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形容詞一つで片付けられないこと



この写真は「美しい」瞬間を撮ったと自負してます。
ですが、「美しい」と一言で片付けられるような単純な「美しい」ではありません。今回はそんな話です。

この時のシャッターを切るまでの様子を少し記します。

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爽やかな風と波の癒される音を感じながら、海岸沿いを歩いていると、波打ち際で写真を撮るカップルらしき二人が目に入った。男はカメラを構え、彼女と思われる女性をファインダー越しに見つめている。女性は笑顔で男に向かってポーズを取り、その光景にはどこか初々しい雰囲気が漂っていた。もうすぐ沈もうとする太陽が、逆光となって二人をやさしく包み込み、まるでその未来を祝福するかのように光を与えていた。

その場には言葉はなかったが、爽やかな風が吹き抜け、波が穏やかに打ち寄せる音が背景に広がっていた。すべてが整い、絶妙なバランスの中で今この瞬間が存在している。美しいと感じたのは、二人の姿だけではなく、光、風、波、その全てが一つになって生み出された情景だった。

その瞬間に「美しい」と感じ、私はシャッターを切った。目に見えるものだけを追い求めるのではなく、その場の空気感や感情までも映し出そうとするのが、写真家としての役目。
言葉で表すなら「美しい」かもしれないが、形容詞では表現しきれない、もっと複雑で繊細な感覚がそこにはあった。
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私は、単純な形容詞一つでは片づけられない瞬間と出会えた時にシャッターを切ります。
アート全般でそうだと思いますが、そこの背景や作家の想いと感情を個人的に解釈し、その作品を読み解こうと自分なりに想像する事が見る側の楽しみ方です。
正解とか不正解を求めるのは野暮です。自分なりの答えを見出して楽しむ。

秋は芸術の秋とも言われますな。
沢山のアートと触れ合える場所が全国にあります。

是非とも色んなアートに触れて楽しんでみてはどうでしょうか。

takanori kajiwara
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