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長洲港から鹿児島港-九州島1/4周の自転車旅行記

2012年からGWなどの休暇を使って自転車での九州一周を続けてきました。残すところ熊本県長洲港から鹿児島港となったので、2021年のGW期間中に一気に片づけることにしました。その結果、5日間を要する合計走行距離490km、合計走行時間47時間、走行平均速度10.4km/h(超低速です)、合計登坂標高5497mの旅でした(Googleマップは、クリックで拡大地図表示)。やはり古希前の老体にはやや負荷が大きく、疲労の蓄積が原因して4日目に坊津で転倒事故を起こしてしまいました。それでも、鑑真和上のご利益と、親切な人たちのおかげで、大事にならずに帰って来ることができました。

1日目(2021/4/28):長洲港-不知火・砂川大橋
長洲港-菊池川(10km/10km)-河内川(12km/22km)-白川(10km/32km)-緑川(10km/42km)-赤瀬駅(20km/62km)-三角西港(8km/70km)-松合(20km/90km)-不知火交差点(8km/98km)-砂川大橋(5km/103km)
9:22発-19:30着、走行時間計7:47、走行平均速度13.2km/h、獲得標高590m

浦上駅から長与まわりの1番列車に乗り、大村湾の景色を楽しむ。諫早から島原鉄道に乗り多比良へ。途中の古部駅や少し先の大三東駅は海が見える駅で紹介されていることもあり、観光地としてブレークする予感がある。

多比良港から長洲港に渡り、自転車の旅をスタートさせた。菊池川、河内川、白川、そしてひときわ大きい緑川を渡るとJRあまくさみすみ線にぶつかる。国道沿いのジョイフルからは独立峰金峰山が見えた。海岸線に出ると有名な長部田海床路も見え、行く手の有明海越しには雲仙岳がそびえ、なかなかの絶景。秘境駅で有名な赤瀬駅にも立ち寄った。三角半島が尽きて、左に回り込むと別世界。予備知識がまったくなく三角西港に入り込んだので、その半端ないタイムスリップ感がすごかった。

三角駅を過ぎ、雨も降りだし、やや薄暗いなか、国道沿いに小さく土蔵群との案内があった。立ち寄ってみたら、ここがまたまた驚きの別世界だった。

不知火の交差点では雨が本降りとなり、コンビニでビールと食料を調達して八代方面に南下。運よく砂川大橋でお堂を見つけて一安心。人柱伝説の供養塔のお堂で、翌朝には掃除し、なにがしかのお賽銭を上げた。

2日目(2021/4/29):不知火・砂川大橋-薩摩高城駅
砂川大橋-球磨川(20km/20km)-日奈久温泉(7km/27km)-上田浦駅(8km/35km)-肥後田浦駅(10km/45km)-佐敷駅(7km/52km)-津奈木駅(14km/66km)-水俣駅(8km/74km)-米ノ津駅(12km/86km)-折口駅(14km/101km)-阿久根駅(7km/108km)-薩摩高城駅(16km/124km)
7:21発-20:34着、走行時間計11:03、走行平均速度11.2km/h、獲得標高1205m

翌朝、まだ雨が残る中を出発。三角州の川を二つ渡ると球磨川本流には美しい人道橋が架かっていた。

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日奈久温泉を過ぎ、上田浦駅付近まで海岸沿いを行く。山越えして肥後田浦駅付近のコンビニで昼食。このころやっと雨があがった。こまかい峠越えを繰り返し、佐敷、津奈木、水俣を過ぎ、県境を越え鹿児島県出水市米ノ津駅に至った。これらには熊本地震のころにはよく聞いた地名も混じっている。帰りは天草を通って長崎に戻るつもりだったので、その中継となる折口駅方面に寄り道して阿久根へ。阿久根での食料調達後にはすっかり暗くなってしまったが、国道沿いの薩摩高城駅には迷うことなく着いた。薩摩高城駅裏の砂丘にはGWというのに誰もいなく、まったくのソロキャンプとなった。

3日目(2021/4/30):薩摩高城駅-吹上浜野営地
薩摩高城駅-草道駅(5km/5km)-川内川河口大橋(17km/22km)-土川(10km/32km)-串木野サンセットパーク(7km/39km)-串木野駅(11km/50km)-廃線跡自転車道(20km/70km)-吹上町(8km/78km)-吹上浜野宿地(3km/81km) 8:13発-19:00着,走行時間計8:21、走行平均速度9.8km/h、獲得標高974m

薩摩高城駅の隣の草道駅から川内川の河口に向かえば良かったのだが、川内川の地形が頭に入ってなく、遠回りしてしまった。それでも、遠回りしたおかげで、広々として長閑な川内川の景色に出会うことが出来た。

