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忘れられない幻のファッション雑誌「ヴァンテーヌ」

若い頃、毎月購入していたファッション雑誌「ヴァンテーヌ」。発売日には必ず本屋さんへ寄り、もう早く読みたくて、まっすぐ家に帰り、夢中になって読んでいた。

それほど、楽しみで読み応えのあるファッション雑誌だった。いまだに、友人と会うと、ヴァンテーヌの話で盛り上がったりする。友人は、「あれはただのファッション雑誌ではなかった。私の人生を変えた哲学書。」と断言する。

20代の女性が対象だったが、30代、40代の女性にも好評で、女性のバイブルでもあった。ブランドや高級品を扱っているわけではない。

視点は、若い世代が選ぶべき上質なものや、普段の生活の心構えだったり、ディテールの重要性だったり。ファッションを通じて、美の本質から始まり、そこから生まれる表現の力がもつ可能性をも教えてくれた。

美意識が問われる、白いシャツブラウスを1枚選ぶ。記事の内容はうる覚えだが、特集記事にならって、お店を何軒もまわって探したことを思い出す。

ただのブラウスなのに・・
色は、よくあるはずの白色なのに・・

それが、なかなか見つからないのだ。

結局、探しているときには見つからず、ある時、ふと立ち寄ったお店で理想の白いシャツブラウスを見つけた。それは、私には少し背伸びをしなくてはいけない、仕立てのよいブラウスだった。躊躇することなく、購入したのはいうまでもない。

袖を通すときの、微かな緊張感。
ボタンをとめた後の凛とした表情。

「ヴァンテーヌ」は、そんな私に出会わせてくれた。

自分で丁寧にアイロンをかけ、汚れる前にクリーニングにも出し、今でも大事に着続けている。良質な生地で、仕立てのいい服は、一生ものだ。

ファッション雑誌の影響が、こんなにも大きかったとは気づかずに、私の手元には1冊も残っていない。

先日、部屋の整理をしていたら、廃棄予定の書類に紛れて、見覚えのある切り抜き記事を見つけた。たったの8ページだが、今改めて見ても興味深く、またどことなくクラシカルな印象をも受ける。

色褪せない、写真と文字の存在は、普遍的な美を追求する多くの女性たちをたしかに魅了した。

もう一度、読んでみたいとバックナンバーを探してみても、1989年9月創刊号〜1998年12月号は、どうしても見つからない。

見つからないけど、今日、探している年代の別冊号だが、3冊見つかったとの連絡があった。

やった〜!あの、発売日に本屋へ向かう、ワクワクした気持ちがよみがえる。

もうすぐ、春。

お洒落をして、出かける計画を立てようと思う。

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