見出し画像

6つのアート作品を通じて学ぶ「アート思考」

・アート思考を育む、6つのアート作品
・カメラが引き起こしたイノベーション
・世界をハックするアート思考

上記の内容は、『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』に書かれている内容です。

本書は、6つのアート作品を通して、アート思考について学ぶことができます。「アート」がよくわからないという人や「美術」が苦手という人にもおすすめでしす、現代のビジネスマンにとって、とても価値のある内容がつまっています。

著者の末永 幸歩氏のプロフィール(引用:DAIAMOND online)
武蔵野美術大学造形学部卒業し、東京学芸大学大学院教育学研究科(美術教育)修了。東京学芸大学個人研究員として美術教育の研究に励む一方、中学・高校の美術教師として教壇に立つ。現在は、東京学芸大学附属国際中等教育学校で教鞭をとっている

アートという対象をベースに、どうやって「思考の枠」を解放し、新たな価値を生み出していくかが書かれています。まさにイノベーションの発想に通じるものがあります。


アート思考を育む、6つのアート作品

本書では、アート思考を学ぶために、20世紀に生まれた6つのアート作品が主に取り上げられます。アート作品で思い出すのは、レオナルド・ダ・ビンチの「モナ・リザ」や、モネの「睡蓮」、ゴッホの「ひまわり」などでしょうか。しかし、どれも本書では、アート思考を考える作品としては取り上げられません。長いアートの歴史でも20世紀に生まれたアート作品こそが、「アート思考」を育む題材として最適だと著書が考えられているからです。

本書を読むと、本当に6つの作品すべてに驚かされます。作品毎に著者が「問い」と「解釈」を提示してくれているのですが、読み進むたびに「アート」というものに対して考えていた思考の枠が外されていき、「アート思考」というものについての理解が深まっていきます。

下記が、6つの作品ごとの「問い」と「作品」になります。

クラス1「すばらしい作品」ってどんなもの?/アンリ・マティス《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》
クラス2「リアルさ」ってなんだ?/パブロ・ピカソ《アビニヨンの娘たち》
クラス3アート作品の「見方」とは?/ワシリー・カンディンスキー《コンポジションⅦ》
クラス4アートの「常識」ってどんなもの?/マルセル・デュシャン《泉》
クラス5私たちの目には「なに」が見えている?/ジャクソン・ポロック《ナンバー1A》
クラス6アートってなんだ?/アンディー・ウォーホル《ブリロ・ボックス》
引用:末永 幸歩. 「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2657-2667). Kindle 版.

この「問い」と「作品」だけでは理解できませんが、本書を読むことで、自らが囚われていた思考の枠に気づきます。

カメラが引き起こしたイノベーション

本書では、20世紀のアート作品を主に取り上げていますが、その理由は「20世紀にカメラ」が普及したため「アート作品」は変わらざるを得ませんでした。

「カメラ」が登場するまでの作品は、「目に映る通りに描かれた絵」というものが大きな「価値」でした。しかし、「カメラ」が登場したことにより、その価値は「画家」でなくてもカメラがあれば、誰でも提供できるようになりました。そして、アート作品の価値は根本から由来でしまいます。

そして、クラス1に登場する「マンティス 」は、「目に映る通りに描く」という価値を手放し、「目に映る通りに描く」ということからアートを解放しています。

「カメラによるアート(画家)市場の破壊」のような技術的イノベーションの事例は、昨今でも多く発生しています。マンティスの「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」は、「意味のイノベーション」を提示した事例と考えられます。

「意味のイノベーション」の事例として、「ロウソク」があります。ロウソクは、「明るくする」という価値を提供していました。そして、電灯が登場し、より「明るくする」という価値を提供できるため、ロウソクは利用数がどんどん減ってきました。

しかし、昨今では、「ロウソク」の利用数が増加傾向にあるようです。これは、「火のゆらぎによる明かりと暗さにより雰囲気を出す」という価値を提供しており、「明るくする」とは別の価値を提供しています。

新たな答えと問を生み出す

「アート思考」とは、下記の思考プロセスであり、「自分だけの視点」でものごとを見て、「自分なりの答え」」を作り出すための作法とあります。

①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、
②「自分なりの答え」を見つけ出し、
③それによって、「新たな問い」を生み出す

このアート思考の考え方は、「ハック思考」(以前に書いた記事)で紹介されいた世界をハックするプロセスにもつながる部分があります。

世界をハックするプロセスは、
1. 世界を違った角度から見つめ、他人が気づいていない規則性や法則に気づく
2. その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する
のたった「2つのステップ」しかないとあります。

ハック思考」の著者は、世界の偉人の共通点が上記のプロセスとありましたが、アート思考とは、ハック思考と同じく「世界を違った角度で見つめる」ことで、自分なりの答えを出し、新たな問いを発することで、新しい法則や気づきを提案します。

まとめ

多くのアート思考の本がありますが、本書はアート作品を通して、アート思考をとてもわかりやすく学ぶことができました。

書籍内にもありますが、VUCA 時代と言われ、常に変化し続ける時代だからこそ、新たな価値を自ら作らなければなりません。本書がその「新たな価値」をどう見つけるかのきっかけになると思います。

---
Twitter でも、プロジェクトマネジメント x リモートワークのノウハウと本について、つぶやいていますので、よろしければ繋がってください。

https://twitter.com/kajyou

支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。