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【2023/03】 カスタマーサクセスは概念? - LayerX CSの実体 -

この記事はLayerXアドベントカレンダー2023春の11日目の記事です。
今回はバクラク事業部CSの最新の活動状況を赤裸々にお伝えします。
昨日の記事は丸野さんの「情報の透明性って、本当に必要?」でした。

こんにちは。LayerXバクラク事業部でカスタマーサクセス部のマネージャーを務めているかじ(@kajicrypto)です。

すっかりnoteでの発信をサボっていたら面談で「最近の組織体制はどうなっていますか?」「足元はどんな活動してますか?」と聞かれることが多くなってきました。

引き続き事業の成長に合わせて3ヶ月ごとに体制やメインテーマを変えているので、前回のnoteから変化した足元の活動状況をお伝えしていきます。

やったこともできていないこともフラットに書いていたら7,500字overになりました。目次から気になるトピックに飛んでお読みください。

前提:カスタマーサクセスは概念

最初に毎度ながら変わらない「カスタマーサクセスは概念」を書かせてください。

CS職の具体的な業務範囲やKPIは状況に応じて変化しますが、“カスタマーサクセス”というものは職種に限らずプロダクトと顧客とのあらゆる接点において想起されるべき概念だと考えています。

組織全体でお客様への価値提供に目が向いていないと、Salesがマッチしないお客様に無理やり売ってきてCSがハイタッチでマイナスを0にするために頑張る、トップラインを伸ばす開発にエンジニアリングリソースが集中して機能不足によるチャーンをおもてなしで防ぐようなCS活動となってしまいます。

この点、LayerXでは行動指針「徳」や「羅針盤」にある“短期的な売上至上主義に走らず”, “提供価値にこだわる”が繰り返し発信され、プライシングや日々の活動において徹底されています。

例えば、受け入れられるお客様層や仕切りについてSalesと頻繁にマネージャー間ですり合わせたり(むしろSales側からこういう開拓をしたいのだけどCS受け入れどうですか?と日々確認をいただけます)、CSが集める既存顧客の声をPdMが聞いたうえで既存顧客への価値向上もしっかりロードマップに組み込んでくれたりしています。

カスタマーサクセスを組織全体で体現しながら、そのなかでCS職はどこまでの業務を担うかを状況に応じて体制とともに変化させています。

業務範囲と体制の変化

2022/09まではCS内でできるだけ“広い”サクセス活動を志向した体制を敷いていました。詳しくは前回のnoteをご覧ください。

2022/10からは事業部全体の組織変化に伴い、CSはカスタマーエクスペリエンスの向上を主業務としています。

2022/10の体制変化

カスタマーセールス&マーケの独立

カスタマーセールス&マーケは2022春にCS内でチーム組成し、その後のバクラク経費精算という新プロダクトの登場により大きな成果を残し、一組織として独立していきました。

新プロダクトを出し続けるコンパウンドスタートアップにおいて、Expansionを通じてプロダクトシリーズの価値をより深く提供していくことは重要です。そのために組織が専門化していきました。

とはいえ現時点で在籍しているのは元CSメンバーですし、ExpansionにはCSとの密な連携が必要です。CSからはCSQL(Customer Success Qualify Lead)の創出・トスアップを行うことで一緒に推進しています。

カスタマーサクセスアーキテクトの横断組織化

アーキテクトという役割にはいくつかの想いを込めていたのですが、わかりやすく言うとCS Opsやデータ分析を推進していたチームです。

もとはCS内の1チームでしたが、Opsは結局THE MODELのどの部門にも必要です。SalesのSalesforceの項目変更がCSに影響したり、マーケが使っているHubspotをCSが使いたくなって車輪を再発明していたり、契約・請求まわりなど部門横断で整理すべきトピックもありました。

そこで事業部の共通組織としてBizOpsチームが立ち上がりました。CSに2名いたアーキテクトのうち1名がBizOpsのマネージャーとなり、もう1名がBizOps内のCS担当として一緒に活動してくれています。

CSは何をしていくのか?

