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既存ルールのスキマにフォーカスするハック思考

・世界をハックする2つのステップ
・既存のルールを把握するための4つの察する力
・著者の成功や失敗して得られた3つの引き出し

これらのことは、「ハック思考(著)須藤憲司」に書かれている内容です。まずHackとは、ビジネスなどにおける、インプット(時間 x お金)に対して、アウトプット(成果)の転換率を劇的に高めるための方法のことです。ビジネスの現場では、いかにリソース対効果を高めるかというのが重視されますが、まさにそのための「考え方」を示してくれる本になります。


著者は、株式会社 Kaizen Platform の代表取締役で、元リクルートの最年少執行役員、本書内にトラックレコードとして多くの実績が記載されていますが、多くの影響を与えて続けている人です。

世界をハックする2つのステップ

著者のハックする原点は、子供のころに読んだ偉人のマンガであり、世界の偉人のストーリーに共通点があることに気づいたそうです。それは、「世界を、世の中の人とは違った目で見つめていて、その視点が正しいと後から世の中の人が気づいた」ということです。

これは、いまでいう「イノベーション」ではないでしょうか。それまであった価値観を破壊し、新しい価値観を生み出していることですよね。本書では、不確実性の高いイノベーションについてではなく、普段の仕事や生活のなかのインプット・アウトプットの転換率をいかに高めるかにフォーカスされており、イノベーションの思考をより日常に使えるようにしたものだと感じました。

世界をハックするプロセスは、
1.  世界を違った角度から見つめ、他人が気づいていない規則性や法則に気づく
2.  その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する

のたった「2つのステップ」しかないとあります。

これは、「ハック」とは、既存モデル・プロセスの巧拙ではないということだと思いました。ハックとは、インプット と アウトプットの転換率を劇的に高めるものです。そして、Kaizen Platform は、自社サービスではなく、支援する側として様々な事業会社に関わっています。なので、事業会社の改善と比較しても、高い転換率を上げる必要があります。

普通の既存モデル・プロセスに対して、専門的な知識で改善をしていくと、得意な領域や知識の差がでるケースがありますが、様々な事業で成果を出すために、その「既存の仕組み」の仕組みとは違う部分を見つけることにフォーカスしきっています。(これがひとつの手段ではなく、ここにフォーカスする会社という考えはおもしろいと思いました)

既存のルールを把握するための4つの察する力

他人が気づいていない規則性や法則に気づくには、「観察、考察、推察、洞察」という4つの察する力が必要とあります。

・観察:具体的な変化を見つけること
・考察:具体な変化から規則性を見つけること
・推察:考察の転用先を見つけること
・洞察:観察・考察・推察から、異なる因果関係を見つける

本書では、朝顔の観察の話で、されぞれの察する力を説明されています。この4つの察する力は、プロセスとしては、①観察、②考察、③推察、④洞察 という流れに発生していきますが、一方方向ではなく、観察と考察を繰り返し、推察結果から再度観察したりとそれぞれが発生していきます。

ここのポイントは、「洞察」をどう見つけるかです。他人が気づいていない規則性を一発で見つけられることもあるかもしれませんが、基本的には多くのデータを観察、考察しながら、推察し当たりをつけて洞察をえます。

この洞察についての話は、石川善樹さんの「問い続ける力」にある一節を思い出しました。

「あえて、既存ルールの外れ値に注目することで、本質に迫る可能性がある。」というのは、この洞察に通ずるものがあると思いました。

前にも登場した北川拓也氏(理論物理学者、楽天常務)は、よく次のようなことを言っている。「物事の本質を捉えるためには、単純で極端なケースを考えるとよい」たとえば、血液型と性格の関係について何か本質的なパターンを導こうと思ったら、「大ざっぱなO型」という誰もが想定しそうな事例に注目するよりも、たとえば「神経質なO型」という外れ値に思える事例に着目した方が、本質に迫る可能性がある。この「例外を例外として切り捨てるのでなく、そこに本質が現れているかも!?」という姿勢は、科学だけでなく、ビジネスや社会変革など、あらゆる分野で応用可能だ。たとえば、予防医学の分野で行われた、あるプロジェクトを紹介したい。

石川善樹. 問い続ける力 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.246-253). Kindle 版.

またこの「洞察」を見つけるために、本書では、「皮膚感覚」として、著者の経験を紹介してくれています。

著者の成功や失敗して得られた3つの引き出し

著者は、洞察を見つけるためのノウハウとして、「視点」「方法」「勇気」の3つの引き出しを紹介しています。

・視点の引き出し
・方法の引き出し
・勇気の引き出し

方法の引き出しでは、いくつかの事例やhowtoが紹介されています。

具体的なKaizen の事例として、ストライプインターナショナルの服のサブスクリプションサービス「mechakari」のLPの違いにより、DL数に10%の差が発生していました。

そこで紹介されているビジュアルコミュニケーションで、成果向上につながる要素は、下記の4つになります。
・レイアウト
・ビジュアル
・コピー
・行動喚起 Call to Action

こういった改善の具体的な事例をhowtoがいくつか紹介されています。。

まとめ

ハック思考 とは、「いかに既存のルールのスキマを見つけるか」というシンプルな手法でした。しかし、「誰も気づいていない既存のルールを見つけること」というのはシンプルですが、とても難易度が高いと感じました。なぜなら、「既存のルールのスキマは、固定の場所ではない」ということだと思います。

たとえば、事例として記載したビジュアルコミュニケーションは、Webサービスの業界では、一般的に考えている部分になります。しかし、Webサービスの業界以外では、馴染みがないかもしれません。逆に、Webサービスの業界では、顧客との対面コミュニケーションのポイントや、古い業界にある仁義・人間関係という力に気づけていない場合があります。

「ハック思考」を実現するには、多くの経験をへて、皮膚感覚を養うことで、切り口にいかにきづけるかが重要だと思いました。


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