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『すずめの戸締り』の感想|期待以上のとても良い作品

仕事の関係でこの時期まで観ることができなかった『すずめの戸締り』。

新海誠監督の最新映画をやっと観ることができたので、見たあとすぐの率直な感想を語ります!

※物語の核心には触れませんが、感想を語る上で触れないといけない箇所は若干ネタバレのような形になります。気になる方はご注意ください。

ストーリー

「日本の災害」、特に「地震」にフォーカスしたものと思われる今作『すずめの戸締り』。厄災は「後ろ戸」と呼ばれる扉から吹き出し、扉の向こうには"すべての時間が同時に流れる"という「常世」が広がっている。

そんな扉から出る災い"ミミズ"を"戸締り"するために旅をするのが宗像草太であり、宮崎の美しい港町で草太と出会い、イスに閉じ込められてしまった草太に変わって戸締りの旅をしていくのが、主人公の岩戸鈴芽である。

感想

途中から気づく方もいるかもしれませんが、主人公でありヒロインの鈴芽は東日本大震災の被災者です(明言してはいないが、描写から推測できる)。前作の『天気の子』は"水害"を描いていることに続き、ある意味“タブー”とも感じられる出来事を扱い、「命」というテーマを描いているのは、さすがの新海誠監督と感じました。

全体としては、ネコであるダイジンがキーキャラクターであり、"ガール・ミーツ・ボーイ"な感じということもあり、なんだかジブリ作品を見ているような感覚がありました。それでいてスピーディーで大きな緩急をつけた展開は、新海誠作品を存分に感じさせるものでもありました。

最初は自分の命を顧みることがなかったすずめと草太が出会い、“二人でなら生きたい”と思えるようになったことが一番印象的。緩急の付け方もとても良かったし、最初の自転車の鍵を開けるシーンも、最後まで見ると感慨深くなる。こういう小さな仕掛けが新海作品ならではで鳥肌が立ちました。常世ではすべての時間が同時、というのも、ちゃんと伏線になっているので、ぜひ最初から最後まで、ちょっとした発言や描写にも気を配っておくと、最後にすべてが繋がる感じがしてとても良いです。

相変わらずのスピーディーな展開が、今回は若干“エヴァ感”をつくっていた気もしますが、それでもさすがの新海作品だと最後は感じました。「行ってきます」は鍵にちなんだセリフなんだろうけど、最後の「行ってきます」はきっと…。

あと個人的に感じたのは、最近ガンダムばっか見ている影響か、草太のセリフに"富野由悠季み"を感じたのも結構好きだったなぁ。笑

まとめ

『すずめの戸締り』、他の方の感想はどうあれ、僕は過去2作品に劣らない素晴らしい作品だと感じました。

今までの2作品は、基本的には舞台が固定だったのに対し、今回は日本列島を縦断していくように鈴芽が旅をしていくのもとても新鮮でした。その中で様々な人と出会い、それがエンディングの演出に繋がっていたのも良かったですね(この辺も今回はジブリ感があった)。

今後も新海誠監督には、こうした“難しいテーマ”“扱いにくいテーマ”を美しい映像美とともに描き続けてほしいです。この世界観は、きっと新海監督でしか描けないと思いますからね!

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