体制変化だけを見るとCSの業務範囲がシンプルに狭まり、契約後のお客様を受け取ってひたすらハイタッチオンボをするチームになるように見えるかもしれませんが、そんなことはありませんでした。

複雑化したカスタマーエクスペリエンスを追求する

上図のように一段と深めていくべきトピックが大量にあり、複雑化したカスタマーエクスペリエンス活動をぐっと深める方向に舵を切りました。

CSメンバーが増え、プロダクトが半年に1つ増え、お客様がすごく増え、お客様層が広がり、2つの法律・制度が大きく動き、また次の新規プロダクトを仕込み中で、パートナービジネスも成長し始めている状況でした。

現在の体制と業務内容

その後、体制は3ヶ月ごとに少しずつ変化をさせながら、現在は主に下図のようになっています。

2023/03時点のCS体制

カスタマーサクセス部のなかにカスタマーエクスペリエンスとサポートの2つのグループを持ちます。前者または前者所属のメンバーをカスタマーエクスペリエンスマネージャーの略でCXMと呼んでいます。

CXMにはセルフサクセス、チーム1、チーム2の3チームがあり、半数以上のメンバーは何らかのプロジェクトや担当を兼務しています。

人数は4月の内定者とサポートの派遣パートナーを含めCS全体で15名、うちCXMが10名、サポートが5名です。

SalesやPdMはもちろんとして、カスタマーセールス、新プロダクトの開発ないし推進チーム、BizOpsとは強固に連携しながら日々情報のキャッチアップとCS活動への反映を推進しています。

セルフサクセスチーム

昨年秋頃から活動を始めたセルフサクセスチームは、サービス利用上の課題をお客様が望むタイミングで自己解決をしていただけるよう、また増え続けるお客様に対して我々が適切なエコノミクスを維持しながらサービスを提供できるよう、ロー/テックタッチ、コンテンツ、ステップメールなどを通じたサクセス活動を提供しています。

対象は毎月の新規契約社数の10-15%にあたり、クラウドツールに慣れていて自ら積極的に設定を進めてくださるお客様、導入サービス数や利用予定が少なめのお客様などです。

活動としては昨年後半に1人が初期版のオペレーションを作りながら検証し、ハイタッチなしでも一定レベルのオンボーディング完了率を達成できるようになりました。

現在はその過程で作った仕組みやコンテンツをCXM全体にも入れ込み、複数メンバーで自己解決の促進ならびに最適化を進めています。

セルフサクセスの取り組みをチーム全体に展開

今後は初期版をアップデートし、よりお客様に近いプロダクトの“面”を通じたチュートリアルや設定アラートなどによるシームレスなセルフサクセス体験を提供していきたいし、そうしないと事業計画上の新規契約社数をCSがキャパ的に受け取れなくなります。

ただ、完全にリソース不足で一時停止中、次のアップデートに着手できていません。テックタッチを通じた顧客体験の設計や価値提供が得意な方いらっしゃいましたら是非応募いただきたいです!

セルフサクセスについては1から企画推進してくれたmichiru_daのnoteも是非ご覧ください。

チーム1/2

ハイタッチを含むサクセス活動を担っています。チーム1と2の顧客割り振りにはグラデーションがありますが、基本的にはチーム1がSMB/クラウドツールに慣れているお客様/導入サービスが少なめ、チーム2がMMB/クラウドツールに慣れていないお客様/導入サービス多めといった分け方です。

チーム1の活動は先述のセルフサクセスとハイタッチの「ハイブリッド」形式で、多くのお客様を短い期間でオンボーディングします。チーム2はしっかり「ハイタッチ」形式で、業務フロー改善や社内展開を支援しながら、簡易的なWBSやガントチャートなども使ってサクセス活動をしています。

ここ半年間はどちらのチームもオンボーディングの改善にとても力を入れました。というのもプロダクトが増え、お客様のサービス導入パターンが増え、その上チーム独立やPMMへの異動などが重なり、入社半年前後のメンバーで8割以上のお客様を担当していたからです。

バクラクのCSにとって1番重要なKPIは期間内のオンボーディング完了率です。オンボ完了率はチャーンレートに対する1番大きな先行指標です。

バクラクは業務フローに組み込まれるツールのため、オンボーディングをしっかりできればほとんど解約はなく、逆にオンボーディングに失敗すれば基本的に業務フローに乗らず解約となります。

顧客数ベースのCSファネル

上の図は契約顧客数ベースのCS活動のファネル(ロジックツリー?)です。成約しCSが受け取った社数がどのような変数を経て継続社数/解約社数につながるかを描いたものです。

オンボが予定より遅れている場合は「オンボ滞留」というステータスとし対応を続けていますが、その後も完了しなかった場合は基本的に「解約見込」とし、そこからの「復活率」は非常に低いです。これは業務フローに組み込まれるSaaSでは概ね同じではないかと思います。

オンボーディング改善では、プロダクト別のオンボーディングフェーズと完了基準の見直し、Salesforceの項目チューニング、行動管理/アラートの強化、お打ち合わせ資料のアップデート、コンテンツ作成などを進めました。(すべてメンバーが進めてくれました!)

