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冬の花火

クリスマス礼拝に参加した母
私は仕事、娘は学校であったため参加できなかったが、母からチャプレンのお話を聞いた。


感慨深く、温かなお話であった。


その教会は病院の敷地内にある。
ある日、近くの河川敷で花火が上がった。 
秋まつりだろうか
昨年の台風被害に続くコロナ禍、各地での大きな花火大会は軒並み中止
しかし、復興への願いやコロナ禍を乗り切ろうという応援、祈りを込めた花火が規模を縮小して打ち上げられていた

花火は翌日も上がった
次の日も
その次の日も
時刻は決まって毎日18時

何の花火だろうか?

毎日定刻に上がる花火の理由

それは二人の会話

花火師の男性とホスピスに入院中の女性
夫婦である二人の会話だったのだ

コロナ禍において病院はどこも面会中止

花火師の夫は病室から見える場所を探し、その河川敷を見つけたという

病室から花火を見つめる妻

花火が上がる時
ふたりの間の壁は取り払われ
互いを思いやる優しさが
言葉はなくとも
ふれあえなくても
夜空に満ちる

いつしか入院患者も、病院スタッフも
窓から花火を見つめ
つかの間の休息、安寧の時間が流れる

まるでドラマのような
でも現実の
本当のお話


寒波が再び押し寄せ
今日は朝から雪が降り
一段と寒さが厳しい
ホワイトクリスマス
雪降る中での花火

今宵も花火は上がっただろうか

降る雪と夜空を見上げ
涙腺がゆるむ

いつまでも続いてほしいと願いながらも
花火の終わりは
命の終わり

7才の時に祖父が亡くなった
私が出会った初めての死
悲しむ私に母は言った
おじいちゃんはお星さまになったんだよ
たくさんある星の中に
おじいちゃんの星があって
いつも空から見守ってくれているんだよ、と
だから私はおじいちゃんと話したいときは
夜空を見上げた
大人になった今でも

花火と共に
夜空にきらめく星になる
 
一瞬のきらめきは
永遠に輝く星になる

夜空を見上げ
大切な人を想う

死んでしまったら 
何もないなんてことはない
私はずっと信じていたい
星になることを
身近に感じていたいから…


クリスマス礼拝でのこころ温まるお話である。

窓越しの雪 涙でかすみ ぼんやりと 

まるで無数の星のよう

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