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本音は「ずっと寝ていたい」

フリーランス(実質アルバイト)生活を始め、細々と自分が興味をもって取り組める仕事をつくる作業を繰り返してきました。もうすぐ二年が経ちます。

自分はなにをしたいのかと問い詰めた先にあった結論は「ずっと寝てたい」でした。 

僕には、とりたててやりたいことはないようです。どうしても手に入れたいものもないようです。

六畳一間の小さな部屋で、最小限の必要なものに囲まれて、暖かい布団で惰眠をむさぼることができれば、このうえなく幸せです。

休日の朝に目を覚まし、布団から出る必要がないことを確認し、再び目を閉じて体を丸める瞬間が最高に幸せです。

しかし、ご先祖様から引き継いだ僕の脳や身体はそんな幸せを許してくれません。

狩猟採集時代の厳しい世界を死に物狂いで生き延びたご先祖様のDNA、その仕様に基づいて組み上げられたハードウェア、そこに組み込まれるその後の先人たちが練り上げてきたソフトウェアに沿って作動している僕の脳や身体は「起きろ!動け!死ぬぞ!」と警告を発してきます。身体感覚や感情や認知のチャンネルを介して(あくまで善意からの)不快な信号を送り、脅してきます。

あるいは「退屈さ」という、「別に何かしなきゃいけないことがあるわけじゃないけど、なにかしないと落ち着かない」というある意味不合理な意識状態をつくり出すことで、僕を何とか布団から引きずり出そうとします。

迷惑です。

でも、これらの力に全面的に対抗することは不可能です。ヤツらには勝てません。だって僕の脳や身体の操縦桿はヤツらが握っていますから。

抵抗し続ければ、ヤツらは「寂しさ」「虚しさ」「劣等感」なんていうより高度な謀略を用いて、僕をより一層不快で不安な状態にさせ、なんとか動かそうとしてきます。

ずっと布団の中で幸せに過ごし続けることは、ヒトとして生まれた限り不可能なのです。

本当は、植物のようにただそこに居るだけで、生をまっとうできればよいのだけれど。

なので、僕は幸せな布団生活を取り戻すために、なにかしらの行動を起こし、脳や体に刺激を与え、ヤツらを安心させる必要があります。身体を動かし、意味的なものを生み出す必要があります。

寝ていることが叶わないとすれば、他に気持ち良いことはなんだろう?

本を読むこと
映画を観ること
手軽に旨いものを食べること
なにか小さなものをつくること
好きな人とイチャイチャすること
人と会っておもしろい話を聞くこと(数日でいい)
旅に出ること(数日でいい)

そんなところです。

自分のやったこと、話したことによって他人が笑顔になるのを見るのも好きです。

ただやっぱり、とりたてて「コレ!」というものはありません。

僕のミッションは、気持ちよく寝てるという最高に幸せな時間を確保するために、脳や身体の機嫌をとることです。無理なく続けられる、次善の幸せあるいは退屈しのぎにとりくむことです。とりあえず手持ちの知識やスキルが使えれば効率が良いです。それが世のため人のためになるなら、ステキなことです。

とりあえず今日も働きます。

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