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川内川河口橋を渡った久美崎は、かつて薩摩藩の軍港で、かの薩摩の英雄島津義弘はここから朝鮮に渡ったとか。川内原発の横を通り、峠を越えて土川、さらに峠を越えて絶景ポイントの串木野サンセットパークを経て串木野駅へ。景色は良かったが、この峠越えでかなりの体力と時間を消費してしまった。スーパーで弁当を買って人心地をつけた。串木野から程なくして3号線から別れ、270号線を進む。南薩鉄道の吉利駅跡と廃線跡の吹上浜サイクリングロードを見つけ、それをたどることにした。この吉利は小松帯刀ゆかりの地らしく、小松帯刀が早世しなければと思いを巡らす。途中、景色の良い宿泊適地もあったが、コンビニがまったくなく、食料とビールの調達がかなわずあきらめた。

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吹上の町でようやく食料を手に入れたが、日没も迫っていたので入來浜まで行けなく、町近くの森の中でツェルトを張った。

4日目(2021/5/1):吹上浜野営地-枕崎駅
野営地-入來浜突堤(3km/3km)-サンセットブリッジ(8km/11km)-自転車道終点(5km/16km)-高崎鼻(17km/33km)-野間池港(5km/38km)-後藤鼻(10km/48km)-鑑真記念館(6km/54km)-坊津泊港(15km/69km)-枕崎駅(11km/80km)
6:21発-21:37着、走行時間計10:42、走行平均速度7.5km/h、獲得標高1509m

4時半ごろ、突然の雷雨に起こされたが、明るくなるころは止んでしまった。入來浜の突堤から左右、はるかに続く吹上浜砂浜は、全長47kmとか。

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入來浜から再び自転車道をたどる。万之瀬川のサンセットブリッジを渡ると程なく自転車道は尽き、国道226号線となった。海岸沿いの道を行くと、海越しの野間岳の三角錐が美しい。

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高崎鼻で標高100mまで登らされる。4日目ともなれば疲労が蓄積し、100mでもつらく、押して登った。その先の笠沙谷山段々畑はすごかった。急峻な段々畑の耕作放棄が平成6年ごろのことで二度びっくり。野間池漁港に下り、これからの難路に備えてパンでエネルギー補給。枕崎までは40kmだが平地はなく、上り坂と下り坂しかない。

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標高100mほどのところで上り下りを繰り返す道なのだが、蓄積疲労ですっかり登坂力がなくなりひたすら押して上がる。海が見える展望所に出ると来し方の野間崎方面が美しい。前方右手の沖秋目島はさらに美しい。ここいらは007のロケ地だったとか。ショーン・コネリーが懐かしい。

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好事魔多し、後藤鼻手前で転倒事故を起こしてしまった(GPS地図を拡大すると、その痕跡が見える)。疲労と、大荷物(野宿用)と、油断があいまっての事故だった。擦り傷だらけになって倒れていと、通りがかりの方が親切に介抱してくれた。とにかく傷口を洗わなくてはと、秋目まで走り鑑真記念館で清めた。秋目は鑑真和上の上陸地だとかで、たまたま居合わせた中国人観光客にもいたわってもらった。その後、約30kmを5時間近くかけて枕崎駅に到着。坊津泊からの最後の峠を越え、枕崎の町の灯が見え、その中に降りて行ったときは、ちょっとした感動に包まれた。

5日目(2021/5/2):枕崎駅-鹿児島港
枕崎駅-入野駅(27km/27km)-開門川尻(11km/38km)-指宿駅(16km/54km)-喜入道の駅(20km/74km)-鹿児島港(28km/102km)
6:32発-18:00着、走行時間計9:07、走行平均速度8.9km/h、獲得標高1209m

南国というのに非常に寒く、枕崎駅前を早朝に出発。頴娃のジョイフルで朝食後、入野駅付近から開聞岳の南側に回り込む。思いがけず開門トンネルという不思議なトンネルに出くわした。トンネル内は天井の所々に明り取りがあるが暗く、下り坂で路面も荒れていて、不気味だった。トンネルを抜けたところで疲れ切った様子(おそらくそう見えた)で休憩していると、傷だらけの老人を介抱しにマスク美人が車から降りてきた。若い女性とひとしきり会話するうちに、左肩や左股関節の痛みも和らいだ。

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その後は、指宿、喜入とひたすら走り、鹿児島港で旅を終え、九州島一周が完成した。天草に行く話は頭からすっかり消え、鹿児島港から熊本に向かう高速バスに乗り込んだ。家に帰ってから妻に野宿の旅は止めるように厳命されたのは言うまでもない。

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