マガジンのカバー画像

タイムラブ 愛に時間を〜探索篇

11
運営しているクリエイター

記事一覧

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い炎③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い炎③

「どうしたの?涼君。」
夕子は頭を押さえてしゃがむ涼の姿に驚いた。

「おれは‥おれは‥前にここへ来たことがある。」
涼は苦し紛れに吐いた。

「しっかりして大丈夫よ。私が支えてるから。」

「いや大丈夫です。これくらいのこと。」

‥彼は今頭の中で混乱してる。荒療治かもしれないけど、記憶を取り戻さないと。でも記憶が戻ったとき、私はどうすればいいのだろう?

応接間やダイニングキッチンはビッグウ

もっとみる
タイムラブ 愛に時間を〜青い炎②

タイムラブ 愛に時間を〜青い炎②

「旧星王シティー美杉邸前着陸出来そうです。」
操縦士の上野が2人に告げた。

夕子と涼は捜査情報局から美杉邸と神明島の探索の指示を受け、ビッグウォール以降禁止区域になってる星王シティーの中心部の上空まで来ていた。
以前とは違い、はっきりと景色が見える。
建物は壊れているものもあるが大半は残ったままだ。

美杉邸が見えてきた。

「着陸体制に入ります。」
上野は電子ヘリを美杉邸の大庭へ移動させた。

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い光③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い光③

夕子は家に戻り,明日の準備を再確認した。

‥明日は旧美杉邸を訪れる。ビッグウォール以降星王シティーは危険区域で立ち入りになってる。
果たして入れるのかしら‥
それと今回は潜入ではなくて探索。
涼と2人でやらなければ。
ああ‥でも

夕子は発作的に絵里へ電子ホーンをかけた。

「あら夕子、どうしたの?
こんな時間に珍しい。」

「絵里、どうすればいい?
今日涼と話したわ。」

「なるほどね。あなた

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を 〜青い光②

連載 タイムラブ 愛に時間を 〜青い光②

資料室へ夕子と涼は移動した。

「真木村さん、色々ありがとうございます。
香月所長にも感謝です。」
台場涼は頭を下げた。

「どう記憶の方は?戻らない?」

「ええ‥とにかく悪夢を見ていてようやく目覚めた感でしかありません。」

‥ジャックスミスは徹底的にマインドコントロールをやったのに違いない。‥

夕子はコーヒーを出した。
資料を調べなければならないのだが、その前に涼を落ち着かせる必要があった

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を 青い光①

連載 タイムラブ 愛に時間を 青い光①

富士山でのアース教団との闘いから既に1か月が過ぎようとしていた。

‥涼、大丈夫かしら‥
夕子はこのところ仕事に身が入らなかった。
ふと考えてる最中に連絡が入った。
上司の藤島からだ。

「真木村君、至急第三会議室まで来てくれるか?」

この会議室は緊急を要する案件だ。なんだろう?
アース教団がまた動きだしたのだろうか。

「課長入ります。」
夕子がドアを開けるとそこには見覚えのある顔があった。

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影③

「夕子、この前のアジトから持ち出したアース教団のデーターとんでもない白物やぞ。
今絵里のとこにいるんやろう。
転送するわな。」

夕子と絵里は士郎の久々な旧関西弁にどきっとした。

「士郎ありがとう。あなたの部隊の協力でほんとに助かってるわ。」

夕子は画面を切り替えした。
アース教団実行計画が映しだされ、項目は最終計画ハルマゲドンとなっていた。

時空破断システムを使い、ビッグウォールNo.2を

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影②

映像が切り替わり、あの醜悪なジャック・スミスの顔が浮き上がる。

‥ビッグウォールは我々の時空破断システムによって完全なものとなる。
地球の完全なる浄化、我々は10年という年月をかけてこの偉大なる計画を進めてきた。
日本時空光学研究所の裏でね。

地球はそれこそ一つの生命体なのだ。
時空を破壊すれば、未曾有の大災害を引き起こし一気に人類を始末できる。
その最大のものが時空ウィルス。
時空の狭間より

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い影①

画面にはまず涼が10年前,アース教団に拉致される瞬間が映し出された。

そしてビッグウォールが、あの黄色い光の柱が幾十にも地表からそびえ立つ光景‥

醜悪な顔のジャックスミスが登場し呼びかける。

「我らアース教団は地球革命をこれから行なう。地球を浄化して我々が地球の新しい先住者となる。
良いか。この時空破断システムを稼働させビッグウォールをさらに増加させる。
地震と嵐と津波、さらに時空ウィルスを

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い道③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い道③

日本時空光学研究所の地下10階でエレベーターが止まった。
香月所長と真木村夕子はG22号室に入った。

「ここなら大丈夫ね。夕子、左のスクリーンを見てくれる?」

スクリーンには涼が映っていた。
顔は無傷であったが、胸にはまだ包帯が巻かれていた。
今は目を閉じて眠っている状態だ。

「やっぱり、10年前の涼だね。改めて見ると‥」
夕子は呟いた。

「士郎も全く変わってないて‥そうそうこちらの画像デ

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い道②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い道②

夕子は海西市に戻ってきてから一週間を過ぎようとしていた。
日本時空光学研究所の前に電子バイクを停めると
研究所の方へ向かった。

‥アース教団はほとんどの痕跡を残さなかった。
今手持ちにあるのは上願が命を賭けて持ち出したデーターと捕虜として収容した台場涼。
その2つが今研究所にある。

連絡で聞いた限り、台場涼は大した外傷もなく身体に異常もない。
涼‥本当にあなたは涼なの?

夕子は考え事をしなが

もっとみる
連載 タイムラブ 愛に時間を〜探索篇〜青い道①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜探索篇〜青い道①

美杉夕子は捜査管理局の別館にある特別室へ向かっていた。
ここはまさに緊急を要する一件のみ使用される部屋であった。

夕子はセーフティカードをドアの青いパネルにかざした。
ドアが開放された。

「ご苦労だったな‥真木村君。よくアジト壊滅の任務を遂行してくれた。」
直属の上司である霧島は言葉をかけた。

「課長、お言葉を返すようですが、3人の犠牲者を出してしまったことはすべて私の責任です。」
夕子は深

もっとみる