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Lemon

「思い出」

わたしをおぼえていて、わたしが旅立ち

はるか沈黙の国に、行ってしまったとき

そのときはもう、あなたはわたしの手をとることができず

行きかけたわたしが、ふりむいて戻ることもない

わたしをおぼえていて、あなたが描いたふたりの未来を

日ごと語ってくれることができなくなった、そのとき

ただ、おぼえていてくれればいいの、だって、そのときは

言葉をつくしても、祈っても、遅いのだから

けれど、ひととき、わたしのことを忘れて

あとで思い出しても、どうぞ嘆かないでね

闇に朽ちはてる面影が、

わたしの思いの名残のように、この世にとどまっていても

あなたが思い出して、悲しむより

忘れて微笑んでくれるほうが、ずっと良いのだから


クリスティーナ・ロセッティ


「Lemon」

どこかであなたが今 わたしと同じ様な

涙にくれ 淋しさの中にいるなら

わたしのことなどどうか 忘れてください

そんなことを心から願うほどに

今でもあなたはわたしの光


米津玄師


前述の詩は「ぼくが消えないうちに」というイギリスの児童文学本の冒頭に掲げられた詩です。

この詩を読み、本を読みながらLemonの一節が浮かびました。

根底には誰しもが考える「生と死」という普遍的テーマがあり、それはいつの時代も変わらず普遍的かつ永遠のテーマであります。

すでに没後100年以上経っているクリスティーナさんと今を生きる米津さんが時空を超えて巡り合ったような感覚を受けました。

短い言葉の中にどれだけのことを表現できるか、

なんとなく感じているけど曖昧な感情を言葉で表現されたとき

そう、それ、まさしく感じていたことはそれ

というように自分の感覚を確認できた、共感できた

そのことを嬉しく感じる。

人との会話、他者との関わりの中で共感することもあるけれど

ひとり静かに読書や音楽を通じて自分の感覚を確認できることは

しあわせなことであると感じます。


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