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心理屋のこれからの仕事ー2021年・師走(草稿)

※最近考えてることを、ざっくりメモしとく。どこもかしこも荒い雑考でしかない。一つずつ、少しずつ仕上げてく。
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カウンセリングや心理療法をナリワイとする僕ら心理職が、この先食ってくには、既存の業界の外に打って出る必要があると、切に感じている。

昨年4月に長年勤務した職場(精神病院)を退職して1年9ヶ月。細々とではあるけれど、ずっとそればかり考えながらやってきた。

まだ全然稼げてはないけれど。

伝統ある従来型の心理屋業務はもちろん大切だ。マスとしての心理職にとって最優先の役割は、生活・心を過度なストレスによってシビアに侵食されている方々をしっかりとサポートすることだ。医療・福祉・教育といった公的な領域におけるセーフティネットの一端を担うことだ。シビアな状況に対処するための最低限の知識・スキル・作法を身に付けとくことは絶対条件だ。専門家同士、内輪で集まって研鑽し合うことも必要だろう。

でもそれだけじゃ遠からずジリ貧になる。必ずなる。業界の外側にも可能性を探っていかなきゃ生き延びれないと思う。

そんな危機感・感覚を共有できる人は、この業界にはまだ多くないけど。

最近の僕は、面接室にはやってこないフツーに暮らしてる人たちとつながることに喜びを感じている。心理職とはなんの関係もなさげな職種の人たちとコラボできることに楽しさを感じている。特にエンタメ系の仕事をしてる人たちには、めちゃくちゃ刺激をもらっている。

心理屋業界では、以前から好条件の職場は超激戦の椅子とりゲームだった。同世代の平均並の収入を得ている者はごく僅かだ。そんな状況下で「公認心理師」という国家資格が成立し、同業者(商売敵?)はさらに激増している。けれど、国の財布はパンク寸前。支援職同士の予算の奪い合いなんて事態もちらほら。

超零細型ゼロサムゲームだ。

よのなか的にはニーズは莫大なのだろうが、業界内の稼げるシステムは貧弱極まりない。

僕ら心理屋がこの先食ってくには「不適応・病気・障害」の外側に活路を見出すしかない。

サービス利用者の裾野をどれだけ広げれるか。「カウンセリング?何それ?意味あるの?旨いの?」くらいに健康度の高い人たちが、興味を持って利用してくれるようなポップなサービスを生み出せるか。内輪の評価ではなく、サービスの利用者の皆さんからの率直なフィードバックに基づいてチューニングを重ねていかなきゃいけない。

「治療モデル」「成長モデル」「予防モデル」が従来の三大活動指針だった。僕はそこに第四の指針として「エンタメ・遊び・暇つぶしモデル」を加えることを提案したい。

持てる知識やスキルを組み合わせ、パッケージし直し、心理屋の優位性(あるのか?)を活かした新しいサービス・遊び・働き方を生み出したい。

心理屋の優位性ってなんだ?何ができる?

端的に言えば、いささかトリッキーなコミュニケーションスキルだ。二進も三進もいかない悪循環の渦を軌道修正する技術だ。

・安心安全を提供し
・良い関係を築き
・コミュニケーションを活性化し
・フレーム変更を可能にし
・視点の転換を可能にし
・関係を変え
・文脈を変え
・自己理解を促し
・新たな思考・行動・習慣を生み出す

どれも臨床場面以外にも使える汎用性の高いスキルのはずだ。

間接的な「癒し・発症予防」効果を前提とするので、公認心理士法に定められている「国民の心の健康の保持増進に寄与する」という目的にも適う...はずだ。活用するメディアや形式は指定されていないので、サービスの効能説明に伝えるべき適切な情報をうまく組み込めば「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」ともギリ噛み合う...かな?

治療〜成長〜遊び〜予防

四つのモデルがゆるやかに接続したネットワークが張り巡らされた世界。それこそが僕が望む理想だ。

日常的なコミュニケーションのなかで溜まりに溜まったストレスを「非日常的な遊び」に一時的に離脱することで間接的に解消するのではなく、日常的なやりとりあるいはコミュニケーションの中でー楽しみながら気持ちよくー直接的に解消できる仕組みがあればよい。

この業界に決定的に足りてないのは「遊び心」だ。メンタルヘルスの維持増進に果たす「遊び」の効用を十全に活用しようとする視点・姿勢だ。

ライバルは医師や看護師ではない。同業者でもない。Watson(AI)であり、占いであり、神様仏様であり、スナックであり、アルコールであり、カラオケであり、switchであり、iPhoneであり、BTSであり、ディズニーであり、Netflixであり、YouTubeであり、TikTokであり、ソロキャンプであり、釣りであり、ヨガであり、サウナである。そんな強敵たちを相手に、数多の人々の可処分所得・時間を奪い合わなきゃいけない。

いや別に、敵対する必要はない。ツールとして、パートナーとしてコラボできればwin-winだ。

「メンタルヘルス×エンタメ=メンタメ」

メンタメ業界の裾野が広がり、さまざまな無数のニッチなサービスが群雄割拠するようになれば、よのなかの健康度は上がり、僕らの心と懐もあったかくなるだろう。

業界内に限って言えば、まだまだブルーオーシャンゆえ、今のうちに頑張っとく。先発優位(first-mover advantage)とっときたい。

楽しみながらやったもん勝ちだ。
システムにこき使われるのはまっぴらだ。

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