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教育行為は先払いか?

サブスクは、結局、取りはぐれないため。プロフィットモデルの8つの類型の中でも「会員ビジネス」として類型化されている。

教育行為は昔から会員ビジネススタイル。月謝がそれ。先払い方式。利益を享受する者がその対価を支払えばいい。受益者負担。

しかし、と思うことがある。受益者とは一体、誰を指すのか?教育行為を受け取る本人だけ?そうではないだろう。教育によって得た知識や技量、人格、等を得た人が属する集団、社会もその恩恵を受けることになる。

先輩方から聞かされた話がある。ムカシと言っても戦前。貧富の差が今よりずっと大きかった時代、デキル子供を発見した大人たちは、その子供の教育費用を肩代わりした。たとえば、できる子供を持った小作人は地主に「お願いします」とその教育費用の負担を委託した。

デキル子供はその才能の大きさに応じて教育を受ける。ひとかどの教育を受けて世に出る。世のため、人のため、その才を発揮する。時には、お世話になった大人たち、つまりは教育費用を負担してくれた人々に「出世払い」という形で負債を返済する。それは金銭の形であったり、なんらかの仕事の形であったり、地域への貢献であったり、形は問わない。

教育を受けた者からすれば、教育費用は受益者負担であっても「後払い」的な側面があった。だから金持ちの子でなくても才能のある者が頭角を現すことができた。

しかし、今はなんだ?金持ちの子供は才能がそれほどなくても手厚い教育的ケアを受け、そうでないものは「若年性貧困」に苦しみ教育の機会すら失う可能性におびえる。

教育は受益者負担だからか?しかし、それをすべて「先払い」的に費用負担をさせるのはどうか?

義務教育だけで済む時代ではない。国際競争力向上の観点からも高等教育での充実が必要だ。受益者負担と先払い的な会員ビジネス方式が強固に結びついてしまったところに問題があるのではないか?

企業においても同じだ。大企業での教育ばかりではなく中小企業での知識や技術力の充実が必要だ。しかし中小には教育に回すだけの金がない。

日本の活力が失われているのは、中小企業の活力がそがれていることもその一因だ。

教育行為の受益が本人以外にも所属する社会や集団に及ぶのであれば、それは経済の外部性に属する問題だ。

教育行為は、本来、後払い方式の方が馴染みやすいのではないか。

そんなことを考える。


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