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【税金Q&A_9】報酬を請求するとき消費税はどうする?

Q
私はデザイナーです。知人から、ロゴやDMのデザインの仕事を一式10万円で引き受けました。請求書を出すにあたって、消費税はもらってもいいのでしょうか?
A
相手が誰かにかかわらず、ビジネスとして請け負った仕事については、消費税はもらうようにしましょう。ただし、インボイス制度がスタートするともらえなくなるかもしれません。

クリエイターの皆さんが請求書を出すときに、源泉税と並んで悩ましいのが、消費税ではないでしょうか。皆さんは請求書を作るときに、消費税を足していますか?

まずは、簡単に消費税とは何かを説明しておきましょう。消費税は、国内の「消費」に課税される税金です。コンビニでチロルチョコを買うのも「消費」ですし、あなたが作ったデザインを買うことも「消費」です。コンビニで20円のチロルチョコを買うとき、消費税10%の2円が上乗せされて、22円払っているはずです。

副業であっても、ビジネスとして継続的にモノを売ったりサービスを提供していれば、消費税がかかるのです。

では次に、消費税は誰が国に納めるのでしょうか。チロルチョコの消費税2円は、買った本人が直接国に払うわけではなくて、売ったコンビニ側がもらった消費税をまとめて国に納めるのです。

例えば、チロルチョコを1年間で千個売ったとして、仕入れで支払った消費税が500円だったとすると、消費税は次のような計算になります。

消費税のイメージ

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同じように、あなたがもらうデザイン料10万円にプラスして、消費税10%の1万円をもらったら、あなたも消費税を国に納めなければならないのです。ただし、1万円全額を納めるのではなく、この仕事でかかった経費に対して支払った消費税を差し引いた差額を納めることになります。

個人であっても、副業だったとしても、ビジネスとして継続的に売上があれば、あなたも原則として消費税を国に納めなければなりません。

ただし、これには例外があります。あなたの1年間の売上が1千万円以下であれば、消費税を納めなくてもいいことになっているのです。これを「免税事業者」と言います。これはとても助かる制度です。

クリエイターの皆さんが、副業としてやっている間は、おそらく売上は1千万円を超えないのではないでしょうか。「免税事業者」であれば、消費税をもらっても、納める必要がないので、そのままもらってもいいのです。これを「益税」と言います。国の制度ですから、後ろめたいことはありません。もらっておきましょう。免税事業者だからといって、消費税を取らない、という考えは不要です。

いずれ仕事が増えてきて、売上が1千万円を超えてきたら、あなたも原則通り消費税を払わないといけないのです。そうなったときに慌てて「消費税をください」と言っても交渉するのは大変です。今から消費税はもらっておきましょう。

2023年10月からインボイス制度が導入されると、この考え方が変わります。「免税事業者」は消費税を請求できなくなってしまう可能性が高いのです。詳しくは次回のnoteで説明しますので、ぜひお読みください。

これまでの説明から、あなたが作成する請求書は、左のようになると思います。

請求書の金額明細の部分 報酬1万円の場合

① 報酬金額 10000円……本体価格
② 消費税等 1000円……=①×消費税率10%(地方消費税含む)
③ 控除所得税 1021円……=①×源泉税率10・21%(復興税含む)
④ 請求額   9979円……相手からもらう手取り額=①+②-③

これが個人として作成する請求書の基本形ですので、ぜひ覚えておきましょう。消費税の金額を明確に分けることが大切です。報酬が2万円だったら、すべて2倍すればいいですし、10万円だったら、すべて10倍すればいいのです。これで請求書作成は怖くありませんね。

▼出典
令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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