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2023年7月の読書記録まとめ

みなさんこんにちは! 旅狼かいとです。

今回は、2023年7月で読んだ本をまとめていきます! 7月は、特に後半は読みやすい本を多く読んだ印象です。

月末になるまで生活習慣がぐちゃぐちゃでその期間ほどどっぷりと本の世界に浸かっていたことを考えると、結構ストレス発散として本を読んでいたのかなとも感じています。


①運動脳

この本を一言で言い表せば、「運動は脳機能を向上させる最上の手段だ。だから運動しよう!」だと思う。そして、この一言を行動に移すため、少しでも「なるほど、確かに運動しないと」と思わせてくれることが書かれている

脳の構造や化学物質についても話してくれているので科学的な興味がある人ならより楽しめるが、どの章もどの話も、結局最後は「運動は脳に良い。だから運動しよう!」に帰結する。何度も同じことを言われることでより身に染みるという効果はあると思うが、少しくどいと思う人もいると思うし、何より一冊読み終えるまでに飽きてしまう人が多いのではないかと感じてしまった。

「運動は脳に良い。だから運動しよう!」言われて素直に「そうだな!」と考え、本当に行動に移せるのなら、正直この本を買う必要はないかな。。

おすすめ度:★★★★☆〜★★★☆☆
作者:アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)


②マハーバーラタ入門

仕事の関係で『マハーバーラタ』の概要を知りたくて、だったらちゃんと物語を追いたいなと思い購入した本(さすがに物語原典を読む時間はないので…)。

「『マハーバーラタ』の物語を読んでみたい!」という人にとっては、本当に良い入門書だと思う。自分もこれが初めてのマハーバーラタなので他の本がどんな形かわからないし、『マハーバーラタ』という物語が本当にこういうものなのかも正直わからないところはあるが、原典の雰囲気を大切にしつつ、現代の人にも読みやすく想像しやすくしてくれていると感じられた

だからこそ、『マハーバーラタ』という物語は「期待していたよりも…」と感じてしまったのも事実。『イリアス』もこんな感じだったから、過去の大文学っていうのはこういう雰囲気、こういうテイストなのか、と改めて感じた。登場人物が多すぎる、展開が急すぎる、ご都合主義的なところがある、挿話が余計に話をややこしくさせている、などなど。挙げるといくらでも出てきてしまうが、まぁこのあたりは数千年前の物語と考えると仕方ないよね。

むしろ、"生きる世界の規模"が現代とは比べ物にならないくらい狭かったであろう時代で、これだけの想像力、これだけの物語を描けるというのが、やっぱりすごいんだろうなぁ。

おすすめ度:★★★★☆(そもそも『マハーバーラタ』に興味がある人へ)
作者:沖田 瑞穂


③若きウェルテルの悩み

過去に一度読んだ本だが、もう一度読んてみたいと思い再読。

一言で言うと、おもい。思い、想い、重い、念い。ウェルテルのロッテへの愛は想像できるし、とてもわかる。恋や愛に多少なりとも苦しんだことがあるのならきっとみんなそう感じるのではないだろうか。でも「ここまで想うか」とも正直感じてしまう。もっともらしいことを言っているようにも感じるが、それはウェルテルの視点で物語が進んでいるからだとも思う。

とはいえ、やはりこの作品から感じられることはとても多い。折り合いをつけてある種“割り切って”生きるのが賢い生き方だし、多くの人がそうしている。でもウェルテルは、自分の気持ちにとことんまで素直に従順だった。その度が過ぎるからこそ狂気さえ感じるわけだけど、やっぱり人は、本心ではそういう生き方を望んでいるのかもしれない。自分の心が思うがままに生きる。それを最後まで貫いたウェルテルに、人は憧れたのだと思う。

この本は、何が正しくて何が間違っている、ということを語る本ではない。この本をきっかけにして自分の中で考え、自分なりの答えというか感覚を掴むことが大切なのだと思う(まぁこの考え方はどんな本でも大事だと思うが)。正しいとか間違っているっていうのは、ただその人の立場から見た物事の一側面にすぎないのだから。

