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(読書感想)21世紀の人類のための21の思考

何年もかけて、やっと読み終わった本。
少し読んでは時間が経ち、(内容を忘れたので)また最初から読んでまた時間が経ち、また最初から読み、の繰り返しで、3分の1まで読んだけど、結局話がうる覚え
だったので、今回も最初から読んで、そして読み終わった。感無量。

お堅い感じの装丁

「21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ著
この人の「サピエンス全史」、「ホモ・デウス」と読んで、今回もきっと良い本だろうと期待していたが、その通りの読んで良かった本。

テクノロジーや政治をめぐる難題から、この世界における真実、そして人生の意味まで、われわれが直面している21の重要テーマを取り上げ、正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきかを問う。いまや全世界からその発言が注目されている、新たなる知の巨人は、ひとりのサピエンスとして何を考え、何を訴えるのか。すべての現代人必読の21章。

アマゾンの内容紹介文より

なんか物々しい紹介の文章だけど、色々なテーマについて分かりやすく書かれていて、事例もあり読みやすかった。

今私たちが直面しているITとバイオテクノロジーの進化と地球温暖化問題が、人類の歴史の大きな変化の一つ。その変化によって生み出されると予想されている一例が、人間の仕事がAIにとって変わられる、というもの。いろんなところで聞くこの話、この著者もこの主張をしているのだが、私は個人的に少し懐疑的。確かに機械化が進んでいるし、これからももっと進むと思う。コンピュータテクノロジーなど未知の世界でど素人の私には、テクノロジーの進化等全く分からないが、身近に感じる事柄だけを見てみると、短期間で飛躍的に進んで、何十もの職が一気に無くなるとは私には想像しにくい。

例えば、私の勤めてる会社にも倉庫があって、倉庫担当の人たちは、部品がある棚に行って、注文の品を全部集めて、箱にパッキングして配送会社に預ける。全部人がやっている。人件費も高いだろうが、これをアマゾンの倉庫みたいに機械化するのはもっと高いのでは?中小企業がどこまで機械化できるのだろうか。

また、私の部署では複数のシステムを使っているが、それぞれ独立したシステムをつなげているので、何かの変更を加えたい時、片方は機能するがもう一方がエラーになるということもある。小さな変更が全体に影響することもあるので、容易にカスタマイズ化しにくい(費用もかかるし)。それこそ大企業でもなければ、自前で独自システムを作ることは難しいと思う。何かのエラーや不具合が出る度に、コンピューターは人を助けているのか邪魔してるのか、どっちなんだろうと思うことがある。

あと、どんなにテクノロジーが進んでも、結局悪用する人がいる。最近デンマークでニュースになったのが、サイバー攻撃。デンマークの複数の企業だけでなく、ボーイングなどの世界中の色々な企業を攻撃していたロシアをベースにするハッカーグループ(の何人か)をFBIなどが逮捕したよう。もちろん攻撃してるのはこのグループだけではないし、これで収束するわけはない。デンマークの自治体のシステムへの攻撃の試みも、年々増えているよう。テクノロジーに頼れば頼るほど、システムが落ちた時のインパクトは経済的にも安全面(個人データ流出など)でも大きくなる。攻撃への対策費用もばかにならない。

また、著者が指摘していたのが、AIと倫理をどう共存させるか。例えば、自動運転の車が走行中に、道に子どもが走り出てきたが、もしその子を避けると対面から向かってきているトラックに衝突する。もしトラックに衝突すると、7割の確率で自動運転車に乗っているけど居眠りしてるその人は亡くなるという計算をAIが瞬時にしたとして、AIはどの選択を取るべきなのか。その倫理の選択をするのは、システムを書くエンジニアなのか、政治家なのか、誰なのか。そして事故の責任は誰が負うのか。

そして、AIの進化に絡んで次のような意味のことを書いている。

テクノロジーの進化によって、労働市場(どういう仕事が必要とされるか)が常に変化する時代になるだろう。今まで存在していた仕事がAIにとって変わられるとともに、新たに生み出される仕事も出てくるため、人々は教育を受け直し新たな職業につくというサイクルを人生の中で数回繰り返さなければいけなくなるかもしれない。大人になってからまた一からやり直すという作業に適応できるメンタルを持ち続けれるか、それも重要になるだろう。

そして、大人だけでなく子ども、変化に対応できる力と予期せぬ状況でもメンタルを保つ力を身につけるのが大事だと説いている。確かに、メンタルは本当に大事。

21のテーマどれも興味深くて読んで面白かったが、何とも暗い気持ちになってしまったのも事実。なんとも混沌としそうな(というかもう今現在進行形なのか?)近い将来。こんなことを毎日考えてる著者は大変だな。そんな彼は、毎日Meditationをしているのだそう(それにはちゃんとした彼の理論があるのだけれど)。私も買っておきながら開封していないヨガマットを引っ張り出してやってみようかな。
(すぐ影響されるタイプ。)

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