【1日1冊】笑えない失敗事例/世界「倒産」図鑑(著)荒木 博行
こんにちは。
休みの日にも本をせっせと読んでいます。読みたい本が多くて困ってしまいますが、またおもしろい本です。「世界「倒産」図鑑(著)荒木 博行」です。
世界「倒産」図鑑について
著者の荒木博行氏は、本の要約サイト flier(フライヤー)のCOOで、Voicy で ブックカフェを配信しているビジネス書のプロ!といった方です。
flier は、ゴールド会員、そして、Voicy も毎日チェックしているのですが、自分では選ばない本や、知っている本でも自分では気づかなかった「読み方」を紹介してもらえるのでとても参考になっています。
そんな荒木マスターの「倒産」図鑑ですが、失敗について調査することも難しく、またひとつの原因で倒産したと断定することも難しいのですが、25社の色々な倒産の背景を「戦略上の問題」と「マネジメントの問題」と2つのカテゴリにわけ、「過去の亡霊型」「脆弱シナリオ型」「焦りからの逸脱型」「大雑把型」「機能不全型」に分類されることによって、倒産に陥ってしまう要因として、自らの振り返りに役立つ知識として身につけやすくなっています。
伝説の消えた商社「鈴木商店」
個人的には、「脆弱シナリオ型」の鈴木商店、「大雑把型」のNOVAは自分自身もビジネスを推進していく上で考えておくべきポイントがあるなと感じました。
鈴木商店は、名前をしらなかったですが、1874年創業し、1927年に倒産しています。ちなみに、鈴木商店の参加だった企業で今でも有名な会社が多くあります。「双日」「神戸製鋼所」「帝人」「アサヒビール」「サッポロビール」「三井住友海上火災保険」など、、とありますが、そんな今日まで続く企業を生み出した企業がなぜ倒産に至ったのか。
鈴木商店(すずきしょうてん)は、かつて存在(登記上は現存)した日本の財閥、商社。樟脳、砂糖貿易商として世界的な拠点網を確立するとともに、製糖・製粉・製鋼・タバコ・ビールなどの事業を展開。さらに保険・海運・造船などの分野にも進出し、ロンドン・バルティック取引所で日本企業として2番目のメンバーとなる。
鈴木商店の子会社の1つ、日本商業会社は岩井産業と合併し日商岩井へ、更にニチメンと合併し現在の双日のルーツの一つでもある。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/鈴木商店
鈴木商店が消えた(倒産した)理由
鈴木商店は、絶頂期には財閥系の三井物産、三菱商事を遥かに上回る年商を生み出します。それは多くの事業に進出し、リスクを取って多くの事業を拡大をしていきました。しかし、第一次世界大戦終結後のワシントン海軍軍縮条約による軍艦建造の中止命令と関東大震災による資金繰りの悪化で絶頂から一気に倒産へと突き進むことになります。
同じような条件であるはずの財閥は同じような状況であっても、安定した鉱山事業などもあり財閥でみたときにポートフォリオが組めており、また財閥内に銀行業があることで資金繰りが可能でした。しかし、鈴木商店は、事業は多角化していましたが、リスクマネジメントのための、適切なポートフォリオを組めていなかったことが、短期的な風向きの変化に耐えきることができませんでした。
急成長企業の1事業への集中
これは今まで関わってきた企業で近い状況をみてきましたが、スタートアップやベンチャー企業と呼ばれる企業は、どうしても一番成長する可能性がある事業へ「1点集中」しがちです。リソースが限られているので仕方がない部分もありますが、企業がある程度の規模になったときにもどうしても優秀な人材や企業の大半のリソースを1番の主力事業に集中させてしまうことが多々あります。
上記のような成長している最中の企業にいると、リソースのROIで一番効果の高いところに集中したくなる心理が痛いほど感じます。しかし、短期で急成長する事業は、また変化で下降するのも本当に早いです。そこを踏まえていかに成長している最中にどうリスクマネジメントするのかは難しいですが、冷静に考える必要があるなと感じました。
誤った意思決定を見えなくする「売上増」
また書籍の全体を通して、「売上増は七難を隠す」という言葉の怖さを感じました。今までは、企業が右肩上がりに成長しているときは問題が存在していても気になることはありませんでした。しかし、停滞した段階で色々と問題が噴出していくということは良く経験していました。
そのときは、売上がまた成長することでそれらの問題を抑えることができる、問題は成長することだと浅く考えていました。しかし、今回の倒産時点では、倒産した要因は、「成長しているときの意思決定」に問題が多くありました。それは成長しているがゆえの誤った意思決定(現時点ではよく見えるが、市場が変化すると最悪)ですが、どうやって成長しているときに隠された七難を見つけ出し、手を売っておくか。これは常に注意しておかなければならない視点だと思いました。
本日の1枚まとめ
本日のメモ
失敗事例はなかなかないので、いつもと違う視点をもつために良い本でした。成功事例というのは基本的に波にどうのったかを語ることが多いと思いますが、失敗事例は波に乗れなかったときにどう振る舞うか、もしくは波にのっている最中にどう振る舞うかの参考になります。まだ波にはのってないですが、今後のために学びになりました。
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