プロダクト別オンボーディングフェーズと完了基準
アラート運用例
バクラク申請・経費精算のオンボーディング関連資料

結果として、90%を目標に置いている期間内のプロダクト別オンボーディング完了率の平均的な向上、オンボーディング期間を2週間弱短縮などの成果が出ました。具体的な内容はメンバーに是非カジュアル面談などで聞いてみていただければと思います。

現在はお客様の層ごとにより最適なオンボーディング体験を届けるためにアンケートや有償プランの設計を進めています。

Expansionへの取り組み

オンボーディングに加え、新プロダクトを出し続けるコンパウンドスタートアップにおいては、常にExpansionへの種まきやCSQL(Customer Success Qualify Lead)を創出し、お客様により深く価値を届けていくことは重要です。

CSQL創出数はCSのひとつのKPIとして持っており、特にチーム1/2ではオンボーディング期間中におけるタッチ活動をしています。

なお、“CSQL数”がKPIとして良いかは答えは出ていません。CXMがExpansion MRRを目標に持つと、その土台となる活動である契約済サービスのオンボーディングが歪む可能性があるので、現状はCSQL創出までとし、その後はカスタマーセールスにトスアップして一緒にExpansionを推進しています。

プロジェクト/担当

長くなってきたので一部紹介にとどめますが、いくつかのプロジェクトや担当が常に走っています。今のところ基本的にはCXMが兼務しています。

■ プロダクト担当
プロダクトごとに、1番そのプロダクトに詳しく、PdMとの窓口を担うプロダクト担当をCXM内に置いています。

現場からのプロダクトフィードバックループを回し続けることをミッションにいろいろと活動したいものの、足元は新規契約社数の多さにやや押され、CS内での新機能周知、ハンズオン、リリースノートまわりの業務にとどまっています。

■ パートナーサクセス
ここから先、事業としてパートナーアライアンスの動きがとても重要になってきます。非線形での顧客増や顧客セグメントの広がりが見込まれます。

パートナーが関わるCS活動は様々な契約形態や求められる支援の形が出てくるはずで、既に複雑化し始めあわあわしています。本腰を入れて直販のお客様と活動を分けて整え続ける必要があります。

パートナービジネス、税理士法人と関わる仕事などを経験された方、是非仲間になっていただき非線形の成長を一緒に作っていきたいです!

カスタマーサポート

サポートはなかなか採用が進まず落ち着かなかったのですが、昨年10月に入社したサポートマネージャーのyokoが素晴らしいチーム組成を行ってくれました。本人が発信すると思いますので割愛します!

数値/ダッシュボード系

カジュアル面談時にKPIや見ている数値もよくお聞きいただきますので、詳細のダッシュボード画面や数値自体はお出しできませんが、一覧を開示いたします。

CSとして見ている数値/ダッシュボード一覧

走りながら作りながら変えながらですので過不足があると思います。また見る頻度や各ダッシュボードの完成度もバラバラです。

「この数値なんで見てないん?」とか「このへんの活動はモニタリングしてないの?」などご意見ありましたら是非教えていただきたいです。

実はできていないこと

外への発信はやはりうまくいったことを盛って出しがちなので(ごめんなさい)、これまでのnoteを読んでくださった方から実態以上にLayerXのCSが“整っている”ように見えていることに気付いてきました。

実はできていないことを赤裸々に記しますので、「意外と整ってないんだ」「まだまだ仕組み作りするフェーズだな」「そこ私にやらせてほしい」という方を全力でお待ちしています!!

