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For you

あなたのことを知りたくて
あなたの日記を読んで
あなたの思いを知って
あなたの姿を
あなたの声を
想像する

あなたは時に辛辣で
あなたは時にチャーミングで
あなたは時にユーモアにあふれていて

あなたが日記を書き続けたのは
あなたがあなたであり続けるため

あなたが生きていたならば
あなたは何になっていただろう

あなたはあなたの日記が世界で一番読まれた日記だとは知らない

でもあなたはわかっていたのかもしれない

あなたのことを知りたくて 
あなたの日記を読んだ
あなたの魅力はつきず
あなたに会いたい思いは募り
あなたへの思いを書いている

まるで
あなたの架空の友だちキティーのように
わたしの架空の友だちみたいなあなた


アンネ・フランクへ


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「世界で最も読まれた十冊のうちの一冊」と評される

「アンネの日記」

ナチスの迫害を逃れて潜んだ隠れ家で13歳から15歳の日々をつづった日記である。

はじめて読んだのは小学6年生くらいであっただろうか。

アンネの日記はいくつか出版されているが、小学生向けに書かれたものであった。

キティーという架空の友達に向けて書かれた文章は
まるで自分に向けて書かれているかのようであった。
自分よりちょっと年上のお姉さんが書く日記はずいぶんと大人びている印象であったように記憶している。

時を経て今、再びアンネの日記(増補新訂版)を読んだ。

再読して思うことは、

言葉はただの言葉ではない。

言葉は気持ちを伝えるためにある、
ということである。

自分の中にある、内なる言葉。

内なる言葉を日記というかたちで書いて外に出す、
それは自分との対話でもある。


「とはいえ こういう状況の中でのせめてもの救いは こうして考えることや感じることを紙に書き記すことができるということです。そうでなかったら、完全に窒息していたでしょう。」



日記を書くことがせめてもの救いと記した彼女の言葉。


言葉をもち、伝えることができる
「言葉にできる」ことは何と素晴らしいことなのか。

書くことは「言葉の世界で生きる」ことでもある。

強制収容所ではもちろん書くことは許されない。
書くものすらない。
あるのは自分の身、ただひとつである。

どんなにか書きたかっただろうか…
彼女の胸中を思うと
ひどく悲しく、やるせない。


ふと、思った。


永遠のテーマ
「無人島にひとつ持っていくとしたら?」


私は紙とペンを持って行きたい。

たぶん書くことで救われると思うからだ。

紙とぺンだけでは生命維持には何の役にも立たないだろうが、精神維持には大いに役立つ。
食べ物もなく、もしかしたら紙を食べることになるかもしれない。
それでも、
その時まで書いていたいと思う。


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