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(読書感想)「ミッドナイト・ライブラリー」注:ネタバレあり

マット・ヘイグ著
この人の他の作品「トム・ハザードの止まらない時間」(これ、本当に残念なタイトル、、)が面白かったのと、このライブラリーの表紙が素敵だったので手に取った本。

あらすじとしては、主人公は35歳の女性。失職し、親しい友人や家族もおらず、飼い猫が亡くなり、自分の人生に絶望して命を絶とうとしたところ、生と死の間にあるというこのミッドナイト・ライブラリーに立っていた。そこで彼女が選ばなかった人生の「その後(もしこちらの選択を選んでいたら)」の数々に出会い、主人公が最後に選んだものは?というもの。

〜ここからネタバレを含むので、この本をこれから読みたい方は閉じることをお勧めします。〜

結論から言うと、心を動かされることはなかったけど、私なりの解釈で伝わってくるメッセージは「今を生きる」ってこと。これって至極当たり前のことで、でもだからこそ忘れやすくて時々思い出すことが大事だと思うので、そう言う意味では、思い出すきっかけとなって良かったかなと思う。主人公が最後の選択も、捻りがなくて面白みに欠けて、それが自己啓発本くさいと評価した人もいるみたいだけど、でもその結論で良かったかなと思う、現実的で。絶望な人生でも否応なく明日は来る。これ以上無理だ!となったからって、じゃあ別な選択をした方の人生に移ろうかなってできないよね。

It is not the lives we regret not living that are the real problem. It is the regret itself. We can't tell if any of those other versions would have been better or worse. Those lives are happening, it is true, but you are happening we well, and that is the happening we have to focus on.

これは最後に主人公がソーシャルメディアにあげた文章の中の文。タイトルは「A thing I have learned」。そう、結局はどの選択を選んでも正解でもあるし間違いでもある。その時はほぼ完璧な人生に見えても、その後新たな選択が必ず出てくるし、そこで困難が待ち受ける可能性はある。一生完璧な人生などない。だから、「あの時こうしてれば良かった」と後悔し続けるよりも、過去に学び、今何ができるかを考える方が建設的。

というのは、机上論。人は迷うし、他人と比べるし、自分をよく見せたいし、後悔もするし、他の人の選択なら客観的に冷静に判断できるけど、自分のことになると考えすぎて迷子になる、そんなの私だけなのかな。もちろん後悔のない人もいるだろうし、少しの後悔はあるけど自分の人生に満足してる人もいるだろうし。私といえば、後悔はあるし、やり直せるものならやり直したい。でも無理だよね。

He said, "Son, just stand. You keep standing."
「息子よ、ただ立っているだけでいい。立ち続けろ。」

先日、偶然に見つけたユーチューブのビデオの中でリック・グリスビー博士という方がスピーチしていた中の言葉。

博士の奥様がガンで亡くなって、自分と二人の幼い子ども達と残され人生のどん底にいた時に、博士の父親から言われた言葉だそうです。踏ん張る、この言葉とても好きです。何もできない、でもただただ踏ん張り続ける、それだけでも十分立派。

人生という壮大なテーマを語るほどものを持ってないので、ここら辺で終わろうと思います。「ミッドナイト・ライブラリー」、考えるきっかけをくれたという意味では良かったと思います。

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