収益ベースのCSファネル

上の図は収益ベースのCS活動のファネル(ロジックツリー?)です。成約しCSが受け取った新規MRRがどのような変数を経てNet Recurring Revenue(正味経常収益)につながるかを描いたものです。

できていないこと

赤い文字入れしたところができていないことです。そうです、CS活動全体を俯瞰するとできていないことだらけなのです・・・。

オンボーディングは永遠に立ち上げフェーズ

バクラクでは新プロダクトをこれまで年に2つのペースで出し続けており、今後もコンパウンドスタートアップとして変わらず出し続けます。新プロダクトが出る度にCSはオンボーディングの整備や組み合わせによるアップデートが必要です。

「もうオンボーディングはきれいに整ってるんでしょ?」「もう150名を超える会社に今から入っても立ち上げフェーズは終わってるんでしょ?」と思われるかもしれませんが、事業の成長スピードやプロダクトローンチに伴う変化が激しく、体感としては半年に1回何かを立ち上げ続けている感覚がありますし、これからも続きます。

アダプション期の活動、できていません

お恥ずかしながら全然できていません。「現在の体制と業務内容」でオンボーディングについては触れていますが、アダプション期についてはリアクティブな活動に留まっています。

新機能デリバリーの改善や機能利活用の促進、リニューアルマネジメントなどは最近やっと少〜し始められたところです。

アダプションは足元やっと模索開始

ヘルススコア、ありません

実は、サービスローンチから2年も経ちますが、未だにヘルススコアはありません。

ヘルススコアはえいやで作ったあとに、チャーン発生ごとに1件1件振り返って閾値や変数をチューニングするものと思っています。

足元ならびに向こう1年の見込チャーンレートがissueに上がらないくらい非常に低いため、良くも悪くもロジックが全然育っていません。

一応、個社に対応するものとして、個社別の利用状況をこまかく見るダッシュボード、然るべきタイミングに初期設定が終わっていない場合のアラート、顧客層を5段階に分類するバクラクスコア、利用状況が異常値になった際のアラートはあります。

アラート例

一方、気付いたら利用社数が多く積み上がっており、このままではいられない状態になり始めています。

アダプション期の活動も併せて、来期中には顧客全体を俯瞰してデータに基づきピンポイントで効率的なアクションを促す仕組みが必要になってきます。一緒に1からやりませんか?

CSQLの創出、仕組み化できていません

上述のようにCSのKPIとして足元はExpansionのためのCSQL数を持っていますが、その創出活動はまだまだ属人化しています。

夕会でみなのtipsやトークを共有したり、notionに情報を溜めたり、競合勉強会が開かれたり、最近は個社別アクション管理も始めているものの、CSQL創出の仕組みとまではいっておらず一段と注力が必要です。

特にアダプション期からの創出はカスタマーセールス&マーケチームのウェビナー以外タッチができていません。

・・・ということで足元のNRRやチャーンレートは非常に良好な状態ですが、1年後2年後の事業拡大や計画達成に向けた仕組みは本当に未熟で、引き続き多くの仲間が必要です。チャンス、あり〼。

なぜ情報をオープンにするのか?

「なんでそんなに発信してるんですか?」ともよくお聞きいただくので共有させてください。目的は2つです。

仲間集め

ストレートに採用活動です!情報をしっかりオープンにし、転職の検討材料としていただきたいです。

世の中には魅力的なスタートアップが溢れています。情報がない、アップデートされていないというのはそれだけで存在感が消え去ってしまうと思っています。

情報を発信することで、より情報が集まる

これはLayerXのカルチャーブック「羅針盤」のひとつです。

実際に発信を続けるなかでたくさんの方とお話しとても勉強させて頂いています。まだまだ成熟していないCS領域だからこそ、n=1の小さな事例ですが積極的にオープンにしていきたいと思います。

さいごに

お決まりですが、本当に本当に本当に引き続き仲間を募集しています。

「お客様を主語に」を大切に、プロダクトのビジョンである「圧倒的に使いやすいプロダクトを届け、ワクワクする働き方を」届け続けるためにCSは活動を深めていきます。

少しでも興味を持っていただけた方は以下のいずれかのネクストアクションを今このままぽちっと進めていただければ幸いです!ブラウザを閉じる前に、今、どうかお願いします!

■ 採用情報いろいろあります

■ CSエントリーフォーム

■ カジュアル面談 LayerX OpenDoor
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長文最後までお読みくださりありがとうございました!