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「ぱんだうじ」さんから継続の秘訣を学ぶ。

一つのことを毎日欠かさずする。

言うのは簡単ですが、それがとてつもなく難しい。

先日、パンダの絵を描く機会があったので参考画像を集めにネット検索していたのですが、その際こんなブログを見つけました。

ブログの内容はごくごくシンプル。

管理人のぱんだうじ氏が、毎日欠かさず上野動物園のパンダの写真を撮ってアップする、というもの。

最初のうちこそ、

「あ、このパンダかわいい、参考にさせてもらお。」

くらいのテンションで拝見していたのですが、ふと

「そういえばこのブログいつから続けてるんだろう?」

という疑問が。

どうやら2011年の8月から始めている様子。

そしてなんとなく流れでアーカイブを見返している最中、鳥肌が。



「え………、これまさか10年近くガチで毎日更新してる……?」



ここでひとつ体験から得た知見を。人間、心底仰天すると口が開きます。あんぐりと。

厳密に確かめたわけじゃないですが、自分が見たぶんだと、本当に毎日欠かさずに更新されてます。10年近く、毎日、欠かさず。

これ、本当にすごいことだと思うんですよ。

以前読んだ本での中で、思想家の吉本隆明さんが「10年、どんなことでも毎日何かを続けていたら誰でも一人前になれる。」という話をしていました。

これ、至言だと思うんですよ。

だって、歯磨きって人間の習慣の中でもかなり毎日レベルで繰り返されているものだと思いますけど、それでもたまには忘れることもありますよね?

食事だって、生命維持に直結するものだけど他のことを優先して抜くことだってある。

そう考えれば、10年間、毎日欠かさず、同じことをやり続けるってことがどれだけ難しいことか想像に難くありません。

しかも、仕事や誰かに頼まれてやっているわけではありません。

あくまで自分の意志でやっているわけです。

ということは、やめようと思えばすぐやめられるってことです。

「あー、今日は雨降ってるし外出たくないなー。今日くらいは更新しなくてもいいか………。」

そう思っても何も不思議ではないし、それを諌める人は誰もいない。

それでも、毎日欠かさず続けられるその原動力はなんなのか?

好きだから、というのはあると思います。

ぱんだうじ氏の上野動物園のパンダへの並々ならぬ愛は、ブログを見ればひしひしと伝わってきます。

パンダが好き。だから毎日パンダを撮り続ける。

うん、その理屈はよくわかります。

イラストレーターなら、絵を描くのが好きだから毎日描き続ける。

自然な理屈です。

1ヶ月くらいならできそうです。頑張れば。

でもね、10年ですよ。

10年毎日ですよ。

10年、毎日絵を描き続けられますかね?

正直、自分はまったく自信がないです。

ということで、それを自分だけの弱さだと思いたくない負けず嫌いな私は、

「好きだからというだけじゃなくて、ぱんだうじ氏が毎日同じことを続けられる原理の中には、なにか別の理由が隠れているのではないか?(じゃないと劣等感がエグい……)」

と考えました。

そして、考えた結果、

「ぱんだうじ氏のルーティンのなかには、物事を継続する秘訣が隠されている。」

と思ったので、書きます。

ちなみに完全に持論です、あしからず。

もういちどぱんだうじ氏の毎日のルーティンを整理しましょう。

「毎日、上野動物園のパンダの写真を撮ってブログに上げ続ける。」

これ、シンプルですけど行動のスムーズな習慣化のための秘訣がたっぷり隠されていると思うんです。

1つ目の秘訣は、ぱんだうじ氏がこの習慣を始めようと思ったのが、「うっかり上野動物園の年間パスポートを買ってしまった」からというもの。

つまり、まず「パスポートに払った金額分のもとをとらなきゃ」という強烈なモチベーションがある。これで、習慣化の最初のハードルの「三日坊主」をクリアするための強烈な行動原理ができたわけです。たぶん最低でも2週間くらいは通わないと元は取れないでしょうから。自分でも必死で通います。

しかも、喉元すぎればなんとやら、で時間が経てば経つほどめんどくさくなることは目に見えてるから、頑張って毎日通うでしょう。

つまり、最初のほうの行動に伴うエネルギーの源は、外的要因から確保できるわけです(もちろん、単純にパンダが好きだからモチベーションになったというのもあるでしょうが)。

そして2つめは、撮る対象がパンダと決まっていること。

ブログの毎日更新が難しいのも、イラストを毎日描けないのも、「題材探し」が面倒くさいからってことはないでしょうか?

今日何書こう、うーん、と頭を捻っているうちに寝る時間が来てしまう。

なんでもいいから作ればいい、といっても、やっぱり昨日とは違うことをやりたくなるのが人情です。

そこをいくと、毎日パンダは「毎日同じパンダの写真を取り続ける」ということ自体をコンテンツにしている。

違う題材を探すのがめんどくさい、というハードルを逆手にとったかのような秀逸な発想です(本人がそれを意図しているかどうかはわかりませんが……)。

しかも、文章やイラストなどのオール自分発信のコンテンツは、同じものをアウトプットしていれば飽きがきてしまいますが、パンダという生きた被写体を選べば、毎日違う表情や仕草を見ることができ、飽きることがありません。

むしろ毎日通えば通うほど愛着が湧いてくるに違いありません。

パンダの調子が良くなさそうなら、

「今日はどうしたんだろう?心配だな。明日も必ず様子を見に来よう。」

となるでしょうし、

調子が良く元気に満ち溢れていれば、

「今日も元気そうだ、なんだか自分も元気になってくるな。よし、明日も来よう!」

となるわけです。

どうです?このどう転んでも「また明日も来よう」になる最強ルーティン。

以上をまとめれば、

1.強制的に行動につながる外的要因を作る。

2.行動を極限までシンプルにする。

3.対象への愛着を高められる仕組みがある。

という物事継続の秘訣が学べます。

こうやって言葉にしてしまえばどこかで見聞きしたような言い回しになってしまいますが、「毎日パンダ」はそれを絶妙な形で、かつ無理のない形で実現している、なかなかに奇跡的なコンテンツだと思います。

なんか「みんなの知らない人を発掘したぜ!」みたいなテンションになってしまってますが、ぱんだうじ氏はこの「毎日パンダ」をきっかけに書籍を出版したり、テレビ番組に出演したりしているすでにかなりの認知があるお方のようです。

吉本隆明さんの言葉どおり、10年継続することで立派にその道のプロフェッショナルになった方です。

その意味でも、自分は感動しています。

10年信じて続ければ、必ず何かを成し遂げられる。

それを身を以て体現してくれているように思えるからです。

それは、クリエイターとしてなかなか芽が出ずに、腐りそうになってしまう自分自身へ

「焦らずにじっくり続けなさい。」

と言ってくれているようにも思えます。

というわけで、ぱんだうじさん、今日も素敵なパンダの写真をありがとうございます。

※ちなみに2021年1月17日現在は、コロナの影響で上野動物園が閉園しているため通われてはいないようです。ですが過去の写真を振り返る形で、やはり毎日更新し続けていらっしゃいます。さすが。


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