おすすめ度:★★★★☆
作者:ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)


④世界でいちばん透きとおった物語

なんだか色々な界隈で話題になっているらしかったので流行りに乗っかってみた本。

おもしろい、つまらない、っていう感想でさえ、なんだかネタバレになりそうで語るのが憚られる気がする。確かに、「ネタバレ禁止!」と話題になる理由はよくわかった。

なのでただ一言、僕は最後まで読んで「よい作品を読んだな」という気持ちにはなった。

これだけは伝えたいし、今まで本を読んでこなかった方にも、この作品はとてもオススメできると思う。“本”が好きになるのではないかな。気になる人は読んでみてほしいのは間違いない。

おすすめ度:★★★★★
作者:杉井 光


⑤この恋が壊れるまで夏が終わらない

『世界でいちばん透きとおった物語』をAmazonでカゴに入れた時にオススメに出てきたので、一緒に購入した一冊。ジャケットが印象的だったのも背中を押した。まぁジャケ買いってやつ。

結果は当たり。純粋に物語としてなら、上述の『世界でいちばん透きとおった物語』よりも自分は好きだった。

展開とか物語としてのメッセージとか、ラストの形も嫌いじゃない。何より、本格的な小説とラノベのちょうど間って感じで読みやすいのが本当によい(実際、杉井光さんは電撃文庫からも何作品か出版している)。

わかりやすく掴みやすい話の内容や魅力的なキャラは読書に慣れていない人でもとっつきやすいポイントになると思うし、普段から読書をしている人にも“おやつ”感覚で楽しんでもらえるのではないかと感じた。

おすすめ度:★★★★★
作者:杉井 光


⑥透明な夜の香り

「香り」がテーマの本ということで、Amazonプライムデーの勢いで買った本。まぁつまりこれもジャケ買いであり、当たりの本だった。

まずは「香り」というテーマが面白かったし、”香り”に付随してハーブを中心とした植物や料理の話も出てくるし、それがオシャレなのがまた良い。そして、そのオシャレさが素朴で穏やかな雰囲気なのが自分の感性に合っていた。大きな刺激がなく、ゆったりと、緩やかに流れる世界。とにかくそんな世界観が素敵だったし、キャラクターたちも魅力的。文章も読みやすいし、物語の真ん中に筋も通っているように感じた。

めちゃくちゃ個人的なことを話すと、自分がこういう系統の本を好ましく読めるようになったのはある種の変化かなと感じられた。半年くらい前の自分なら考えられない本のチョイスなので。こういう自分の変化を客観的に感じやすいのも、読書の楽しみだよね。

おすすめ度:★★★★☆(自分の満足度は★★★★★)
作者:千早 茜


⑦52ヘルツのクジラたち

うまく言葉にはできないけれど、はじめて『アルジャーノンに花束を』を読んだ時と同じような感動がある。“人間として”大切なものは何か、美しいと思えるもの、醜いと思うもの、人間の色々な矛盾、みたいなリアルを感じつつ、そんな人間同士が一緒に生きていくのもまた、時に美しく、時に醜いよね、っていうのを表現してくれていて、この本をきっかけに、じゃあ自分はどう生きていこうか、どう人と関わって触れ合っていこうか、と考えさせてくれる。

ギリギリ★10の殿堂入りに入るかな、入らないかな、、というラインではあるが、これは間違いなく良い本だと思う。★★★★★に落とそうとしたのは、個人的な嫌悪感を抱いてしまった箇所がいくつか合ったから。でも冷静に考えると、それもこの作品の魅力というか、その嫌悪感もまた“味”なのかなと思える。それくらい、終盤の流れとか、「52ヘルツのクジラたち」という題名とこの本のテーマが、人間として大切なこと、厳しいけれど美しいものを表現しているように感じられた。

本屋大賞っていうのは本当に頷ける。誰にでもオススメできる本なのは間違いない。

おすすめ度:★★★★★★★★★★
作者:町田 そのこ


今月刺さったワンポイント

執着と愛着の違いは何か。

『透明な夜の香り』

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