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不二家の株主総会招集通知を読んでみた 女優の酒井美紀氏を社外取締役に選任する件

先月ニュースになった件です。私のnoteでも取り上げました。その時の記事はこちら。

少し前のことになりますが、株主総会の招集通知がHPにアップされましたので、取締役の選任決議案のページを読んでみました。

結論的には説明不足な印象です。

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https://www.fujiya-peko.co.jp/assets/pdf/ir20210302_1.pdf

比較のために同じく新任社外取締役候補である村岡氏と併せて読んでみました。

選任理由

酒井氏

当社は同氏に社会貢献の観点から助言をいただくことのほか、主婦としての観点からも助言をいただけるものと判断し、新たに社外取締役として選任をお願いするものであります。

経営の観点からではないのですね。前回の記事にも書きましたが、会社の重要な意思決定に係る議決権を渡すだけの十分な理由になるのでしょうか。アンバサダーのままではダメな理由がはっきりしないです。ちなみに職歴欄が独特です。

村岡氏

当社の取締役の業務執行について客観的な立場から監督するとともに、経営全般に関する助言をいただけるものと判断し、新たに社外取締役として選任をお願いするものであります。

定型文ではありますが、社外取締役の選任理由として広く受け入れられているものです。コーポレートガバナンスコードの趣旨にも合致します。

経営経験

コーポレートガバナンスコードでは、社外取締役の適格性に関して、経営経験があることを前提に多様な人材を確保することとされています。このため、不二家でもこの点に言及しており、以下のとおり、お二人とも共通の表現となっています。

同氏は過去に会社経営に関与したことはありませんが、上記の理由により、当社の社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと判断しております。

酒井氏についてはまあそのとおりなんでしょうが、村岡氏については、2020年6月から東証一部上場の日本光電の社外取締役も務められています。会社経営に関与したことはないってハッキリ書いちゃってますが、”関与”のハードルが高すぎませんか?経営経験という意味ではお二人にはだいぶ差があるようにも思えます。

一方で、コーポレートガバナンスコードでは、法律専門家・会計専門家を選任することが望ましいとされており、この点で村岡氏のご経歴は申し分ないでしょう。

次は…?

株主総会の質疑応答や議決権行使結果ですね。質疑応答は公表されるか分かりませんが、議決権行使結果は金商法で提出が義務付けられている臨時報告書に記載され、EDINETで公衆縦覧されます。他の取締役候補に比べた賛成票がどのくらいだったかということが分かりますので、結果が出ましたらレポートしたいと思います。

補足

酒井氏の資質については存じ上げません。本稿では、IRが十分かという観点から検討しています。酒井氏の資質が十分であっても、広く疑念が生じる状況であれば、それを丁寧に説明していくことが投資家との適切な対話になると考えております。



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