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【独立したときの税金5】「青色申告」と「白色申告」どちらを選べばいいの?

Question
今年、開業届を出して個人事業主になりました。「青色申告」にするべきかどうか悩んでいるのですが、青色と白色のどちらがいいでしょうか?
Answer
クリエイターとして、これから一生、個人事業主として仕事をしていく覚悟でしたら、私は「青色申告」をおすすめします。「青色申告」にすることで、帳簿を付ける手間を上回るメリットを得られるからです。

帳簿を付けるのは、確かに大変です。でも、あなたがクリエイターとしてビジネスをしている以上、日頃から売上がいくらあったか、経費がどれくらいかかったのか、といった数字を把握しておくことは、とても大切だと思います。

帳簿を付けるということは、あなたの日々のビジネスを、数字で「見える化」することなのです。自由で楽しい仕事でも、儲かっていなければ、長く続けることはできません。せっかく個人事業主として独立開業するのですから、ビジネスを始めるという意識でやってみましょう。

それから、「白色申告」なら帳簿を付けなくてもいいというのは、実は誤解です。昔は、「白色申告」=「どんぶり勘定」というイメージがあり、一定の所得金額以下の場合は、帳簿を付けなくても許されていました。

ところが、最近、所得税法が改正されて、平成26年以降は、青色・白色どちらかに関係なく、個人事業主はみんな帳簿を付けなさい、ということになってしまったのです。

ですので、あえて白色申告を選ぶメリットはほとんどなくなってしまいました。したがって、「青色申告」を選ぶほうがいいと思います。

それでは、あなたが「青色申告」を選択したとしましょう。この青色申告には、さらに2つの選択肢があるのです。いわゆる普通の簿記の方法で帳簿を付ける「複式簿記」というやり方と、家計簿のようにお金の出入りだけで帳簿を付ける「簡易簿記」という簡単なやり方の2つがあって、「青色申告」を税務署に申請するときに、いずれかの方法を選択することになります。

この「複式簿記」と「簡易簿記」の大きな違いは、1年間の収入と経費を集計して決算書を作るときに、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」という年末の残高を表す書類も併せて作成できるかどうかにあります。

市販の会計ソフトを使えば、自動的に「複式簿記」で処理されて、この「貸借対照表」が作成されます。

一方で、「簡易簿記」では、日々のお金の出入りを手書きで集計するか、エクセルに入力して、何とか手作業で決算書を作るイメージなのですが、この「簡易簿記」のやり方では自動的に「貸借対照表」を作ることができないのです。

税務署に出す「所得税の青色申告承認申請書」を書くときに、「複式簿記」と「簡易簿記」のどちらかに○を付けるのですが、「複式簿記」を選ぶほうが節税メリットは大きいので、この機会に「会計ソフトを使ってみよう」という方は、迷わず「複式簿記」を選んだほうがいいでしょう。

▼出典
『令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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