この明細に先ほどの①②③の金額が書いてあり、きちんと教えてくれるのです。

さらに、年末から翌年1〜2月くらいの時期に、会社から「支払調書」という紙が送られてくることがあります。もらったことがある方も多いのではないでしょうか。

支払調書の例

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この紙には、1年間のあなたとの取引をすべて合算した①と②の金額が書いてあるのです。これがあれば安心です。1年間にもらった報酬と源泉徴収された金額を簡単に把握できるので、確定申告のときに集計する手間が減って、すごく楽になります。

この支払調書ですが、本来は会社が税務署に出すための書類なのです。会社が、同じ人に、1年間で合計5万円を超える報酬を支払ったときに、税務署に出さないといけません。ですが、皆さんに支払調書を送るのは、会社としては義務ではないのです。支払調書をもらったら、親切な会社だと思って、ありがたく受け取りましょう。

ところで、あなたが取引している会社で、きちんと源泉税を引いてないところはありませんか? 最初に説明したとおり、あなたは悪くありません。引かない会社が悪いのです。

もしも源泉税が引かれていなくて、会社に言っても直してもらえないときは、報酬1万円、源泉税0円として申告するしかありません。最後に1年間の全部の所得を集計してみないとわかりませんが、この報酬1万円に対する所得(経費を引いた後のもうけ)に対して税金を払っていないことになりますので、もしかすると追加で税金を払わなければならないかもしれません。

所得税は、前払い(=源泉徴収)か、後払い(=確定申告)かの違いはありますが、結局払わないといけないのです。

このように、源泉税を引かれたかどうかによって、最後の確定申告での計算が違ってきますので、日頃からきちんと把握するように心掛けましょう。

▼出典
令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資

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