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音楽留学回想記〜Berklee College of Music

2007年から2010年、バークリー音楽大学(米ボストン)に留学した時の経験談的なことを、お届けできたらと思います。

「バークリー音楽大学」(以後「バークリー」)と聞くと、ジャズで有名な学校というイメージを持たれる方も多いと思うのですが、コンテンポラリー音楽の総本山的存在とも呼ばれるだけあって、様々な学科があります。

前身の学校の創立(1945年)当時は、他では教えていなかった、現代ポピュラー音楽の理論を提供する画期的な学校だったようです。

一昨年(2015年)、東京で開催された入学説明会では、「バークリーは、その時代の最先端のコンテンポラリー音楽を学べる学校」という説明がありました。

私が入学した2007年当時は、演奏学科をはじめ、音楽制作を学べる学科、映画音楽学科、音楽療法学科、エンジニアリング学科など、全部で12の学科がありました。

自身の留学経験から、特に良かったと思う点を5つに絞ってみました。

①学生と先生が互いに切磋琢磨している。

②年齢、性別、国籍、才能、技量等に関係なく、情熱を一番に見てくれる。  

③学生の都合に合わせてカリキュラムを組める。

④学んだ事を発表し試せる場が沢山有る。 

⑤現場で活躍しているプロの生の声が聞ける。 

「オフィス・アワー」といって、授業で分からなかった箇所や宿題の質問ができる時間が設けてあったり、実力を認められると先生と共演する機会もいただけたり。

自分をアピールして、分からないところは積極的に質問して‥と、能動的に取り組む学生が一番伸びていました。

聞いた話によると、1つのクラスが開講するまで数年かけて授業内容を創り、先生方はお互いの知識や資料を惜しみなく共有して、日々改良が重ねらているとのこと。

現在は、オンライン・コースも充実しており学位も取れるみたいで、世界中どこにいても学ぶチャンスがあるというのは、この時代に生まれたラッキーな要素の一つでもあるのかもしれないですね。

かくいう私も、帰国後に「Orchestration」のオンライン・コースを受講しました!留学当時は、JAZZ作曲学科だったので、ビックバンドの作編曲法しか受講していなかったので‥。映画音楽のスコアを作る際にはオーケストレーションはマスト!ですよね。先生からのコメントも、クラスメイトのチャットもリアルで、まさにバーチャル授業!と言った感じでした。宿題ももちろん毎週提出していました。

自分に何が合っているかはやってみないと分からないので、学科を変えられるという点は学生の可能性を広げ、才能が開花する要因の一つであったように思いました。

私の場合は、演奏学科に在籍しながらジャズ作曲学科の授業を受け、最終的には転科しました。

ジャズ作曲学科は、結構ハードな学科の一つで、宿題は、作曲して生録音する所まで求められており、自分でリハーサル室を予約し、演奏者を集め、連絡係となり、録音して、音源とスコアを提出ということを、毎週やっていた時期もあり、

加えて、友人の課題もよく手伝っていたので、週末にまとめて宿題をやる日々で、遊んだりする時間が全く無く、いつも息切れていた気がします。目まぐるしい日々だったけど、休みの数日が天国のように感じられました。

当時、学内には100名程入るライブ会場が3つと、外部のコンサートも開催される1000人規模のホールがあって、学生は一学期に一度そのライブ会場を使って演奏会を開催する事ができました。

私も毎学期開催し、その都度内容を変え、自由にプロデュース!学んだことをアウトプットするって、一番重要なんで、そういう場所を沢山設けてくれたつくづく良い学校だな〜と改めて感心してます。自作曲を発表する学生も多くて、めちゃくちゃ刺激を受けてたし、アイディアを沢山もらっていました。

ライブ録音とビデオ録画を大学側が担当してくださり、プロモーションの材料がすぐ揃えられる環境だったのは大きいです。YouTubeなどにアップロードしたり、大学内での奨学金増額の申請とかにも活用してました。

学内では、頻繁に現役スペシャリストの講演会やワークショップが開催されていて、自由に質問する機会も持て、自分の作品やCDを渡してアピールする学生さんもいたな〜。  

学生の中には、奨学生オーディションを受けた人も多く(世界各国で開催!)、私も奨学生として入学し、プロジェクトバンド(生録音の提出が義務づけられている学生の課題提出用に、初見で演奏するバンド)に入る事が条件の一つでもあったので、その経験や、友人の課題のお手伝いも含めて数えきれないほどの初見録音に携わった経験は、現在のレコーディングのお仕事現場に生かされています。

(続く)

※「総合文化誌KUMAMOTO No.13〜16」連載記事に加筆修正を加えたものです。

                       

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